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2014年10月25日 (土)

「中国の大問題」丹羽宇一郎著~Uさんの読書ノート

Uさんが送ってくれる「本の紹介」。今回は中国問題である。
中国の反日運動を見るにつけ、感情的に中国を毛嫌いしている自分・・・。毎年のように、カミさんとの海外旅行で、北京、上海、西安を巡っていた頃が懐かしい・・・。
しかしこの本は、冷静に中国との関係を説いている。感情的な自分にハッとする。

Uさんのメールにこうある。
「今回の本の紹介は「中国の大問題」丹羽宇一郎著 PHP新書である。今や、中国は世界一の貿易額をかさに着て、中国は驕りをみせはじめた。日本無しでもやって行けると言わんばかりである。しかし、その内実は様々な難問に直面している。中国を決して侮ってもいけないし、又、過剰にひるむ必要もない。日本の国益のためには、14億人の巨大市場を他国に独り占めさせてはいけない。商社マンとして30年、大使として2年半、政財界のトップとの付き合い、国境近くの人々や少数民族の生活をつぶさに見て来た、元中国大使の迫真のレポートと、本の帯に書かれている。

本書にも書かれているが、今日本の企業は中国から他の東南アジアへ生産拠点や投資を移行させている。その原因は「反日」にあるが、最も経営者がリスクと感じているのが、過剰投資によるバブルの「崩壊」である。本書では、中国は最早世界経済に組み込まれているため、バブルが崩壊したら、色々な方法で中国を支援するはずである。従って、決して中国はバブルが崩壊することは無い。と書かれているが。それは本当だろうか? 小生の直観だが、中國では一党独占である為、比較的世論におもねる必要が無い。従って国営企業や金融機関が破綻しそうになっても、政府が徹底的に支援するであろう。しかも、その財源である政府債務もまだGDPの約半分でしかない。つまりまだ十分余裕があるのである。多分、他の資本主義国家と違い、バブルが起きてもそれが大きく崩壊する事は無いのかも知れない。」

★「中国の大問題」丹羽宇一郎著~Uさんの読書ノートのPDFはここ

送ってくれた要約を読むと、「ヘエー」と思うところ幾つもある。
「2013年度の中国国家予算を見てみると、教育費2兆3000億元、社会保障費1兆4300億元、農林水産関係{食料}1兆3300億元、一般公共事業費1兆4300億元、国防費が7300億元。つまり教育費に国防費の3倍のお金を使っている事になる。中国は意識的に国民の教育レベルを上げようとしている事が判る。」
中国が国防費にかなりお金を遣っていると思っていたが、教育費が断トツとは・・・

「2013年ワシントンにあるシンクタンクが、アメリカと中国に対する好感度調査を39各国で実施した。世界の中国に対する好感度は私達が考える以上に良いのである。日本では中国を「味方」と考える人は5%しかいない。しかしアメリカやヨーロッパは40%~50%、ラテンアメリカやアフリカは60%~70%、それだけ中国が各国に進出し経済支援を行っているからである。しかも18歳~29歳の層が、50歳以上の人に比べて中国に対する好感度が高いのである。若者が中国を好意的に感じているのである。」
確かに中国は、アフリカなどへの支援にかなり力を入れているらしいので・・・

「中国が2013年度予算で、教育費に国防費の3倍のお金を配分している事は既に指摘した。翻って日本はどうであろうか?OECDが、加盟国の大学進学率を調べた統計(2010年)がある。それによると、日本の大學進学率は51%とOECD平均値62%を下回り、加盟国34か国中24位と相当な下位に位置する。トップはオーストラリアの96%、米国は74%、韓国は71%である。中国はOECD加盟国では無ないが、大学進学率は35%と言われている。しかし中国は1990年と2009年との伸長率は29万人から262万人と9倍に増えている。日本はその間、73万人から68万人へと減少している唯一の国である。学校教育費用(公費負担)のGDP比率を比較すると、日本は3.6%と平均値5.4%を大幅に下回って下位グループにある。上位は北欧が占め、米国は5.3%、韓国は4.9%である。又小学校での1クラス当りの児童数もOECD平均費を大幅に下回っており、他の先進国と比べ「教師不足」は明らかである。つまり日本は「教育後進国」と言わざるを得ない。」
日本の大学進学率は高いとばかり思っていたが、意外・・・

「2008年の中国の科学技術研究者は159万人でアメリカの141万人、日本の65万人を抜いて世界トップになった。又科学・工学博士号取得者は、アメリカ3万3千人、中國2万7千人、日本8千人である。中国にはノーベル受賞者が日本より少ないと言われているが、ノーベル賞の対象となる成果は、今から20年から30年も前のものが多く、過去の科学技術力を反映したものと見るべきである。」
人数だけでなく、独創的な発想、という点で、中韓はノーベル賞は無理、という人もいるが・・・

「リーマンショック前(2008年)の企業研修費は2兆8千億円であったが、今や3千5百億円、12%まで激減している。その主な原因は社員の3人に1人が非正規社員だからである。中国と競っていくために、経済界は非正規社員を正規雇用に転換する事を考えるべきである。又雇用が安定しなければ子供を産んで育てることさえできない。日本の現場の強みを失わない為にも非正規社員を減らすべきである。逆に、ホワイトカラーの労働者こそ非正規社員でもいいと私は思っている。」
企業研修は、昔はホントウに盛んだった。会社の運動会や社員旅行が流行らなくなったように、時代のせいだと思っていたが、非正規社員の増が原因とは・・・
雇用が安定しなければ、結婚や子育てが出来ないのは当然・・・

「日本の問題は、そもそも教育を受けて向上しようとする意欲そのものが欠如している。「日本青少年研究所」が2013年に発表したアンケート調査によると、中国は89%の若者が「偉くなりたい」と思っているが、日本はその半分の46%、どうしても偉くなりたい人は9%しかいない。「一生にでかいことに挑戦してみたい」「やりたいことに困難があっても挑戦してみたい」という生き方に日本の若者は総じて関心が無く「平穏な生涯を送りたい」「暮らして行ける収入があればいい。のんびり暮らしたい」という生き方に共感を寄せている。先のアンケートでも「自分の会社や店を作りたい」と思う若者は、日本では26%だったのに対し、中国は74%だった。」
日本で「チャレンジ精神」という言葉は死語になってしまったのか・・・。

「今の日本に欠けているのは「機会の平等」である。階層の固定化が進み収入の高いほど進学率が高く、優秀な学校へ行くというデータがある。本来若者はそうした社会に大いに反発しなければならない。反対なら反対と声をあげるべきでる。「選挙に行っても何も変わらない」と言えば言うほど、何も変わらない。「変わりはしない」という考え方そのものが「変わらない原動力になる」選挙を軽視していると今にしっぺ返しを喰う。自分の意思に反してとんでもない政権が生まれる可能性がある。」
確かに、諦めて選挙を軽視していると、飛んでもない政権が出来てしまうかも・・・。

話は変わるが、先日(10/19)、日本の基準の10倍ものスモッグの中で、北京マラソンが行われ、マスク姿のランナーも目立ったという。
政治や経済は人間の手でどうにかコントロール出来る。しかし、相手が自然となると、それは正直なもので、人間はコントロールが出来ない。
つまり、中国の姿は、見る人の視点で大きく評価が変わるが、自然=歴史から見ると、その評価は正直。今後、中国がどのように変わって行くのか・・・。昔の英国のように、日本も老人化しているので、まだ若い中国の今後を低く見るわけにはいかない。
別の視点での中国の姿、と言う点で、なかなか面白い「中国の大問題」の要約ではあった。

141025mienai <付録>「ボケて(bokete)」より


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