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2013年8月25日 (日)

モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)の版による聞き比べ

言うまでもなく、モーツァルトの絶筆「レクイエム」は未完成のまま残され、弟子のジュースマイヤーにより補筆完成されたもの。しかし20世紀後半になって、色々な学者によって修正版の楽譜が作られた。
先日、FM放送で、それらの版による聞き比べが行われていた(ここ)。
聞き比べる部分は、モーツァルトが8小節目までを作曲して亡くなったことで有名な「ラクリモーサ(涙の日)」である。楽譜のPDFを(ここ)に置くので、楽譜を見ながら聞くと、良く分かる。まずはジュースマイヤー版から・・・

<モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)~ジュースマイヤー版>
リッカルド・ムーティ指揮/ベルリン・フィル

一番有名で、注釈がなければ、この版を差す。

<モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)~バイヤー版>
フランツ・ウェルザー・メスト指揮/ロンドン・フィル

これは1971年に発表されたもの。基本的にはジュースマイヤー版と変わらないが、オーケストレーションと合唱の部分が変わっている。後半の“Dona eis” の部分で、テノールパートが上昇音型から下降音型に変更されている。

<モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)~モーンダー版>
クリストファー・ホグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団

これは1983年に発表されたもので、ジュースマイヤー作曲のモーツァルトが関与していない部分はカット。最後にアーメンのフーガを付け加えているのが特徴。これは1961年に発見されたモーツァルト自筆のアーメンの合唱のスケッチを元にしているという。
聞いてみると、いつものとまるで違う・・・。

<モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)~レヴィン版>
ヘルムート・リリング指揮/シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム

1991年、モーツァルト没後200年の年に発表された。これはジュースマイヤー版を尊重した上で、アーメンのフーガを付け加えたりしている。

<モーツァルトの「レクイエム」(涙の日)~バイヤー版、レヴィン版併用>
クラウディオ・アバド指揮/ベルリン・フィル

これはバイヤー版とレヴィン版をアバドの解釈でミックスしている。
聞いてみると、ジュースマイヤー版との差が良く分からない・・・。

それにしても、ジュースマイヤー版以外はどれも違和感がある・・・。

自分はこの曲が大好き。楽譜も昔買ったが、昭和48年(1973年)4月28日というメモがある。たぶん銀座のヤマハで買ったと思う。でもCDでは失敗した。昭和61年のこと。デッカのデジタル録音のCDを買おうと、実はホグウッド盤を買ってしまった。再生してビックリ。確かにCDのタイトルには「モーンダー版」と書いてあった。しかし当時、ほとんど意識していなかった。買って初めてオリジナルと違うことが分かった。

良く言われるように、モーツァルトの「レクイエム」は、どうも“ジュースマイヤー作曲 モーツァルトのラフスケッチによる「レクイエム」”が本当らしい。
しかしこれは名曲である。これはモーツァルトだから聞く、と言うのではなく、あの見知らぬ男からの依頼で作曲したという伝説や、モーツァルトの絶筆ということを除いても、真に素晴らしい。
たぶん今後も、モーツァルトはこう作ったであろう・・・という“解釈”で、色々な版が出るとしても、自分はベートーベンも擁護したというこのジュースマイヤー版が好き。

130825ehagaki <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

記憶違いでなければ、あのアインシュタインは「死とはすなわち、モーツアルトが聴けなくなること」と言われたそうですね。彼はまた「天国ではいつも、モーツアルトの音楽が鳴り響いているだろう」と公言していたとも聞いたことがあります。天才は真実しか(言い)残しません。だとしたら、あの世でも、この世でも、モーツアルト好きにはたまらないな、と思っていたのですが、ある日、待てよ地獄におちたらどうなるんだと気付き、慄然としました。

【エムズの片割れより】
ホホホ・・・。地獄だと「幻想交響曲」かな?

投稿: 樹美 | 2013年8月26日 (月) 19:04

レクイエムにはこんなにたくさんのバージョンがあるんですか?レクイエムといえば、瀕死のモーツアルトが口述するこの曲をサリエリが必死に筆記する、映画「アマデウス」の最後の場面、さらにはこの曲が鳴りつづける中を虫が知らせたのか、妻のコンスタンツェが保養地から馬車でウイーンにかけつけるシーンが目に浮かんでしまうのですが、もちろんこのとき映画で演奏されていたレクイエムはジュースマイヤー版なわけですよね!
ところで、よく「天国」にいる父と母などといいますが、モーツアルトはキリスト教徒、アインシュタインはユダヤ教徒なのでたぶん二人とも天国にいるでしょう!しかし樹美さん(↑)は知りませんが、大部分の日本人は(少なくとも名目的には)仏教徒でしょう?仏教徒にには天国はあるのかしら?仏教徒のあの世は極楽と地獄ではありませんか?

【エムズの片割れより】
オッフェンバックの「天国と地獄」があるし、「極楽浄土と地獄」。どうも地獄は共通なのですね。
映画「アマデウス」は、自分も強烈な印象が残っています。でも誰が作ったにせよ、名曲ですね。

投稿: KeiichiKoda | 2013年8月30日 (金) 18:03

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