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2012年11月21日 (水)

“良い音”とは?~ライントランスの効能

前に“「音質」とは何だろう?”(ここ)という記事を書いた。(正解は“勘違い”かも知れないが・・・)
自分の好みの音質は、「弦の柔らかな湿った音が好き」。キライな音は「金属のバリがあるような固い音」。そう“思い込んで”から半世紀が経った。

先日、愛用のコンデンサー型高級ヘッドホン(STAXのSR-009)で聴く音が、何故か耳に突いてきた。NHK FMで聞くアナウンサーの“サ行”の摩擦音が妙に気になるのである。
もちろんこれは東京タワーにFMアンテナがあったとき、マルチパスノイズで悩まされた自分のトラウマが大きく影響している。
でも前にはあまり気にならなかった・・・。フト、ヘッドホンかなと思った。STAXに「アナウンサーの“サ行”の摩擦音がどうも気になる。(イヤホン型の)SR-003では気にならないのだが・・・」と聞くと、「(1万円強の)SR-003と(38万円の)SR-009とは特性が違う。まずヘッドホンに問題は無いと思うが、気になるなら確認します」とのこと。
せっかくなので見て貰ったら、案の定問題なし。そして一緒に、「もし気になるようなら、こんなものを入れると緩和される」と、あるblog(ここ)のコピーが同封されていた。
読むと、「ライントランス」なる製品が世の中にあり、それをCD出力とパワーアンプの間に入れて音質を改善するのだとか・・・。
なるほど・・・。音は“好き嫌い”だ。よって、トランスの特性(言いようによっては“変化”または“悪化”)を利用して、自分の好みの音質に変える・・・

早速入手して試してみる事にした。製品は「KRIPTON クリプトンのCDライントランス LT-10」という製品。調べてみると、入出力は1:1なのでレベルの変化はない。モデルチェンジされた「LT-10Ⅱ」は、バランス出力が増えた反面、RCA出力レベルが-6dBなので半分になってしまう。この両者はレベル設定が違い、全くの別物。
入手してヘッドホンアンプの入力や、FMチューナーの出力など、色々つないでみると、なるほど少し高音の角が取れた感じ。しかし自分の耳はいい加減・・・。ほどなくその差が分からなくなってきた・・・。

でもSTAXさんのお陰で「ライントランス」なる存在を知った。それで色々とNetで検索してみた。すると色々分かってきた。CDが発売された当初、技術の未熟さからか、CDの音質はトゲトゲしたものであり、それまでのアナログレコードの音とは大きな差があったという。それで音をアナログ的に変えるため、一時期「ライントランス」が流行ったという。調べてみるとLUXMANの「LT-1000」(定価15万円、1991年8月発売(ここ))、「MAG-1」(定価12万円)
、それにMarantzの「DLT-1」(定価45,000円、1991年頃発売(ここ))「LT-1」(定価85,000円、1993年頃発売(ここ))の4機種が見つかった。他にもあっただろうが・・・
台数的にはMarantzの「DLT-1」が一番売れていたらしい。

評判を探ると、LUXMANの製品は、「音がまろやかになる」「高域のシャリシャリ感がなくなって、音がアナログっぽくなる」というコメントに惚れた。音をアナログ的に柔らかく、滑らかにする、というコンセプトはまさに自分向き。それで何とかLUXMANを手に入れる事にした。でも2機種ある。何が違う??
調べてみると、「MAG-1」は「LT-1000」の車載用だという。大きさからも重量からも、内部は同じトランスが付いているように見える。しかし「LT-1000」の特性はNet上にあるが、「MAG-1」の仕様はない。取説にも電気的な仕様は書いていないという。それで直接LUXMANに「MAG-1とLT-1000のトランス(=電気的仕様)は同じですか?」と問い合わせてみた。その回答は、
「MAG-1についてお答えします。内部のトランスは同じものです。
インピーダンス比 5.8kΩ:10kΩ
巻線比   1:1.3
最大入力レベル  3.0V
となっております。よろしくお願いします。
ラックスマン株式会社 サービスセンター」

とのこと。

さすがに定価15万円のLT-1000の中古品は今も高価、しかし同じ仕様の、車載用のMAG-1の中古品はヤフオク等で結構安く手に入る。まあ実際に車に装着してあった物だと、程度が悪いが・・・
かくして今回、LUXMANの「MAG-1」の中古を手に入れた。仕様的には、レベルが1.3倍上がる。なぜそうしたか、の理由は分からない。途中に入れるのなら、ゲイン・ゼロが良いのだが、なぜ上げる??

Img_30131 さて、このトランスを入れた効果は??
それはあえて書かない。まあ、じっくりと聞き込もう。でも「アナログ的」という謳い文句のプラシーボ効果もあって、まあ自分にはフィットしそう・・・、とだけ書いておこう。音は“好み”なのである!!(写真はクリックで拡大)

ともあれ、20年も前の製品とは言え、当時の定価が12万円ということは、トランス1個が5万円! たぶんもの凄い性能のトランスなのだろう。
ついでに特性を評価してみた。何のことはない、FMチューナーで、局間ノイズをmp3で10秒ほど録音し、フリーソフト「Audacity」による周波数スペクトラムで比べてみた。(それぞれの写真をダブルクリックして拡大表示し、Alt+Tabで切り替えてみると分かり易い)
(音源L-02TのΣ出力)(LUXMANのMAG-1)(KRIPTONのLT-10)
121121l02tlog 121121luxmanlog 121121lt10log

121121l02tln 121121luxmanln 121121lt10ln

オリジナル音源に対して、MAG-1は素直な特性だが高域が上がっている。LT-10は12KHzのあたりにピークがあるらしい。
もちろんこんな特性は、聞く耳にとってあまり意味は持たないが・・・
ま、相変わらず、何かを追い掛けていたい“エムズくん”なのである。

<付録>
自分は、NHK FMの「歌謡スクランブル」を聞いているが、担当している二人のアナウンサーのうち、Oアナのサ行が、Fアナに比べて強く聞こえるので、NHKに問い合わせてみた。すると回答は、
「O-DJの“サ行の摩擦音”について、Oさんは以前、アナウンサーとしての研修を受けられた際、サ行については無声摩擦音でハッキリと話すことを特に訓練されたようで、それが現在のOさんの発音の個性となっており、F-DJの発音との違いとなっております。
またOさんとFさんの収録環境の違いについて、Oさんが収録されているスタジオはFさんのそれより若干広く、声がこもりにくいということも微妙に影響している可能性があります。
さらに申し上げますと、ラジオ番組は、室内、室外、車中など様々な環境のリスナーに向けて放送を行っているため、声を聞き取りやすくする目的でアナウンスの高音部を若干強調しており、そのため高価で高性能のヘッドホンで聞いた場合には摩擦音の高音部がほとんど減衰せずにダイレクトに聞こえてくることで特に強く感じるということもあろうと思います。NHKふれあいセンター」
とのこと。なるほど・・・、納得。それにしても、ラジオのアナウンスの高音部を上げているとは、初めて知った。確かにラジオで、声を聞き取りやすくすることは大切だね。

<付録>~「週刊現代」(2012/11/24号より)
121121neko


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コメント

こんにちは。

今回のエントリー、
私は音楽は聞けたらいい…くらいのいい加減さなのですが、興味深く拝読しました。ちょっとずれるかもしれませんが、
歌手の中に(例えばMSさん)、「し」の音が日本語の「し」ではなく、英語のsheのように妙に強調して歌う人がいるのは気になって仕方がありません。日本語の歌詞なら日本語らしく、「し」って言ってほしいな。

記事の後の付録にはまっています。
今までの付録、みんな爆笑しました。

【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。サ行の発音は、確かに肉声で聞くと気にならないのに、なぜかステレオで聞くと気になります。どうも自分の性癖のようです。
さて付録の写真。「ボケて」というサイトがあるらしいですね。そこにこんな写真がたくさんあるとか・・・・

投稿: アンディーのママ | 2012年11月22日 (木) 10:36

ライントランスを勧める人がいるので、グーグル検索してヒットしました、上記記事を拝見しました。大変参考になりました。ありがとうございます。これを拝読して、全く購入する必要は無いと判断できました。

尚、私は時々NHK FMの朝七時のニュースをAVアンプ内蔵チューナーで聴くのですが、YAという女性アナウンサーの「シ、チ、ジおよびこれにヤユヨが付帯した音」の摩擦音がうるさいので、高音を下げるように調整して欲しいとメール要請しましたが(先月のことです)、例の自動応答メールが来て以来、無しのつぶてです。人によって対応が随分違うのだなあと呆れました。

また、別の日々の記事などもおいおい拝読し、参考にさせて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

はうろ

【エムズの片割れより】
自分も摩擦音については、気になる方で、気のせいでしょうが、ライントランスを入れたら、気にならなくなりました。

投稿: はうろ | 2013年8月 6日 (火) 15:56

MGA-1とLT-1000について

小生 ホームとCARの両方のオーディオを趣味としております。
CARのシステムでどうしても高域が“暴れる”のです 
グライコで押さえたら 透明感・躍動感・情報量が無くなるし

そこでMAG-1を購入し、先ずはテストの為ホームに接続。
心配していたレンジが狭くなる 情報量の低下
ミズミズしさの欠如はなく 
悪い意味での音が丸くなることも無かった。
反対にごく微量のエコーがのる=これは非常に心地よい。
ただ、明らかに“なにか”を追加したような不自然な音。

今度はCARに取り付け
“化け”ました。
改善目的の“高域のあばれ”は無くなり 
ホームに近い音に やっと音楽鑑賞の域になりました
それに加え 微量のエコーも非常に良い。

MAG-1を外したホームは今まで聴いていた状態へ
ただ、あの微量のエコー感が欲しくなり
LT-1000を購入。
セットしてみるとMAG-1の“なにかを追加したような
不自然な感じ”はない
それどころか 非常に自然で今までのシステムに微妙にエコーがのった感じが出て満足。

同じLAXMANでも、内部のトランスは同じでも
全くの別物
筐体がプラスチック+鉄と木材とでは表現が全く違うことに驚き!

さらにセッティングを詰めることに
LT-1000は“足”が高密度フェルト
これをΦ14✖t5㎜カーボンに交換
はじめは四隅セッティング "全くダメ"
純正の高密度フェルトよりレンジの広さ・情報量・透明感が無くなる カーボンを入れたのに反対にゴム感が出てしまう。

それではと上記カーボンインシュレーターをトランスがあるであろう
LT-1000の中心に4個 噛まし直し

『来た~!』
レンジは上下に広くなり・透明感も増し 当然情報量もUP!
ごく微量のエコーも気持ち多めになり 聴きやすさもより良くなる。

今回の一件を振り返ると
MAG-1はホームにつなげた時に 単にラックに置いただけ
CARに取り付けた時は同梱の木ネジでオーディオボードにしっかりと固定。
これによってホームでの不自然感がCARでは感じられなかったのか?
もちろんルーム環境・システムは全く違うが・・・

MAG-1とLT1000は別物。

LT-1000はセッティングを詰めると更に良くなる。

オーディオ とくにホームは『Simple is Best』が基本。
しかし今回の“ライントランス”の追加は それに反して 
非常に良い結果が出た。

後日談
ライントランスについて調べていると
CDプレーヤーの往年の名器
A730
LHH2000
等の業務用向けの高級機種には“アウトプットトランス”が装備されていた。

また、Jeff Rollandのプリアンプ・プリメインアンプには“インプットトランス”が装備されていた。

【エムズの片割れより】
詳細なレポートをありがとうございました。自分以外にも、ライントランスを検討されている方の参考になると思います。
自分も、余計な物(トランス)を入れることに躊躇しましたが、余計でないこともあるのですね。
ありがとうございました。

投稿: WildWeasel | 2017年11月20日 (月) 19:55

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