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2014年10月20日 (月)

大学の実力~科研費採択・文科省が過去5年の分野別ベスト10を公表

今朝の新聞にこんな記事があった。
地方大、トンがる力で科研費獲得 長崎大の寄生虫学など
 文部科学省は10日、独創性や先駆性のある研究に出す科学研究費補助金(科研費)について、全351の研究分野ごとに5年分の採択件数トップ10の研究機関を初めて公表した。文科省は、大学の実力を知ってもらう新たな指標にしたいという。特定分野で強みを見せる地方大学があり、そこに生き残りをかけようとしている実態がうかがえる。
 ランキングは2010~14年度(9月現在)の科研費の新規採択件数の合計で出した。14年度は約10万件の新規応募のうち約2万6千件を採択、配分額は継続を含め約1644億円。
141020asahi  科研費全体では東京大、京都大、大阪大などが上位に並ぶ。だが、研究分野ごとの採択件数をみると地方大学の健闘ぶりもわかる。
 例えば、「寄生虫学」は長崎大が他を大きく引き離して1位だ。熱帯医学研究所があり、寄生虫を原因とする感染症などの研究をしている。
 「デバイス関連化学」の1位は山形大。電圧をかけると自ら発光する有機ELなどに特化した研究機関があり、実用化にも力を入れている。「建築史・意匠」では、海外から有力研究者を招いている京都工芸繊維大が3位。「科学教育」では、手厚い学生支援で知られる私立の金沢工業大が3位に入った。
 有名大の意外な一面も見える。一橋大は、伝統の「商学」でトップ10に届かなかった。東京大は法学系7分野のうち1位が「国際法学」だけ。北海道大が法学系4分野で1位だった。
 国立大学は独立法人化した04年以降、外部から研究資金を得ることが不可欠になっており、私立大学も状況は似ている。文科省の研究費はほとんどの分野が対象のため、各大学が競って応募している。
 文科省学術研究助成課の合田哲雄課長は「ランキングは大学の研究力を端的に示すデータになった。大学を選ぶ若い人たちも参考にして欲しい」と話す。ランキングなどは文科省のホームページで見られる。(野瀬輝彦)」(
2014/10/20付「朝日新聞」(ここ)より)

そして、日経にはもう少し詳しく・・・
科研費採択 過去5年の分野別ベスト10公表 私大・地方大が健闘 上位の旧帝大を追う
 文部科学省が、過去5年間の科学研究費補助金(科研費)の新規採択状況について、分野別ベスト10をまとめた。東京大学や京都大学など旧帝大が強さを見せる一方で、地方大学や私立大学が頑張りをみせ、伝統校といえども盤石ではない現実も見えてきた。

獲得状況 研究力の指標に
 科研費は人文社会科学から自然科学まで全分野の学術研究を支援する補助金。2014141020nikkei 年度は10万462件の応募があり、2万6714件が新規採択された。大学や研究所などの研究者が誰でも応募できる唯一の競争的資金で、採択状況が大学や研究者の研究力を測る指標になっている。
 これまで文科省は、年度ごとに機関(大学・研究所)別の採択件数と補助金額を公表してきたが、14年度からは、さらに補助対象351研究分野ごとに過去5年間の機関別採択件数もまとめ、個々の大学の強みが一目でわかるようにした。
 それによると、いずれかの分野で採択件数がベスト10に入った機関は、国立大84、公立大37、私立大139、研究所102の計362。分野別採択件数が1位になったことがあるのは、国立大35、公立大7、私立大8、研究所28の計78だった。採択件数1位は、国立大が45%で最も多いが、ベスト10でみれば私立大が38%を占め、学術研究全体の層を厚くしている。
 分野ごとに採択件数1位機関をみると、東京大が85分野を制して他を圧倒。これに、京都大(49分野)、東北大(40分野)、大阪大(33分野)、北海道大(14分野)、九州大(11分野)の旧帝大勢が続く。
 私立では早稲田大が10分野でトップに立ち、7位に入った。ライバルの慶応義塾大は4分野トップで13位、立命館大が3分野で17位だった。立命館大は兄弟校の立命館アジア太平洋大と共に、文科省のスーパーグローバル大学に選ばれるなど、研究大学としての力を着実に蓄えている。
 14年度採択結果で、女性研究者の採択率1位はお茶の水女子大(58.3%)で、以下、奈良女子大(41.9%)、県立広島大(41.0%)、東京女子医科大(39.9%)と女子大や女子大が前身の大学が続く。東京外国語大、順天堂大、東洋大、杏林大も30%を超えた。

分野別にみると…伝統校、意外な弱点も
 過去5年間の分野別採択状況からは、大学の強みや弱点が見えてくる。
141020nikkei1  東京大は85の研究分野で採択件数1位となり、2位の京都大(49分野)に大差を付けた。351研究分野のうち、263分野で上位1~5位に入ったが、6~10位と11位以下がともに44分野あった。東大といえども、苦手分野は少なくない。
 法学部の関連分野では“異変”が起きた。関連9分野のうち、東大が1位だったのは基礎法学、国際法学、国際関係論の3分野だけ。北海道大が4分野で1位になり(基礎法学は東大と同数1位)、早稲田大も2分野、九州大が1分野を制した。科研費実績で見る限り、東大法学部は圧倒的な存在とは言い難い。
141020nikkei2  スーパーグローバル大学から漏れた一橋大は、いまひとつ元気がない。経済学・商学・社会学関連の11分野のうち、1位は財政・公共経済のみ。ベスト3入りは4分野にとどまり、商学はベスト10の圏外。法学関連9分野でベスト10入りしたのは3分野だけだ。
 私立では、早稲田大が、教育工学、日本文学、中国文学、日本語教育、外国語教育、民事法学、政治学、金融・ファイナンス、商学、教育心理学の10分野でトップだった。慶応義塾大が1位だったのは、呼吸器外科学、産婦人科学、眼科学、形成外科学の4分野。早稲田大は人文社会学系で強さをみせ、慶応大は医学系で気を吐いた。
 日本文学ベスト5は、早稲田大、国文学研究資料館、立命館大、明治大、東大で、私立が健闘した。科学教育では、東京学芸大、広島大に続いて、金沢工業大と京都教育大が同数3位。教育系大学と肩を並べる健闘は、学部教育に力を入れる金沢工大らしい。
 長崎大は寄生虫学、感染症内科学、病態科学系歯学・歯科放射線学の3分野で1位を獲得。山形大はデバイス関連化学、静岡県立大は食生活学、高知県立大は高齢看護学、北陸先端科学技術大学院大はエンタテインメント・ゲーム情報学で、それぞれ1位になり、得意分野で個性を磨く地方大学の意地を見せた。
 科研費の採択状況は、大学評価の一指標でしかない。件数の多寡は組織規模にも左右される。それでも、過去5年間のデータからは、大学の生の姿が浮かび上がる。大学が改革を進める貴重な資料になり、大学間の競争も刺激されるだろう。自分が学びたい分野で強い大学はどこかがわかるので、受験生の大学選びにも役立つ。
 さらなる情報公開に期待したい。(編集委員 横山晋一郎)」(2014/10/20付「日経新聞」p22より)

この順位は、真の大学の研究の実力を示すデータとして面白い。何しろ、見ようによっては、国の研究予算1600億円のぶんどり合戦だ。
しかし、これらの記事や順位を見ると、今までの既成概念が打ち砕かれる。一橋を筆頭に、老舗大学が必ずしもトップにランクされているワケではないことが分かる。それは東大141020nikkei1_2 も同じで、何となく、東大が全ての分野でトップランクにいるのは当然・・・と思っていたが、どっこい・・・
それに引き替え、地方の国立大学や、特色のある私大の健闘が目に付く。これらは、“生き残り”に対する熱意・執念が都会の老舗大学とは大きく違うのだろう。
総花的でなく、“ここだけは負けない”というポイントを絞った戦略。なるほど・・・

このようなデータが公表されると、高校生が、もし自分の進みたい分野が絞られている場合は、どの大学が自分の目指す分野に強いかが分かり、有効な指標となり得る。
とりあえず、有名な大学に入って、それからのことは入ってから考える、という安易な大学選びが減ってくる!?
高校生も、そこまで考えて大学選びをしたいものだが、まあ選ぶのが大学側なので、そううまくは運ばないか??
自分の出身大学名を探し出し、「***(←内緒)」と思う大学のランキングではある。

141020kusyami <付録>「ボケて(bokete)」より


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