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2015年3月 5日 (木)

世界の教科書の中の日本

先日の朝日新聞に、世界の教科書の中で、日本についてどう書いてあるかの記事があり、興味深く読んだ。

<中国>
「8月15日、日本政府は無条件降伏をやむなく宣言し、9月2日、降伏文書に正式に署名し150305chugoku た。ここに至って、中国人民の抗日戦争は最後の勝利をついに獲得した」
「中国とアメリカの関係の緩和は、中国と日本の関係を直接推進した。1972年、日本の首相田中角栄が中国を訪問して、中国と日本両国の国交正常化の協定に調印した」
出典「中国の歴史 中国高等学校歴史教科書」(2004年)

<韓国>
「アメリカは初めは日本国王を裁判にかけようとしたが、日本の安定を優先して彼を処罰し150305kankoku なかった。しかしアメリカは日本の軍事大国化を防ぐために「平和憲法」をつくって日本が軍隊を保有できないようにし、いかなる名目でも戦争に介入できないようにした」
(靖国神社について)
「日本の東京にある神社。1978年からは東条英機などアジア・太平洋戦争を主導したA級戦犯を祀(まつ)っている。韓国はじめ周辺国は、侵略戦争を美化するものだと批判している」
出典「検定版 韓国の歴史教科書 高等学校韓国史」(2013年)

<ロシア>
「日本との戦争でロシアは停滞敗北を被った。(中略)軍事行動の進展中に、もっとも否定150305rosia 的な影響を与えたのは、敵の力の過小評価と、司令部の無能であった」
注)日露戦争についての記述
出典「ロシアの歴史 下 19世紀後半から現代まで ロシア中学・高校歴史教科書」(2011年)

<ドイツ・フランス>
「核兵器に頼らなければ、日本を降伏させることはできなかったのか? それともアメリカ150305doitsu は、莫大な費用を費やして開発した新兵器の破壊能力を試す機会を探していたのか?」
「原子力爆弾を受けた広島の黙示録的悲惨は、原子力時代の到来を告げた。広島産業奨励館の廃墟は、今日もなおこの悲劇の大きさを物語っている」
「広島に原子爆弾が投下される数週間前、サンフランシスコ会議で国連憲章が採択された。それまでとは違う世界を作り上げることができるのか?」
出典「ドイツ・フランス共通歴史教科書 現代史 1945年以降のヨーロッパと世界」(2008年)

(戦後70年 世界の教室から)過去を伝える、未来を考える 
考えさせる歴史教育を 近藤孝弘・早大教授(歴史教育学)
 歴史教育へのアプローチは国によって様々です。米国はマイノリティーに対する差別、英国は移民問題や独立機運の強いスコットランドなど、国内の多様性を学ぶことを重視します。一方、ドイツやフランスでは、戦火を交えたり占領したりした近隣諸国との関係を学ぶことに、より多くの時間を割いています。他方、中国などのアジア諸国は、ナショナリズムの色彩が強いと言えます。
 日本では、小学校、中学校、高校で計3回、歴史を教えます。小学生で無理なら中学か高校で覚えてほしいという考え方です。「鳴くよ(794年)ウグイス平安京」のように、細かい知識の定着を図るのが日本の歴史教育の特徴です。
 その基本的な方向性は、米英と独仏の中間とも言えますが、国内の多様性、国際関係の学習いずれも物足りない。教科書に朝鮮半島からの渡来人についての記述はあっても、短い。中国や韓国と歴史の共同研究も試みましたが、その成果はまだ限定的です。自分が考える「正しい歴史」を教えようとする姿勢が、相手国のナショナリズムと正面からぶつかってしまい、歴史学習を相互理解の場とするのを難しくしています。
 欧州では歴史の学力観が日本と大きく異なります。歴史を正解として学ぶことよりも、資料や歴史書を読んで歴史認識の多様性を理解し、それをどう表現するかが問われます。たとえば、ドイツの高校では、「ナチスによるユダヤ人らの大量虐殺はなぜ起きたのか」といったテーマを何時間もかけて考えさせます。
 米英独仏に共通するのは、政治教育の一環として、近現代史を重点的に学ばせることです。
 グローバル化に対応するためには、日本が世界やアジアでどういう状況に置かれているかを正しく知ることが重要です。なぜ、アイヌ民族や在日韓国朝鮮人が今のような形で暮らしているのか。なぜ米軍が沖縄に駐留しているのか。いくつかのカギとなるテーマについて様々な歴史学の見解を紹介し、考えさせるような歴史教育が求められています。(聞き手・伊東和貴)」(2015/03/03付「朝日新聞」p19より)

確かに、日本の歴史教育で、現代が語られることは少ない。そもそも学校では、縄文式から始まって、現代に届く前に授業が終わってしまう。
それで、今頃「池上彰の現代史講義」などを見て、ナルホド~と感心している。

しかし、教科書は重たい。
昔、下の息子の中学受験を一緒にやったことがある。その時、息子の知識の吸収に、ホントウに砂に染み込むような感覚を覚えたもの。つまり子どもの頭は真っ白で、何にでも染まる。それはある意味、怖ろしいこと。

そして最近の日本の教育は、アジア諸国のようなナショナリズムの方向に舵を切っているようで、心配。道徳の教科書問題も含め、政治が日本人の心の領域にまで差配するようになったら、時代がまさに戦前に逆行してしまう。

日本がたぶん教えていない「核兵器に頼らなければ、日本を降伏させることはできなかったのか? それともアメリカは、莫大な費用を費やして開発した新兵器の破壊能力を試す機会を探していたのか?」という視点を、遙か彼方のドイツ・フランスで教えているとすると、当事国の日本としては何ともみっともない。でもアメリカ合衆国・日本州としては、まあ、出来ないな・・・
国々の教育の方向は、そう簡単には変わらないものだが、日本の歴史教育も、良い意味で変わらないこと、つまり現政権の戦前への急激な逆行圧力に対して、屹立として変わらないことを祈るしか手は無いか・・・

150305enpitu <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

高校の時の日本史の最後の授業は「第二次大戦で死んだ日本兵は犬死にだったと思うか否か議論せよ」というものでした。『きけわだつみの声』の朗読もありました。
やれば出来るんですよ。多くの教師が避けているだけ。

【エムズの片割れより】
そんな授業があったのですか・・・
自分は、そんなリアルな授業の記憶はありません。

投稿: 片島諒 | 2015年3月15日 (日) 10:20

片島さんの先生は生徒に考えさせる授業をしただけ優秀でしたね。大概は年号と起った事を詰め込むだけです。私は昭和31年に日本史を学びましたが昭和の歴史を学んだ記憶がありません。それに反して、奈良時代からの天皇の歴史が長かったですね。
世界史もローマ、ギリシャなどの歴史が長く
世界戦争が始まったころからの歴史が短かったです。これから歴史がもっと長くなります。歴史の授業はどうなっていくのでしょうか。その時代の政府が歴史を曲げて教科書を作らないように鋭い目を持った歴史学者がいて欲しいですね。

【エムズの片割れより】
自分の所も、縄文弥生に時間をかける割に、昭和にたどり着く前に、学期が終わっていました。
入試でも、昭和の問題がどの位出るのでしょう。たぶん、ほとんど昭和の問題が出ないため、軽視されているのかも・・・

投稿: 白萩 | 2015年3月15日 (日) 12:15

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