« 「認知症で終末期、望む治療は 点滴47%・胃ろう6%」 | トップページ | 「40歳未満の持ち家比率、28.4%に低下 国交白書」 »

2013年7月 4日 (木)

「0歳児から投票権を~少子化時代の選挙制度へ」

先日の日経新聞に「0歳児から投票権を」という面白い記事があった。
0歳児から投票権を 少子化時代の選挙制度へ
    論説委員長 芹川洋一

 いよいよ参院選がはじまる。2012年12月の衆院選で大勝した自民党は、6月23日投票の都議選でも勝利をおさめ、アベノミクスの風に乗って、こんどもまた駆けぬけそうな勢いだ。
 先週まとまった本社の世論調査でも、内閣支持率と自民党支持率の和は66%+51%で117と、自民が選挙で大勝するときの「勝利の方程式」の指数とされる100超の水準である。
 しかし党の選挙対策の責任者は「投票率が大幅に下がるのは確実で、ひと昔前とちがって低投票率は決してわが党に有利ではない。弱い支持がめだち、投票率が下がると、思ったほど票が伸びなくなる」と投票行動の変化に懸念も示す。
 自民優位のふわふわしたムードがどこまで票につながるのか読み切れないのはたしかだ。
 というのは、最近の国政選挙では政党支持という物さしが溶けてしまい、民意が大きく振れるからだ。とくに中高年の票が選挙のたびに右へ左へと大きく動く傾向がはっきりとあらわれている。
 有権者の政治意識を研究している埼玉大の松本正生教授の分析に従い、
 (1)小泉郵政選挙の05年
 (2)政権交代選挙の09年
 (3)民主自滅選挙の12年
と過去3回の衆院選での支持政党と投票行動の動きをみると、次のようになる。
 一、「支持政党なし」は20代、30代とも3回いずれも8割超で高率だが、ほとんど変化はない。対照的に中高年は3回を通じ、50代が6割→7割、60代が5割→6割と大幅に上昇した。
 一、投票行動は小選挙区の場合、05年に自民党に投票した人で、09年も引きつづき自民に入れたのは4割どまり。09年に民主党で、12年も同じ民主への投票者はわずか3割にすぎない。
 松本教授は、こうした特定の支持政党を持たず選挙のたびに一票の使い道を考える層を「そのつど支持」と呼ぶ。
130704touhyou_2  今や中高年がその中核をなしている。そのど真ん中にいるのが戦後の1947年から49年生まれの団塊の世代だ。何しろ人口のボリュームが違う。1年で200万人以上いて、未成年の年次と比べると倍だ。
 しかも、この世代は投票率も高い。総務省の調べによると、平均の15ポイントぐらい上だ。選挙は投票者の頭数で決まるわけで、おのずと決定権をにぎってくる。
 「国政選挙の行方は『そのつど支持』化した中高年の動向で決まる」と松本教授が語るように、団塊を中心とした世代が日本の政治を決めている。
 これでいいのだろうか。あれから40年、かつての学園紛争の闘士たちも、将来より現在に目が向く年代になっている。少子化に歯止めがかからないというのは、有権者の高齢化がどんどん進むことでもある。そのとき社会保障をはじめとして、世代間の格差を縮める政策はどうしても後ろに押しやられてしまう。
 それを改めるには若者パワーを結集するしかない。投票年齢を引き下げて頭数を増やすのが近道だ。世界で一般的な18歳や、欧州連合(EU)議会が提案する16歳は当然としても、それではとても数でかなわない。
 そこでさらに一気にゼロ歳まで引き下げる。15歳以下の子どもの場合は親が代理で投票する。2人の子どもを持つ夫婦は、それぞれ自分の1票とあわせ2票を行使する。1人なら両親が0.5票ずつになる。
 親ならば、だれでも子どもの将来を考える。それが1+α票になれば、政治的な子育て支援になる。少子化対策にもなるだろう。
 これはとっぴなものではない。米国の人口学者のポール・ドメイン氏が提唱している投票法だ。
 日本でその効果を研究している一橋大の青木玲子教授は「普通選挙、女性参政権と社会経済の変化に応じて選挙制度は変わってきた。しかし世代間の分配を国がやるようになったのに、将来世代の意見を反映する選挙の仕組みができていない」と指摘する。
 「ドメイン投票法」はすでに欧州で政治テーマになっている。国立国会図書館・政治議会課によると、ドイツでは憲法にあたるボン基本法を改正し、投票権を18歳から出生時に引き下げる動議が03年と08年の2回にわたって連邦議会に提出されたが、可決されていない。ハンガリーでも11年に導入に向け国民アンケート調査が実施されたものの、反対多数で見送られた。
 政治学者で東大名誉教授の蒲島郁夫・熊本県知事は「将来世代へのつけ回しをやめるようにするのが日本のデモクラシーの大きな問題だ。ドメイン投票法は、そのひとつの手段として議論してみる価値がある」と問題提起に賛意を示す。
 経済界でも、日本生産性本部の牛尾治朗会長は「戦後日本は団塊の世代が引っ張ってきた。こんどは彼らが、タックス・イーターではなく、タックス・ペイヤーの担い手になって、シルバー・デモクラシーの活性化につなげてほしい。ドメイン投票法は、そういうことを考えるきっかけになる」と期待する。
 もし憲法学者がいうように、この投票法は違憲の可能性が大きいのなら、それこそ折からの改憲のテーマにしたらいい。
 参院選はもちろん大事だが、この機会に、ちょっぴり長い目で国の将来と選挙制度のあり方に思いをめぐらせてみるのも悪くない。」(
2013/07/01付「日経新聞」p4より)

この記事の「0歳児から投票権を」という考え方について、“面白い”と思った。しかしこれは単なる“面白い投票例”のレベルを越え、「ドメイン投票法」という立派な名前が付いて、ドイツやハンガリーで実際に検討され、議会で採決までされているという。
それと、この投票者数のグラフ。なかなか迫力がある。まさに60~64歳の団塊の世代の投票数が突出している。
一票の格差を含めて、選挙の方法については、当サイトでも色々と挙げてきた。世の中には色々な方法があり、各国で検討されている。それに引き替え、日本の議論の低調なこと・・・。

私事で恐縮だが、我が家でも10月に初孫が生まれる(←たぶん、女の子だって!)。孫が生まれる、という話が出てからというもの、我々シニア族の既得権益よりも、これから生まれる世代の幸せに意識が向かう。何とも現金なエムズくんなのであ~る。

130704shampoo <付録>「ボケて(bokete)」より


« 「認知症で終末期、望む治療は 点滴47%・胃ろう6%」 | トップページ | 「40歳未満の持ち家比率、28.4%に低下 国交白書」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「認知症で終末期、望む治療は 点滴47%・胃ろう6%」 | トップページ | 「40歳未満の持ち家比率、28.4%に低下 国交白書」 »