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2015年1月 2日 (金)

“目から鱗”の、素晴らしい超ローカルスーパー「一期家一笑」

カミさんが「これは面白そう」と録画しておいたという番組を見た。TV朝日の「業界なるほど人事交流 覗いてみた3つのドア」(2014/12/30 12:00~14:00放送)(ここ)。
この中で、スーパーマーケット編に出て来た「ローカルスーパー」が、“目から鱗”で気に入った。
この番組では、スタンダードスーパーの東京の「エコス」の社員3人が、練馬区の最高級スーパー「エスカマーレ」と、愛知・豊橋市のローカルスーパー「一期家一笑(いちごやいちえ)」(ここ)を訪問する。その中で、「一期家一笑」のスタンスが、まさに“目から鱗”なのだ・・・。

この店の特徴を、番組の進行に沿ってメモしてみると・・・
・店が大きな道に面していない脇道の立地。
150102ichigo5 ・看板に、自虐的に「超ローカルスーパー」と表示。
・「エコス」の社員3人に対応したのが、チーフの杉浦大西洋(ひろし)さん。この人、魚のかぶり物をしている・・・。子どもに受けるかと始めたが、老人にも受けるので止められなくなったとか・・・。
150102ichigo0 ・入り口に従業員の写真。手に持っているのは“個人的な”今年(2014年)の目標。 曰く「激ヤセ」の杉浦さんに、「えがお」なのに笑っていない馬場さん。「イエイィ!」の木下さん。チーフ曰く「いつも忘れてしまうので、忘れないように・・・」。(写真は番組とは違い、2015年の目標)
・駐車場は30台。売り場面積はスタンダードスーパーの1/4。それなのに創業60年という。
・生鮮コーナーの野菜は産直。近くの農家が畑直送で毎朝持ってきてくれる。「配送コストを抑えられるので、地産地消を心がけている」
150102ichigo2 ・鮮魚の仕入れは、車で5分の豊橋魚市場。「野菜と同じく、地産地消を心がけている」。しかも値段が安い。これは「あれもこれも無いといけない、という考え方を捨てた。鯖がない日、イカがない日はしょっちゅう。そこは割きって考えている」。これは「売れる品だけに仕入れを限定し、売れ残りを減らすことで価格を抑える戦略」とのこと。
・精肉コーナーは、客の好みを反映して、豚:鶏:牛=6:3.5:0.5の比率だという。豊橋市は全国有数の豚肉生産地だとか・・・。そして仕入れは、店長の同級生が育てている津田畜産の来夢ポークのみ。チーフの父の店長が、学生時代に野球でバッテリーを組んでいた同級生で、その歴史は50年以上。
150102ichigo3 ・総菜コーナーのメニューは、ほとんどが日替わり。人気は煮物や煮サバ。普通のスーパーは揚げ物が多いが、ここではお年寄りが多いので、煮物が多いとか。その手作りの総菜は、量り売りのバイキング形式で、お年寄りが少量でも買える。そして(土)限定だが、餃子の手作りの実演。作っている戸田さんは、勤務歴12年だがス、タッフの定着率が高いので、それでも中堅とか。
・そして「総菜の半分はレシピ無し。人によって味も違う」「家庭で、お母さんに昨日と味違う、とは言わないでしょう。だから、均一性よりもちょっとバラついていた方が自然で良いのでは?というスタンス」「毎日買ってくれるお客さんから“味が違うよ”と言われてスタッフに聞くと、ショウガを入れ忘れた、とか・・・」
150102ichigo1 ・「ブロッコリーのサラダ作って」と言われても、材料さえあれば、その場で作ることもできる。ここにはルールが一切存在しない。
・会員サービスでは、ポイントカードの名前がレジに表示されるようになっており、「**さん、ありがとうございます」と言えるようになっている。
・「配達サービスは有料で200円。これは、無料だとお客さまが遠慮して頼み過ぎてしまう。タダで来て貰うと、たくさん買わないと店に悪いというイメージがあるので、その心の負担を減らすために200円頂いている」

そしてこの店を訪問した東京「エコス」の社員さんの感想は、「まず驚いたのは、従業員とお客さんの距離が非常に近い。これは自分の会社に持ち帰って実践したい」・・・
実はこの店、「日曜日が定休日。理由はチーフが“日曜日は家族と過ごす日”という信念だから」・・・

この「一期家一笑」のスタンスから感じた感想は・・・
・なまじっかな経済学など、ここでは必要ない。ISOの標準化も必要ない。あるのは「お客さん第一」の基本スタンスだけ。それが徹底しているだけに、お客の心をがっちりとつかんでいる。
150102ichigo4 ・従って、スタッフの定着率も良く(勤続12年で中堅・・・)、お客さんと従業員との間が近く、まさに“仲間“・・・
・これは、小さな個人スーパーだからこそ出来るのかも知れない。地方都市だから生き残れるのかも知れない。しかし60年という歴史は、何かが無いと続かない。
・その“何か”は、(カミさんが言うには)人が行う仕事の「糊代」かも知れない。つまり、「ブロッコリーのサラダを作って!」「はいよ!」という、スタッフの裁量が多分にある仕事のやり方。マクドナルドのようなISO 9001(品質マネジメントシステム=徹底したマニュアル化による、人によるばらつきを無くして品質を保つ)の仕事の仕方とは真逆な関係。
・「配達サービスは、お客さんの心の負担を減らすために200円頂いている」という言葉に代表される、チーフの「お客さんにとって」という視点が、店中に徹底されている。これは文化であり、一朝一夕には出来ないので、番組で紹介は無かったが、60年来の父親の店長の基本スタンスなのかも知れない。(100円ではタダとあまり変わらないし、300円では少々高い。200円は絶妙の価格設定・・・)
・しかも、売れ残りを少なくすることえでムダを省き、価格を抑える、という戦略もホンモノ・・・。

最近のスーパーは、「プライベートブランド」が何と多いことか・・・。老舗のメーカー品を探そうにも、棚には「プライベートブランド」がぎっしりで、その店に入ったが最後、「プライベートブランド」を買わざるを得ないような状態・・・。これが顧客志向か? お客の選択肢を奪い、店の都合にお客を強引に誘導する大手スーパーと、この「一期家一笑」のやり方はまさに対極にある。

そして店の努力度、知恵の絞り方・・・。
自分の家の近くにもスーパーはある。いわゆるスタンダードスーパー。しかし競争相手がないため、全てがマンネリ化。「日頃の努力が見られない」、とカミさんは余程のことが無い限り、この店には買いに行かない。
一方、TVに良く登場する近くの有名な鮮魚屋さんは、売れ残った魚は次の日には総菜の材料に回す、など、安く良いものを・・・と知恵を絞っているという。そんな店もある。

地方都市ではシャッター通りが増えている。しかしこの店のスタンスを見習えば、まだまだ生き残れるチャンスはあるのではないか・・・と思った。もちろんお客との信頼関係は、一朝一夕では作れないが・・・。
とにかく我々日本人は、品質の維持、競争力アップに標準化、マニュアル化を推進してきた。しかし、それが全てではないことをこの店は示している。

たぶんこの店は、これから多くのマスコミに紹介されて行くと思う。そして、多くの人が、この店のスタンスから、「お客は人間である」という原点に回帰するなど、多くのアドバイスを貰えると思う。
まさに“目から鱗”の店、「一期家一笑」なのである。

★なお、この番組は(ここ)で全編(60分)を見ることが出来る。

*写真は、チーフのblog(ここ)から借用させて頂いた。

150102osobann <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

「最近のスーパーは、「プライベートブランド」が何と多いことか・・・。老舗のメーカー品を探そうにも、棚には「プライベートブランド」がぎっしりで、その店に入ったが最後、「プライベートブランド」を買わざるを得ないような状態・・・。これが顧客志向か?」

全くです。その店の「プライベートブランド」は絶対買いません。ま、少人数だから量は要らないので言えるのかもしれないけど・・。

【エムズの片割れより】
実はウチも買わない主義なのですが、セブンイレブンなど、買って後で気が付く状況です。そこまで日常的になってきたとは、怖ろしい限りです・・・

投稿: Tamakist | 2015年1月 4日 (日) 11:35

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