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2012年10月 9日 (火)

「世界の高齢化 長寿の配当受け取る社会を」

先日の朝日新聞「私の視点」に「世界の高齢化 長寿の配当受け取る社会を」という記事があった。国連の立場の人から見た日本の高齢化社会とは・・・・? 曰く・・・

<私の視点>世界の高齢化 長寿の配当受け取る社会を
    国連人口基金(UNFPA)事務局長 ババトゥンデ・オショティメイン
 国際高齢者デーの10月1日、国連人口基金(UNFPA)は高齢者支援に取り組む民間団体「ヘルプエージインターナショナル」とともに報告書「21世紀の高齢化 祝福すべき成果と直面する課題」を東京で発表した。
 高齢化が世界全体で急速に進んでいる。現在、60歳以上(国連では60歳以上を高齢者と呼ぶ)は9人に1人だが、2050年には5人に1人になる。とくにアジアにおいて高齢者の比率の増加が際立つ。こうした現状を知らせ、各国政府に必要な対応をとるように促す報告書を発表する場として、私たちは日本を選んだ。
 日本は世界一の高齢社会だ。高齢者比率は12年の統計で31.6%で、世界で唯一、30%を超えている。だが今回日本を選んだ理由はそれだけではない。より大きな理由は、世界の手本となる国だからである。
 例えば「敬老の日」の存在は世界が見習うべき慣行だ。60歳を超えても働き続けられるし、起業したければ融資も受けられる。国民すべてが加入する医療保険システムや年金制度、支援が必要な人たちを登録し、必要に応じてケアを提供する介護保険システムもある。認知症の対策を全国規模でとっている点はとりわけ評価できる。大切なのは、高齢者をコミュニティーの一員ととらえる考え方だと思う。こうした日本の取り組みは、途上国の多くにとって非常に参考になる。ぜひ広く世界に伝えてほしいと願っている。

 今年は「高齢化に関するマドリード国際行動計画」が採択されて10年の節目だ。この計画は02年にマドリードで開かれた第2回高齢者問題世界会議でまとまった。その後の10年を振り返ると、高齢者問題が重要だという認識は各国政府で明らかに高まっている。しかしまだ十分ではない。この間に高齢者のための法律や国家計画をつくった国は57。世界に190以上の国があることを考えると、あまりに少ない。
 高齢者対策の第一のポイントは所得の保障だ。高齢者が経済的に自立できるよう後押しし、力づけなければならない。第二は保健医療サービスの提供だ。安価でアクセスしやすいヘルスケアが必要である。この二つのポイントを人権という基礎にたって進める。つまり、年金や医療保険は高齢者の権利であるという考え方が大事である。さらに、これらの制度で家族全体が利益を得ることも忘れてはならない。
 高齢者に優しい社会は、高齢者が貢献できる社会である。実は高齢者の生産性は高い。正しい措置が講じられれば、社会は長寿の配当を受け取ることができる。
 ところが、「高齢者に仕事を」と訴えると、若者に仕事の優先権を与えるべきではないか、と反問されることがある。若者の失業率の高さが多くの国で問題になっているのは事実だ。しかしこれは「高齢者か若者か」と二者択一を迫る問題なのか。質の良い仕事はすべての世代にとって重要である。
 国際労働機関(ILO)が提唱する「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」という理念に、私たちは共感する。若者にはディーセントワークを提供すべきだが、それは決して高齢者の柔軟な働き方を妨げるものではない。高齢者には経験があり、知恵があり、ノウハウがある。若者のディーセントワークを支えるのが高齢者だろう。柔軟に働くことは、すべての人の利益になるはずだ。

 UNFPAの大きな使命は人口爆発を防ぐことだった。過去60年間で合計特殊出生率(女性1人が産むと見込まれる子どもの数)は6.0から2.5へと半分以下になった。私たちは、産む、産まないは女性が選択すべきだという考えを広め、女性差別をなくすように求めて出生率を低下させてきた。だがそれが高齢化社会をもたらしたわけではない。高齢化は衛生、環境、栄養、医療、保健のすべてを改善してきた結果、我々が勝ち取ったものだ。まさに祝福すべき成果なのである。
 とはいえ、各国政府が必要な社会制度を整えなければ、たちまちさまざまな問題が噴出するだろう。素晴らしい制度を持っている日本でさえ、不断に努力する必要がある。高齢化は未来の問題ではない。まさにいま現在、取り組まなければならない課題だ。そこで重要なのは、高齢者は多様であるという認識である。貧困層、女性、男性といった集団ごとに特有のニーズがある。それぞれに応じた対策を講じていかなければならない。
 近代化した社会では、子どもは親から独立し核家族を作る。親は高齢になっても自立していたいと望む。この流れを逆戻りさせるのは難しい。高齢者が自立して暮らすには、年金や医療制度を整えるだけでは足りない。暮らしやすい家、使いやすい交通手段、栄養十分な食事、そしてコミュニケーションが不可欠だ。最近の情報技術の進展は、親と子、祖父母と孫がつながるのに大いに役立っている。こうした最新技術の活用の面でも、日本は世界のお手本になると期待している。(構成・編集委員・高橋真理子)
(ババトゥンデ・オショティメイン=49年、ナイジェリア生まれ。同国の保健相、国家HIV/エイズ活動委員長などを歴任し、11年から現職。) 」(2012/10/08付「朝日新聞」p15「私の視点」より)

毎回言っているが、同じ事象も、見る視点が異なるとその風景は大きく違って見える。
日本の高齢化社会も、見方によって“世界の手本となる国”と見えるらしい。しかもそれが、国連の人口問題担当の事務局長が言うのだから、その意味は重い。
「高齢化は衛生、環境、栄養、医療、保健のすべてを改善してきた結果、我々が勝ち取ったものだ。まさに祝福すべき成果なのである。」とまで言われてみると、そんな見方もあるな・・・とも思う。

先日、市役所から介護保険証が送られてきた。介護認定の申請もしていないのに、何で??と思ったら、65歳に達すると機械的に全員に保険証が送られてくる仕組みらしい。

話は飛ぶが、(大きな声では言えないが)今朝大事件が起きた。出社前にいつものコーヒーショップでコーヒーを飲もうと、コーヒーカップにミルクを注いだ。すると、何と!!近くに置いてあった水の入ったコップが白く濁った・・・! あわてて“誰か見ていないかな・・・?”と、周囲を見回してしまった・・・
この世に生を受けて65年。その長い人生で、コーヒーを飲むとき、コップの水が白く濁ったのは初めて・・・・(まあ単純に、隣のコップにミルクを入れてしまっただけだが・・・)

あれだけ「何でオレに介護保険証なんだ?」とバカにした青い介護保険証が、妙に身近に感じられる秋の夜である。


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コメント

本当に、全然違う見方ですね。新鮮でした。

【エムズの片割れより】
世の中には色々な見方があるようで・・・・

投稿: tamakist | 2012年10月10日 (水) 18:19

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