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2014年10月 7日 (火)

憲法9条がノーベル平和賞の有力候補に浮上

今夜は、青色LEDの発明で、ノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏の話題で持ちきり。青色LEDは、カラー化を可能にした大発明で、影響の大きさから、まあ順当なところ。
話は違うが、半年ほど前に「9条にノーベル賞を 受賞者「日本国民」、委員会に推薦 神奈川の主婦呼びかけ」(ここ)という記事を書いた。
何とかすべり込みで、ノーベル委員会に平和賞の受付を受理してもらったが、10日の平和賞発表を前に、オスロ国際平和研究所が、「第9条」を平和賞受賞の第一候補に挙げたという報道にビックリ・・・
今朝の朝日新聞デジタルはこう伝えている。

9条、なぜノーベル賞トップ予測 「戦後の歩みに共感」
 10日公表のノーベル平和賞。ノルウェーの民間研究機関が3日付で公表した受賞予測で、戦争放棄をうたった憲法9条をもつ日本国民が278候補のトップに挙げられた。集団的自衛権の行使容認などをめぐって国内が揺れるなか、国際的に注目を集めることはどんな意味を持つのだろうか。
 受賞予測をしたのは、オスロ国際平和研究所(PRIO)。ウェブサイトで9条について「日本141007heiwa 国民の多くはこの非侵略の誓いが、1946年(の憲法公布)以来、戦争を避けることができた大きな理由だとみている」と指摘し、他国との武力衝突が一度もなかった戦後約70年間の歩みに果たした役割を評価している。
 ハープウィケン所長は6日、朝日新聞の取材に応じた。1位の理由として、平和賞は「軍の廃止や縮小」などへの貢献者に贈られるとしたアルフレッド・ノーベルの遺志に合致している▽尖閣問題など東アジアで戦争リスクが高まっている――の二つに加え、安倍政権が9条の解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたことで「9条が危機にある」ことを挙げた。
 所長は「ノーベル委員会は、授賞が安倍政権批判と見られることを気にするかもしれないが、9条が危機にある今年こそインパクトがあるとも認識するだろう」と指摘。2010年に中国政府と対立する人権活動家の劉暁波氏が受賞したことも挙げ、「政治的な問題から委員会が逃げることはない」と述べた。
 その上で、「東アジアの紛争の可能性は世界であまり注目されておらず、この地域に光を当てようとノーベル委員会が考えるかもしれない。原爆などで甚大な被害を受けながら、平和のうちに復興を遂げた日本の戦後約70年間の歩みに共感する人は世界に多い。平和賞の授与は世界から歓迎されるだろう」と話した。
共感した署名、41万人超える
 「9条の価値を世界に知ってもらえる絶好の機会。取り上げてもらえたことを感謝したい」
 「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会(事務局・相模原市)共同代表の石垣義昭さん(73)は話す。平和賞に推薦する活動を始めた神奈川県座間市の主婦、鷹巣直美さん(37)に共感し、授賞を求める署名を昨秋から集めている。
 協力する団体が全国に次々と増え、署名は2日時点で41万人を超えた。「こういう活動には参加してこなかった」と言う人やノルウェーや米国などの外国人もいるという。「今年受賞できなくても、今後もすばらしさを発信したい」
 「(1位の予想に)正直びっくりしている」と言うのは、ネットなどで署名集めに協力する大阪弁護士会の弁護士、辻公雄さん(73)。代表を務める市民団体「市民の為(ため)の行政を求める会」で憲法の勉強会を開いてきた。実行委の活動を報道で知り、4月から署名を呼びかけて約5千人分を実行委に送った。
 辻さんは「中東などで紛争が続き、国内では集団的自衛権の行使容認など武力で紛争を解決しようとしていると受け取られる動きがある。もし受賞できれば、武力に頼らない平和の大切さを国内外に発信できる」と力を込めた。
 広島県尾道市の「ママ友」らが9条の解釈変更などに危機感を感じて作った市民団体「Peace from Mothers」も7月末までに246人の署名を集めた。メンバーの主婦向井真珠(まみ)さん(34)は「受賞すれば、国際社会の注目も集まり、戦争に向かう動きの歯止めになるかもしれない」と期待する。
 広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)の事務局長、大越和郎(かずお)さん(74)は「核兵器の非人道性が国際的に注目される今、軍事力でなく、外交努力で紛争解決をめざす9条が世界から評価されるのは必然だ」と言う。
     ◇
 〈憲法9条〉 ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
     ◇
 〈オスロ国際平和研究所(PRIO)〉 ノルウェーのオスロにある民間の研究機関。創設は1959年。国際紛争の平和的解決などに関する研究や情報発信をしている。創設者のヨハン・ガルトゥング氏は「平和学」の第一人者として知られる。同じオスロに拠点を置くノーベル財団との関係はないが、ノーベル平和賞の受賞予測は毎年、世界で注目されている。2007年にはゴア元米副大統領の受賞を的中させた。
PRIOが予測する今年のノーベル平和賞受賞者・団体(2位以下)
 ②エドワード・スノーデン氏
 元米中央情報局職員で米政府による情報収集活動を暴露
 ③ノーバヤ・ガゼータ
 記者が殺害されながらも、政権批判を続けるロシアの新聞
 ④ドニ・ムクウェゲ氏
 紛争による性暴力被害者の治療にあたってきたコンゴ民主共和国の医師
 ⑤マララ・ユスフザイ氏
 イスラム過激派に襲撃されながらも女性の権利を訴えてきたパキスタン女性
市民発の運動、評価できる
 〈稲正樹・国際基督教大教授(憲法学)の話〉 9条については国内で意見が割れるなか、「日本国民」として受賞することが適当かどうかはわからないが、市民の立場で運動が始まったことは評価できる。国内だけではなく、東アジアの緊張の中において、9条がかかげる平和主義の意義を捉えれば、選ばれることもあるのではないか。受賞できれば、集団的自衛権の行使容認に舵(かじ)を切った安倍晋三政権に対し、党派を超えて「戦争しない国家づくり」を進める大きな力になる可能性がある。
日本の現実と乖離した条文
 〈高乗(たかのり)正臣・平成国際大教授(憲法学)の話〉 9条は画期的な条文だが、日本に軍事力が存在しなかった事実はなく、自衛隊も明らかに戦力だ。今の東アジアのパワーバランスの中では、戦力不保持を掲げる条文と日本の現実は乖離(かいり)しており、改憲すべきだ。国民の多数が支持する安倍政権が閣議決定で解釈を拡大し、集団的自衛権の行使を容認している現実があり、9条の理念とは逆行している。戦力としての自衛隊を持つ違憲状態が放置されたまま9条がノーベル賞を受賞すれば、欺瞞(ぎまん)と言われるだろう。」(
2014/10/07付「朝日新聞」(ここ)より)

しかし、上の高乗正臣・平成国際大教授の指摘が耳に痛い。2014/7/14付「日経」グロー141007gunjihi1 バルデータマップが分かり易いが、日本は、米・中・露・サウジ・仏・英・独に次ぐ世界第8位の軍事大国だ。
でも2009年のオバマ大統領の例にもあるように、ノーベル委員会の平和への篤い思い、つまり「9条が危機にある」ことへの懸念が影響することも有り得る。
しかし、極東の一国の国内事情が、伝統あるノーベル賞にどう影響するのか・・・。日本の9条を守ることで、世界平和にどの程度の貢献になるのか・・・。何とも評価は分からない。

一方、候補者の中で、スノーデン氏は分かり易い。米機密情報の暴露という裏切り行為が、世界平和にどう結び付くのか・・・。しかし、自分の人生と命を賭しての行動は、到底並みの人には出来ない。この勇気に敬意を表し、スノーデン氏の命を守るためにも、平和賞の受賞は良いのかも知れない。でもこの受賞は、米国を敵に回す!?

141007nobel0 話は変わるが、同じく日経のグローバルデータマップ(2014/10/06付)に、各国のノーベル賞の受賞者数のマップがあった。それによると、1950年頃までは英独が他国を圧倒。1960年前に米国がトップに立って以来、米国が断トツの状況が続いている。日本は2000年頃から急速に受賞者が増えており、今年も“まず”3人増えた。

ともあれ、オスロ国際平和研究所には感謝。「憲法第九条」を世界的な話題にしてくれたことだけでも、有り難いことである。
物理学賞受賞の勢いで、「平和賞まで!!」と行きたいものだが・・・。

(関連記事)
「9条にノーベル賞を 受賞者「日本国民」、委員会に推薦 神奈川の主婦呼びかけ」 

141007broccoli <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

私も昨夜から、ヤフーニュースやグーグルに、「ノーベル平和賞」の文字を入れ検索しては、関連記事を夢中で読んでいました。今回だけは、エムズの片割れさんと、同じ時間帯に同じ記事を読んでいたのですね。今日のブログで、読者に注意喚起をしていただいたことに感謝します。

【エムズの片割れより】
中村さんの、日本に対する辛口のコメントが面白いですね。

投稿: かうかう | 2014年10月 7日 (火) 22:22

九条が現状と乖離しているにしても、人的支援で済んでいるのは、抑止の役目は立派に果たしているのではないかと思っています。佐藤さんの平和賞と一緒というのは少々格が違うので高級平和賞としてほしいと願っています。

【エムズの片割れより】
ノーベル委員会も、たぶん佐藤さんへの平和賞授与には後悔しているでしょうから、名誉挽回に9条に与えたら面白いのにね・・・。それとも日本への平和賞は、トラウマでNG??

投稿: 白萩 | 2014年10月 7日 (火) 23:31

昨日発表の、2014年度のノーベル物理学賞では、3人の日本人が受賞したというので、日本中が喜びに沸きましたが、NY Timesの1面の記事のタイトルは次のようになっています。

1 American and 2 Japanese Physicists Share Nobel for Work on LED Lights

私も昨日7時の夜のNHKニュースを見ていてこのニュースをはじめて知ったのですが、ニュースキャスターは中村修二氏がアメリカ国籍であることは一言も言っていませんでしたね。むしろ、南部陽一郎氏を含めて、これで日本人のノーベル賞受賞者は22人になったとして、あたかも中村氏は日本国籍であるかのように報道しておりました。中村氏は話題の多い人でしたから業績も3人の中では一番よく知っていましたが、私もNY Timesを見るまでは、中村氏がアメリカ国籍であることを知りませんでした。NHKもあの段階では中村氏の国籍がアメリカであることを知らなかったのかもしれませんね。

【エムズの片割れより】
Netで見ると、残念ながら現在は中村氏は日本国籍を失って米国籍のようですね。コメントでも、日本を見捨てた・・という感じですので、まあそうなのでしょう。
でも業績を挙げた時は、日本人だったので、今回の受賞も日本の業績に数えたいですね。

投稿: KeiichiKoda | 2014年10月 8日 (水) 12:35

日本国憲法の誕生はGHQの介在云々と問題視されてきたものの、一方で70年もの長きに亘って、不戦の明文化がありつつ平和を堅持できたという史実には堂々と誇りを持ちたいと今は思います。
過去に平和賞を受賞した佐藤首相の挙げていた「非核三原則」も現代では真っ赤な嘘であったと公開されていますから、当時はこれを佐藤首相の個人名で受賞しながらも、実は大国アメリカとの密約を抱えながらの受賞はさも心苦しかったはずだと容易に想像できる。

21世紀の今、また人間のうごめく国家の欲が渦巻いて、世界中できな臭くなった状況にこそ、日本国憲法の精神に則っての平和維持効果を授与されることでクローズアップしたいものです。人間にとって、戦争よりは平和であるはずだ。

【エムズの片割れより】
確かに戦争放棄の「理念」だけは変わっていない。その変わっていない理念が大きなブレーキとなっていたのでしょうが、昨今、それをも踏みにじる動きがあるのが大きな懸念材料。
ノーベルさんがそれにstopを掛けてくれると有り難いのですが・・・。当面、国民に止める手段が無いので・・・。

投稿: ケンカバ | 2014年10月 8日 (水) 22:12

 平和賞を受賞できたなら、今年できなくても来年願うなら、日本人は、この機会に憲法9条の意味を改めて考え、勉強する良い機会であると思います。
 例えば、将来、イスラム国のような国を空爆する同盟国アメリカが、日本の自衛隊に支援を要請してきたようなケースに対し、我が国は、どこまで対応するのか。国連との連携は、どうするのか。憲法9条をどうするのか。
 70年前には、世界を相手に戦争をした日本が、どういう行動をするのか。
 これからは、世界も日本の動きを、これまで以上に注目して見ることでしょうから。 

【エムズの片割れより】
確かに、もしホントウに受賞になったら、世界中の目が、戦争放棄を謳う日本の憲法に向くでしょう。そんな国があったのだと・・・。武力を持っているか否かに拘わらず、憲法で戦争をしないと誓っている国があったのだと・・・。
そして、先の大戦の悲惨さを思い出し、平和の大切さを改めて世界中の人が認識する良い機会になると思うのですが・・・。

投稿: かうかう | 2014年10月 9日 (木) 00:05

 平和憲法にノーベル平和賞を!!という声に安倍首相は「政治的だね」とか「誰がもらいに行くのだろう」とか心配しているそうな。
 そりゃあ、あなたが行って、あなたがスピーチをしなくては。
 スノーデンさんにも受賞してもらいたいしさてどうなることか?
 五千人目あたりで私は署名したけれど、安倍首相に後ろめたさを少しは感じさせただけでも、この発案者こそ平和賞者の資格があると私は思います。

【エムズの片割れより】
受賞は逃したにせよ、安倍さんにこんな運動もある。という事を認識させて、コメントさせただけでも、効果があったのでは?
たぶん今までは無視していただろうから・・・。

投稿: todo | 2014年10月10日 (金) 16:50

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