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2013年9月15日 (日)

集団的自衛権に対する各界有識者の意見~色々ある・・・

先日の朝日新聞に、集団的自衛権に対するこんな意見が載っていた。

「(問う 集団的自衛権)タカ派の平和ぼけ、危険 軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏
 ――米国は、集団的自衛権の行使容認に熱心な安倍晋三首相を評価していると思いますか。
 「今の米国の国家目標は財政再建と輸出倍増だ。そのために、巨大市場を抱える中国を封じ込めるのではなく、抱き込もうと努力している」
 「行使容認は中国の猜疑(さいぎ)心を招きかねない。もはや米国にとって集団的自衛権は無意味で、日本の動きに冷淡な態度を示さざるを得ないだろう。日本は1人だけ泳ぐのが遅い水泳選手が、ターンを終えたほかの選手たちと反対方向に泳いでいるようなものだ」
 ――歴代政権は「行使できない」という立場です。
 「そう解釈してきたのは『自衛隊は自国の防衛にしか使いません、海外に出ることはありません』と強調し、合憲性を訴えるためだ。米国から海外派遣を迫られた時に、逃げる理屈としても都合がよかった」
 「憲法にも国連憲章にも、武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては放棄する、とある。米国に『あなたのやっていることは国際紛争を解決するための手段だから加われません』とストレートに断れば角が立つが、集団的自衛権が認められていないから、といえば圧力をそらせる。それを信じた一部の米国人が『集団的自衛権を認めてくれ』と言い、一部の日本人がそう思いこんだ」
 ――首相は安全保障環境の悪化を指摘しています。
 「冷戦時代のソ連の脅威に比べればましだ。北朝鮮が核を使う確率は低い。核を持っているのは攻撃を受けないため。自分から使えば米国や韓国の反撃でつぶされるから、一応抑止はきいている」
 ――中国はどうですか。
 「中国が尖閣諸島の領有権を主張しながらも『棚上げでいい』と言うのは、日本の実効支配を認めるに等しい。互恵関係回復に妥当な落としどころだ。首相は中国包囲網をつくろうとしているようだが、米国、韓国、豪州は加わらず、成功しないだろう。安全保障の要諦(ようてい)は敵を減らすことだ。敵になりそうな相手はなんとか中立にすることが大切で、あえて敵を作るのは愚の骨頂だ。タカ派の平和ぼけは本当に危ない」(聞き手・山下龍一)
     *
 たおか・しゅんじ 1941年生まれ。68年から朝日新聞で防衛庁担当。編集委員、米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員を歴任。現在は軍事ジャーナリスト。」(
2013/09/14付「朝日新聞」p4より)

この記事はシリーズで、前にも読んだことがあった・・・と探してみると、色々あった。第1回目は森本敏・前防衛相だった。

「(問う 集団的自衛権)現行の解釈、変えられる 森本敏・前防衛相
 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認に向けて着々と環境整備を進めている。日本の安全保障政策の大きな転換となる動きを各界の有識者はどう見ているのか。1回目は民主党政権で防衛相を務めた森本敏拓殖大特任教授に聞いた。(インタビューは随時掲載します)
 ■同盟国として米の役割補強
 ――日本に集団的自衛権の行使は必要ですか。
 「東アジアの安全保障環境は非常に厳しくなっています。中国の海軍力、空軍力は近代化され、元に戻ることは考えにくい。米国は今から10年で1兆ドルという国防費を削減する。日本やオーストラリアなどの同盟国がこの地域で米国の役割を補わないと、日本の安全も維持できなくなる。今やらなければならない」
 ――行使を認めない現在の憲法解釈はおかしいと。
 「集団的自衛権を『国際法で認められているが、必要最小限度の自衛力の範囲を超えるから使えない』という解釈は主権国家として無理がある。自衛隊を違憲だとする世論に対して『必要最小限度の実力組織』と合憲性を強調。集団的自衛権を行使しないという論法で周辺国の懸念を払拭(ふっしょく)する政治的な判断でしょう。条文解釈や法理解釈ではない。政治的な解釈だから、変えられないという意見を私はとらない」
 ――民主党政権時代の防衛相として、現在の解釈で不都合がありましたか。
 「非常に困ったことがあった。米国などの多国間軍事演習『コブラゴールド』に自衛隊が参加したときに、上陸演習と海空共同訓練に参加できなかった。内閣法制局が『集団的自衛権を行使できないのに、なぜ参加する必要があるのか』と、認めなかったからだ」
 「もう一つは、国連平和維持活動(PKO)協力法の改正案を出せなかったこと。他国軍や民間人が危険にさらされた場合、武器を使って助ける『駆けつけ警護』を入れることに内閣法制局が反対した。それ以外の部分だけで改正案を出せば自民党に『そんなこともできないのか』と攻撃される。駆けつけ警護をやりたいのに『無理だ』と答弁するのは、絶対嫌でした」
 ■行使には相当な手順必要
 ――行使までにはどんな手続きが必要ですか。
 「政府が憲法解釈を変更して、集団的自衛権を行使できると表明しても、関連法の整備に3年近くかかる。自衛隊員に必要な教育訓練をし、装備を調え、マニュアルを改正し、米軍と部隊の運用要領などを協議して実施できるまでには相当な作業と手順が必要だ」
 ――行使容認で諸外国はどう反応しますか。
 「中国や韓国は賛成しないと思いますが、日本の政策だから他国の反対でやめる性格のものではない。この問題は日本だけではやれない。一番肝心なのは同盟国である米国に正しく理解してもらうことです」 (聞き手・山下龍一)
    *
 森本敏(もりもと・さとし) 41年生まれ。航空自衛官などを経て、外務省安全保障政策室長。野田政権で2012年6月から防衛相。 」
(2013/08/29付「朝日新聞」より)

ついでに、他の意見も読んでみよう。(このシリーズの全部ではないが・・・)

「(問う 集団的自衛権)憲法の解釈変更は姑息 丹羽宇一郎・前中国大使 
 ――安倍政権は憲法の解釈変更で集団的自衛権の行使容認を目指しています。どう思いますか。
 「日本が戦後、基本にしてきた憲法の平和主義に関わる問題です。解釈を変えて集団的自衛権を行使しようとするのは、スポーツ選手が自分の都合でルールを変えるようなもの。そんな姑息(こそく)な手段を考えないで、正々堂々と国民に憲法改正を問うべきだ」
 ――安倍晋三首相は自著で日本の立場を「権利はあるが自由にならない『禁治産者』に似ている」と表現しています。
 「国の守りを固めることは必要だが、専守防衛でいくべきだ。国連憲章は集団的自衛権を行使できるとしているのであって、行使しなくてはいけないものではない。米国の友人は冗談半分で、『日本の自衛隊はいざという時に助けになるのか』と言っている」
 ――安倍首相は行使容認の積極派を内閣法制局長官に起用しました。
 「適材適所で選ばれたのだろう。政権の方針にとやかく言わないが、法制局は法の精神を最も重視する役所だ。あらゆる角度から検討し、意見すると思う」
 ――安全保障環境が厳しくなる中、容認すべきだという意見もあります。
 「平和憲法を守る唯一の被爆国という立場で非核・非戦を世界に訴えるべきだ。集団的自衛権の行使を認め、平和主義をやめれば『なぜ日本は過去に言ってきたことをひっくり返すのか』と世界に見られる。中国や韓国と対抗して同じ土俵にのらず、法の精神を尊重してきた先人の努力を水泡に帰してはいけない」
 ――中国は日本の動きをどう見ていますか。
 「戦争をしてはいけないと思っているのは日本も中国も同じ。戦争で被害を受けるのは常に弱い国民だからだ。今の日中関係は首脳間に信頼関係がない。必要なのは対話をすること。冷え切った状況で対話を始めるのが政治家の度量だ」
 ――行使容認に転換すれば周辺国はどう反応するでしょうか。
 「東南アジア諸国は昔の日本のイメージを忘れがたく持っている人も多い。軍国主義復活とは言わないが、集団的自衛権で日本が攻撃に参加できることになる。李下(りか)に冠を正さずで、日本は危ないところには近づかないことが大事ではないですか」(聞き手・広島敦史)
     *
 丹羽宇一郎(にわ・ういちろう) 1939年生まれ。伊藤忠商事社長、会長を歴任。民主党政権時代の10年6月から12年12月まで、民間初の駐中国大使。」
(2013/09/06付「朝日新聞」より)
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(問う 集団的自衛権)個別的自衛権で十分 柳沢協二・元内閣官房副長官補 
 ――集団的自衛権をめぐる議論をどう見ますか。
 「安倍晋三首相が何をしたいのか、どう考えてもわからない。安倍さんは集団的自衛権が行使できなければ、並走する米艦が第三国から攻撃されても反撃できない、北朝鮮から米国に向かうミサイルも撃ち落とせないと言う。だが、そんな事態で在日米軍基地が攻撃されないことはあり得ない。日本の領域が攻撃される以上、いずれも個別的自衛権で十分対応できる」
 ――内閣官房副長官補としてイラク戦争への自衛隊派遣に携わりました。
 「当時、非戦闘地域に限定して自衛隊が復興支援を行ったのは憲法の制約ではなく、小泉政権の判断だ。憲法解釈を変更して他国部隊への『駆けつけ警護』やもっと後方支援をやれるようにするのは議論が逆転している。今の憲法解釈は自衛隊を運用するうえで判断基準の役割を果たしてきた。それを取り払う解釈変更には反対だ」
 ――安全保障環境の悪化で集団的自衛権が必要になったとの見方があります。
 「それは違う。当時は米国が対テロ戦争にもっと自衛隊を派遣してくれと言ってきたから、議論が状況にマッチしていた。いまの中国、北朝鮮の動きは個別的自衛権で対応できる」
 ――内閣法制局長官の交代は行使容認の環境整備にみえます。
 「内閣法制局は歴代の自民党内閣の意向に沿う形で憲法解釈をしてきた。法制局が悪いというのはフェアではない。解釈変更は改憲と同じ効果がある。閣議決定や関連法案の成立で変更していいのか。集団的自衛権を行使したいなら憲法改正を論じるべきです」
 ――米国から「集団的自衛権が必要」と伝えられたことはありますか。
 「まったくない。安倍首相は日米同盟強化のためと言うが、米国は『尖閣諸島をめぐって軍事衝突しないでくれ』と思っている」
 ――夏の参院選で自民党1強体制になりました。
 「かつて自民党内はハト派、タカ派が切磋琢磨(せっさたくま)していたが、今は多様性がなくなっている。政権のエンジンブレーキとして公明党が果たす役割は大きい」(聞き手・山下龍一)
     *
 柳沢協二(やなぎさわ・きょうじ) 46年生まれ。防衛庁官房長、防衛研究所長を経て、04年4月から09年8月まで、安全保障や危機管理を担当する内閣官房副長官補。」(
2013/08/30付「朝日新聞」より)

これらの意見をどう読むか・・・。もし持論があるなら、それぞれの意見に対してキチンと反論出来るか? 単にマスコミに踊らされていることは無いか・・・?
今日は、だからどうだ・・・という話ではなく、色々な意見があるので、キチンと聞く耳を持とう、ということ。勉強は必要・・・。

130915kanji <付録>「ジワジワ来る○○」より
~「全て○または×にしないこと」あったので、仕方なく一つを「○」にしたら、99点だって・・・。キッタネー・・・


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コメント

 史上2位の連続長期間にわたって、それも最近まで防衛大臣を務めた民主党の北沢俊美参議院議員が、毎日新聞9月30日(月)夕刊の特集ワイドで、「集団的自衛権の行使容認すべきではない。米国はその必要性を感じていない。」の記事(HPで入手可能)は、分かりやすく説得力があります。今後私は、この問題に関する発言を聞くとき、絶えずこの記事資料を手元に置き、比較検討をして考えてみたいと思います。

【エムズの片割れより】
非常に分かり易い記事の紹介をありがとうございました。本当に良く分かりますね。
改めてこの記事を(勉強のために)当blogに取り上げたいと思っています。ありがとうございました。

投稿: カウカウ | 2013年10月 1日 (火) 19:18

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