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2013年9月29日 (日)

「家族の責任、どこまで 徘徊中、線路に…遺族に賠償命令」

先日の朝日新聞に、何とも重たいテーマの記事があった。
「(認知症とわたしたち)家族の責任、どこまで 徘徊中、線路に…遺族に賠償命令
 家を出て徘徊(はいかい)していた認知症の男性が線路内に入り、列車にはねられて亡くなった。この男性の遺族に対し、「事故を防止する責任があった」として、約720万円を鉄道会社に支払うよう命じる判決が出された。認知症の人を支える家族の責任を重くみた裁判所の判断。関係者には懸念の声が広がっている。
妻がまどろんだ一瞬
 事故は2007年12月に起きた。愛知県に住む当時91歳の男性が、JR東海道線の共和駅で、列車にはねられて死亡した。
130929haikai1  男性は要介護4。身の回りの世話は、同居する当時85歳の妻と、介護のために横浜市から近所に移り住んだ長男の妻が担っていた。この男性が外に出たのは、長男の妻が玄関先に片付けに行き、男性の妻がまどろんだ、わずかな間のことだった。
 男性はホームの端から数メートルの線路上に立っていたところ、列車にはねられた。線路に入った経路はわかっていない。事故で上下線20本が約2時間にわたって遅れた。
 JR東海は、男性の妻と、横浜市で暮らす長男を含めたきょうだい4人に対し、振り替え輸送の費用など損害約720万円の支払いを求め、名古屋地裁に提訴した。
 JR側は、遺族には「事故を防止する義務があった」と主張。訴えられた遺族側は、徘徊歴は過去に2回だけで事故の予見はできなかった、などと反論した。
判決「見守り怠った」
 今年8月に出された判決は、死亡した男性には「責任能力がなかった」とし、遺族のうち男性の妻と長男の2人に賠償責任を認めた。
130929haikai  長男は、家族会議を開いて介護方針を決め、自分の妻に男性の介護を担わせていたことから、「事実上の監督者」と認定した。さらに徘徊歴や見守りの状況から事故は予見できた、と指摘。男性の認知症が進行しているのに、ヘルパーの手配など在宅介護を続ける対策をとらなかったなどとし、「監督義務を怠らなかったと認められない」と結論づけた。死亡男性の妻についても、「目を離さずに見守ることを怠った」とした。
 一方、他のきょうだいは、遠くに住むなどの事情で、家族会議に参加しないなど、介護に深く関与していなかったとし、責任を認めなかった。
 遺族代理人の畑井研吾弁護士は「介護の実態を無視した判決だ。認知症の人は閉じ込めるか、施設に入れるしかなくなる」と批判。長男らは名古屋高裁に控訴した。
 JR東海によると、飛び込み自殺などで運休や遅れが発生した場合は、損害の請求をするのが基本的な立場。ただ訴訟にまで発展するケースはここ数年は例がないという。同社は「認知症の人の介護が大変だということは理解しているが、損害が発生している以上、請求する必要があると考えた」としている。(中林加南子、立松真文)
施錠しかないのか
 長男(63)のコメント 判決が指摘する「(出入り口の)センサーを切ったままにしていた」「ヘルパーを依頼すべきだった」といった事項を全て徹底しても、一瞬の隙なく監視することはできません。施錠・監禁、施設入居が残るのみです。父は住み慣れた自宅で生き生きと毎日を過ごしていましたが、それは許されないことになります。控訴審で頑張るしかないと思っています。
■「補償の仕組み必要」/無施錠の施設、落胆
 65歳以上の高齢者のおよそ7人に1人が認知症と推計されている。家族や関係者にとって判決は重く響く。
 認知症の人と家族の会(本部・京都市)の高見国生代表理事は「あんな判決を出されたら家族をやってられない。責任をまるまる家族に負わせればいい、というのではダメだと思う」と判決を批判。一方で「認知症の人の行動で他人に損害が生じうるのは事実。何らかの保険のような、補償の仕組みを考える必要があるのではないか」と語る。
 NPO法人「暮らしネット・えん」(埼玉県)が運営するグループホームは、カギをかけず認知症の人が自由に出入りできる。本人のペースを大事にするためだ。外に出ようとしていれば職員が付き添う。ただ注意しても、気づかぬうちに利用者が外に出かける状況をゼロにはできない。無施錠の方針は監督責任のリスクと隣り合わせだ。小島美里代表理事は「(判決の考え方で)今まで積み重ねてきたことを無視された気持ちになる。怖くて、事業をやめたいとすら思う」と話す。
 「安心して徘徊できるまち」を目指す福岡県大牟田市。今月22日に、徘徊で行方不明者が出た想定などで恒例の訓練を実施した。井上泰人長寿社会推進課長は「徘徊者に声をかけるなど、地域で見守る意識を高めることが、ますます大事になる」と語る。
 認知症ケアが専門の柴田範子・東洋大学准教授は、徘徊事故防止に関して、鉄道という公共性の高い企業の責務を指摘する。「鉄道会社は認知症についてきちんと知っておくべきだ。その知識を踏まえて、駅や踏切で事故のリスクを軽減する対策を取ってほしい」(編集委員・友野賀世)」
(2013/09/27付「朝日新聞」p29より)

この判決をどう読むか・・・。人間誰でもある歳になると、身体に色々な弱点が出てくる。それが徘徊という症状になったとき、その人を介護している人はどこまでの責任を負うべきか?
この事件では、JR東海が「男性の妻と、横浜市で暮らす長男を含めたきょうだい4人に対し」損害の支払いを求めたという。そして出た判決は「遺族のうち男性の妻と長男の2人に賠償責任を認めた。」というのだ。
この記事を読んで、「正直者がバカをみる」「逃げ得」という言葉が頭をよぎる。この例では、百歩譲って、賠償責任があると仮定しても、妻が責任があるのは分かるとしても、兄弟のうち、なぜ長男だけの責任なのか? 別居していて、家族会議に参加していないので責任無し、なら、誰も親のことなど放っておく。放っておけない者だけが、孤軍奮闘して、事件の責任を負うことになる。しかし、こと遺産分けになると話は別で、それぞれの兄弟がしゃしゃり出てくるもの・・・。
この判決はどうも解せない。単純に考えると、少なくても遺産分配の権利と同等の責任分担はあって然るべきでは??

しかし、この手の賠償責任は誰もが遭遇する可能性がある。そしてJRが損害を受けたという事実もある。すると、この記事にあるような、国の補助を含めた保険のような仕組みで助け合うしか無いのかも知れない。

これからの高齢化社会。安心して歳を取るには、まだまだ未成熟な日本社会である。

130929papano <付録>「ボケて(bokete)」より


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