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2013年5月14日 (火)

「憲法をどう論じようか」~各党の政策は“定食”

先日の朝日新聞にこんな記事があった。定食に託した比喩が、実に的を射ている。

「(終わりと始まり)憲法をどう論じようか~揶揄せず原則に返ろう
                   池澤夏樹

 選挙を前にした各党の政策は言わば定食のようなもので、有権者は料理の一つ一つを選ぶことはできない。
 この前の選挙で自民党はともかく主食がたっぷりというメニューを用意した。みんなおなかが空(す)いていたらしく、この経済優先の政策は票を集めた(タニタの社員食堂に比べるとずいぶんメタボっぽい)。
 この定食にはずいぶん味の濃いおかずがついていた。隣国軽視であり、原発の運転再開と憲法改正への道筋である。夏の参院選ではこのあたりが問題になるのか、あるいは山盛りのどんぶり飯がまだうまそうに見えるのか。
 日本は今、ゆるやかな衰退期にある。少子化と高齢化はその指標だ。
 衰退に対して、事態の一つずつに対策を考えて現実的に応じればいいのだが、それでは間に合わないと苛(いら)立つ人たちが増えている。思い切った変革を訴え、たとえば憲法改正を提言する。

 「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」と言うのは「日本維新の会」の綱領。
 これこそいわゆる自虐史観ではないのか? 日本は本当にこの世界で孤立と軽蔑の対象になっているか? それが日本国憲法のせいなのか?
 しかし反論は慎重でなければならない。戦前の叛乱(はんらん)将校の蹶起(けっき)文のよう、などと揶揄(やゆ)して済ませてはいけない。彼ら青年将校の赤心は……とイメージがついてきてしまう。
 政治とは政策であると同時にイメージ操作である。今の時代、その傾向はいよいよ強い。かつてゲッベルスが見抜いたとおり、活字よりは音声、理屈よりは印象、思考よりは気分が優先される(だから石原慎太郎氏は敢(あ)えて暴走老人を演じるのだ)。旧来のやりかたで、一国の運営は論を尽くしてなどと言っていたら、あっという間に空気が変わってしまう。昔ながらの護憲論は負け犬の遠吠(とおぼ)えになりかねない。
 憲法というのは国家の横暴から国民を守るものである、と原則論をもう一度説かなければならないようだ。
 占領軍による押し付けと言うけれど、合衆国憲法を押し付けられたわけではない。欧米が時間をかけて培ってきた民主主義・人権思想・平和思想の最先端が敗戦を機に日本に応用された。そのおかげでこの六十年の間、日本国は戦闘行為によって自国民も他国民も殺さずに済んだ。特別高等警察による拷問や虐殺はなかった。
 必要ならば何度でも説明する。
 「我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。」
 自民党の「日本国憲法改正草案」の「前文」の一部である。

 これ、文章としておかしくない?
 「……重要な地位を占めており」までは現状分析だが、その後の部分、「……に貢献する」のところは意思の表明である。この二つを一つのセンテンスに押し込めるというのは、高校生程度の日本語作文能力がある者ならばしない過ちだ。
 意味論で言えば、「先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて」と、「大戦」と「災害」を同列に置くのは歴然たる責任回避。災害は否応(いやおう)なく到来するものであるが、戦争は主権国家がその意思をもって引き起こすのだ。
 安倍首相は、未(いま)だ確定した侵略の定義はないと言うが、それは暴論。他国の領土に軍を送ることが侵略である。日本は朝鮮を植民地とし、満州に傀儡(かいらい)政権を立て、中国を侵略した。これを事実として共有しなければ、東アジアに安定した国際関係は成り立たない。
 すなわち改憲派の言い分は突っ込みどころ満載で、おいおいそこからまた教えるのかよ、とぼやきたくなる。だが、いかに愚直に見えようとも今は着実に論を積むしかないのだ。
 「政府は、国民みなが信じて託した一人一人の大事な気持ちによって運営される。政府がいろいろなことをできるのは国民が政府を支えるからである。政府の権力は私たちの代表を通じて行使されるし、その結果得られる幸福はみなが受け取る。
 これは政治というものについての世界の人々の基本的な考えであり、私たちの憲法もこの考えを土台にして作られている。」
 現行の「日本国憲法」の「前文」をぼくの文体で訳し直したものだ(『憲法なんて知らないよ』)。この論旨は今でも新鮮だと思う。
 自民党の草案には民主国家として克服したはずの問題がゾンビーのようにうごめいている。ゾンビーと名付ければ退治もできる。これをぼくなりのイメージ戦略としてみようか。(作家) 」(
2013/05/07付「朝日新聞」夕刊p3より)

最近のニュースを見ていると、ホントウに日本はこの先どうなって行くのだろう・・・と、心底心配になる。たった一度の衆院選で、こんなにも世の中が変わってしまうものか・・・。
彼の米国でさえ、今の日本の動きを懸念している。

130514gendai 先日の週刊現代と週刊ポストに、秋の参院選の当選予想に従った勢力分布予想が載っていた。週刊現代によると、自民126(52%)、維新17(7%)、民主54(22%)、みんな17(7%)、公明12(5%)・・・だという。一方、週刊ポストでは自民117(48%)、維新8(3%)、民主67(28%)、みんな14(6%)、公明20(8%)・・・だという。
130514post つまり自民だけで単独過半数の可能性も・・・。そして維新、公明を合わせると145~155議席で60~64%。96条改定を目指す2/3の161にぐっと近付く、という予想。
衆院では、既に自民295、公明31の326議席で、2/3の320議席を越えているので、安倍政権による憲法改定も、あながち夢の世界ではない。まあ週刊誌なので、このデータの捉え方は色々あるが・・・

それにしても、“主食”の経済で人気を得たスキに、“おかす”で国民を戦場に・・・。
「ウソだろう・・・」、と思いたいが、新聞の世論調査では国民投票で可決される可能性がゼロとは言えないようだ。
日本の国民は、ホントウに戦争をする気があるのか・・・。この議論を他人任せに放って置いて、いざ召集令状が来てから「オレは関係無い」とうそぶくほど、国民はバカではないと思うが・・・
何とも物騒な世の中になったものだが、政治が信頼出来ない今、何とか日本国民の見識を信じたいもの・・・。
(参考)
■各紙世論調査での憲法96条改正に関する賛否
                        賛成  反対
朝日新聞(2013年5月2日付朝刊)  38% 54%
毎日新聞(2013年5月3日付朝刊)  42% 46%
読売新聞(2013年5月13日付朝刊) 35% 51%
産経新聞(2013年4月23日付朝刊) 42% 45%

●メモ:カウント~430万

130514sobaya <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

「おかずで国民を戦場に」なるほどですね。自分たちは戦地に行かなくてよいから上手い言葉で国民に殺し合いをさせようとするのでしょうか。世の中には懲りても懲りても戦争をさせたい人間がいるのですね。兵器で金儲けをしようとする人間もいます。戦争ほど不幸を生み出すものはありません。いかに戦争を防ぐことが出来るか、そういう知恵のある人が国を動かす人になってくれると良いのですがねぇ。現首相はあまりに短絡的な思考の持ち主のようです。
万葉集に「防人に往くは誰が背と問う人を見るは羨もしさ物思いもせず」という歌があります。万葉の昔から兵士として出兵する家族の悲しさは変わる事がないのです。おかずにつられない様に選挙に行くことにします。

【エムズの片割れより】
「景気回復」という看板の裏に「ただし米国が戦争を始めたら、日本男子は米国の戦場に行って一緒に戦うこと」と書いてあるとは・・・。
何とも時代錯誤だと思いますが、それがリアリティがあることが不気味です。

投稿: 白萩 | 2013年5月15日 (水) 23:01

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