« 「がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由」 | トップページ | 「自動車は道具か文化か」 »

2013年4月11日 (木)

「選挙無効の向こうに~今後の裁判官人事に注目」

相変わらず、衆院の無効選挙がらみの記事がどうも気になる・・・。先日の朝日新聞の記事・・・。

「(耕論)選挙無効の向こうに
 「一票の格差」訴訟で、広島高裁が国政選挙としては戦後初の選挙無効判決を出した。判決に隠された本当の意味はどこにあるのだろうか。なぜ一票の格差は是正されないのだろうか。
今後の裁判官人事に注目 ライター・北尾トロさん
 私は、今回の広島高裁などの「選挙無効」判決に対して、メディアが「快挙だ」といった論調で報道し、中には顔写真付きで裁判長のプロフィルを紹介する新聞まであったことに、違和感を持っています。
 日ごろ裁判所のかたくなな判例重視の姿勢と闘っている弁護士など司法業界の人たちが「山が動いた」的な肯定的な評価をするのはわからないでもないのですが、一般市民の感覚からすれば、「一票の価値が不平等なままで行われた選挙はおかしいからやり直せ」という判断は当たり前のことを言っているだけのように思われます。
 そんな当たり前の判決が、何か大変なことをなし遂げたかのように取り上げられるということ自体、これまでいかに「司法権の独立」ということが空文にすぎず、実際には裁判所が国会や行政寄りの判断をしてきたかを示す証拠だと思います。
 1942年の「翼賛選挙」の際、鹿児島2区で翼賛政治体制協議会の推薦候補を当選させるため政府や軍などによる露骨な選挙干渉や非推薦候補への選挙妨害があったとして選挙無効の訴えが起こされました。大審院の吉田久判事は鹿児島に出張して、様々な妨害を受け、身の危険を感じながらも200人近い証人を尋問した上で、「選挙は無効」という判決をしました。
 判決後、吉田判事は裁判官を辞職し、その後、終戦まで特高警察に監視されたそうです。「司法権の独立」が認められていなかった戦前に、身の危険も顧みずに職を賭して正義を貫いた吉田判事の行為こそ「快挙」と称賛すべきです。今の時代、市民感覚からすれば当たり前の判決を「快挙」というのはいかがなものでしょうか。感覚がずれているように思います。
 むしろ、メディアが注目すべきなのは、選挙無効判決にかかわった、陪席も含めた裁判官全員の今後の人事上の処遇です。私は10年以上前から主に刑事裁判の傍聴を続けています。その中で感じたのは、無罪判決など検察側の主張に反する判決をした裁判官がその後地方の小さい裁判所などに異動させられるケースが少なくないことです。
 裁判官と言っても官僚。自分の人事には敏感にならざるを得ないはずです。「司法権の独立」を貫いた判決をしても人事で不利な扱いを受けないことがはっきりしない限り、良心に従った判断はできないでしょう。
 それと、今回の高裁の「選挙無効」判決に対して、「まだ高裁だから。最高裁の判断を見ないと何も言えない」と言う政治家がいたのにはあきれました。刑事被告人が「まだ、最高裁がある」と言うのと似ています。刑事被告人にとっては当然の権利ですが、国会は最高裁が判決する前に自ら一票の価値が平等になるように改正すべきでしょう。 (聞き手・山口栄二)
* きたおトロ 58年生まれ。「季刊レポ」編集・発行人。著書に「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」「キミはヒマラヤ下着の凄すぎる実力を知っているか」など。 」(2013/04/10付「朝日新聞」p17より)

この記事を読んで、前にテレビで見た、やはり“画期的な”判決をしたがために、出世の道を閉ざされた元裁判官のドキュメンタリー番組を思いだした。
調べてみると、「NNNドキュメント'09「法服の枷~沈黙を破った裁判官たち」(中京テレビ放送)(2009/09/13放送)」(ここ)だという事が分かった。

この番組の解説にはこうある。
「裁判所という大きな組織、その中で出世を重ねるには上司に気に入られなければならない。幾つかの事件では真実は消え、被告人は泣いた」これは36年前、初めて「自衛隊の憲法九条違反」を認定した福島重雄さん(78)の日記だ。判決後、再び裁判長の椅子に座ることはなく、小さな家庭裁判所で退官の日を迎えた。「最高裁の人事制裁だったのだろう」と振り返る。1人が年間300件もの裁判を抱えることもあるという現状。「裁判が効率化し、官僚化する裁判官たち。その多くが良心と保身との狭間で葛藤している」と語る元裁判官もいる。市民参加の「裁判員制度」が始まり、“開かれた”と盛んにアピールされる反面、依然、“閉鎖的”との印象が拭えない現実を検証する。」((ここ)より)
良心と保身の間で揺れる裁判官の実態を伝えるこの番組は、今でも(ここ)で見られる。(CMと番組の中断で、全部をタダで見るのは結構大変だが、見る価値はあると思う)

言うまでもなく、裁判官は憲法でその地位が保証されている。しかしそれは、裁判官という地位であって、裁判所でのポジションではない。裁判所は最高裁を頂点に、下級審までピラミッド状に形成されているが、どの裁判所の判事になるかは、上司の人事。それは企業のそれと同じ。つまり人間の情が入る。結果、この番組のように、違憲判決を出すような判事は飛ばされる・・・。

つまり、今回の憲法違反・選挙無効の判決を出した3つの高裁の判事も飛ばされる可能性大、という事かも・・・。その行く末を誰かがwikiなどで追い掛けて報告してくれると良いのだが・・・
今、世界を相手に大騒ぎをしている北朝鮮の挑発ではないが、国家権力とは、何ともやっかいなものであり、怖ろしいものである。

130411karikari <付録>「ボケて(bokete)」より


« 「がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由」 | トップページ | 「自動車は道具か文化か」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由」 | トップページ | 「自動車は道具か文化か」 »