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2015年2月10日 (火)

「正岡律 子規の介護という偉業」

今年のNHK大河ドラマは、吉田松陰の妹が主人公。偉人の陰には女性がいる。
先日の日経新聞に載っていた正岡律も同じような存在かも知れない。

正岡律 子規の介護という偉業
 俳人・正岡子規には律という三つ違いの妹がいた。肺結核から脊椎カリエスを発症し、寝たきりになった子規を、母・八重とともに看たのがこの律だった。二十代後半から三十代前半の七年弱を、彼女は兄の介護に捧げたのだ。
150210masaokaritsu  部屋を清潔に保ち、食事を支度し、兄の包帯を取り替え、排泄の世話をする――これが律の日々である。カリエスの悪化で子規の背中と腰には穴があき、そこがただれて膿が溜まった。当然、包帯の取り替えも細心の注意を要する。律の談話が残っている。
 「穴に一寸でも触れようものなら飛び上がる程であったらしいので、フランネルのような柔らかい布に、一面油薬を塗って、それで穴を塞いで、その上に脱脂綿を一重、その上へ普通の綿をかなり厚めに載せて包帯をかけ、ピンでとめておくのでした」
 朝食後に飲む痛み止めが効いた頃を見計らい、律は手際よく作業をした。これほど献身的介護をしても、病人の側からすれば不服もあったようだ。子規は「病牀六尺」で、家事の手間は省いても介抱第一にすべきだと訴える。
 「病人を介抱するというのは畢竟病人を慰めるのに外ならんのであるから、教えることもできないような極めて些末なる事に気が利くようでなければならぬ」
 兄妹の間になにか諍いがあったのか、「仰臥漫録」では律に対して「癇癪持ちで強情で気が利かぬ」と、辛辣なことも書いている。
 「律は理屈づめの女なり。同感同情の無き木石のごとき女なり。義務的に病人を介抱することはすれども同情的に病人を慰むることなし」
 身勝手な言い分に映るかもしれない。だが子規も、耐え難い痛みと、一切の自由が効かぬ体に苛立っているのだ。ことに病を得る前は、野球を愛し、旅を楽しみ、快活に生きた子規だからこそ、余計にやり切れなかったのだ。
 律はけれど、介護を苦労としては語らなかった。包帯取り替えについても「お互いにお勤めのような思いでした」とさらりと述懐するにとどめている。子規を看取ったのちは、自活のために共立女子職業学校に入学、裁縫を学んだ。おそらく優秀な生徒だったのだろう。卒業後は教員として母校に採用されている。二度の結婚離婚を経験しているためかその後所帯を持つことはなく、家で裁縫を教えつつ、老いた母の世話をした。
 律は歴史的偉業をなしたわけではない。女性の自立目指して運動したわけでもない。彼女はただ一心に家族を支えた。子規も、時に文句こそ言え、自分の介抱は律にしか委ねられぬことを知りすぎるほど知っていたはずだ。
 介護にはさまざまなケースがあり、ひと言で片付けることはできない。ただ、他に代わることのできない仕事を偉業というのなら、律の介護はまさにそれである。そして今現在も律と同じように、誰かのかけがえのない支えとなって働いている方が数多くいらっしゃるのだ。表には出なくとも、それは確かに偉大な仕事なのである。
  ◇
 離婚を2度経験 1870~1941年。現在の愛媛県松山市に生まれる。幼い頃に父を失い、母、兄と共に暮らす。15歳のとき結婚するが2年後に離縁。その2年後、松山中学校の教員・中堀貞五郎と一緒になるが1年で離縁。東京で日本新聞社の社員となった子規に呼ばれて上京。のちに結核を悪化させた子規を、根岸の家(子規庵)で介護する。子規亡きあと、叔父・加藤恒忠(拓川)の三男・忠三郎を養子に迎える。」(2015/02/07付「日経新聞」p37より)

そう言えば、NHKドラマ「坂の上の雲」では菅野美穂が律を演じていた。
妹が兄を献身的に介護・・・か・・・。今の時代、夫婦間でもなかなか難しい。
それが、特養などの介護の現場では、それが自然に営々と行われている。

先日、特養で亡くなった義母。葬儀屋さんの車に乗る前に、お別れ部屋の小さな仏壇の前で、スタッフなどホームの方々が、30~40人もいただろうか、入れ替わり立ち替わり、手を合わせてくれた。そして、顔をさすって言葉をかけてくれる人・・・。
病院の看護士さんも同じだが、介護の現場の人たちには、頭が下がる。しかしこの特養のHPにあるスタッフ募集の欄をみてビックリ。4交代制の介護職員は、パートで時給は920円(夜勤は1150円)だという。正・准看護師でも月給は25万円・・・・

時代的に、家族に頼れなくなりつつある介護。その現場は、3K職場であるにもかかわらず、これほど厳しい職場なのだ。
介護の現場で働く人たちの職場環境を向上させるため、我々は何をしたら良いのだろう。
先日発表されたNHKの月例調査によると、内閣支持率は、イスラム国問題があったにも拘わらず、1月の支持率50%(不支持率32%)が、2月には54%(不支持率29%)に上がったという(ここ)。
こんな数字を見ていると、やはり介護よりも武器、いやイスラム国周辺の国への援助か・・・と思ってしまう。
自分は最近、“日本国民”が分からなくなってきた・・・。

150210pose <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

介護の仕事についている人が報われないのはなぜでしょうか。介護保険は年金からかなり引かれていますよね。消費税もかなりの額になっています。本当に福祉の為に使われているのかと疑ってしまいます。
何年か前まで、地方の長者番付が新聞に載っていましたが、介護ホームの理事たちがいつも番付に何人か載っていました。建設の始めから膨大な国費がつぎ込まれますよね。なぜ彼らが金持ちになるのかこれも不思議なことです。お金の流れがはっきりわかると良いのですが、疑問が消えません。

【エムズの片割れより】
介護施設の経営者だけが大もうけで、そこで働いている人が(国が決めた)低賃金だとすると、介護施設はどこも「ブラック企業」ということになります。
何かありますね。仕組みの不備が・・・。

投稿: 白萩 | 2015年2月11日 (水) 17:42

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