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2012年10月 5日 (金)

“ことば”は生きもの~若者言葉から

今日の夕方のNHKニュースで、俳優・大滝秀治さん(87)が死去したと報じていた。存在感があった俳優であり、段々寂しくなる・・・。

さて、先日の朝日新聞「天声人語」にこんな記事があった。
「生まれては消え、消えては生まれ。うたかたのような言葉の中にも、生き延びて市民権を得るものがある。腹が立つ意味の「むかつく」もどうやら根を張ったらしい。日常会話で使う人が全体の約半数、30代までに限れば4分の3を超えるそうだ.
文化庁の国語世論調査は毎年、ひとしきりの話題を提供してくれる。今年の調べでは、「なにげなく」を「なにげに」と言う人が約3割いた。「正反対」を「真逆(まぎゃく)」、「中途半端でない」を「半端ない」がともに2割強と聞けば、言葉は生きものだと痛感する。
この手の言葉は、若者の間から生まれて、年かさの世代へ攻め上がる。年配層は眉間(みけん)にしわが寄るが、「真逆」も「半端ない」も16~19歳では6割以上が使っている。遠からず定着と相成るのだろう。
これを乱れと見るか、言葉の賑(にぎ)わいと見るか。茨木のり子さんに「日本語」と題する詩がある。〈制御しがたい奔流は/濁りに濁り/溌剌(はつらつ)と流れてゆくがいい/決壊を防ごうと たとえ百万人/力を併せて清潔なダムを作ってみても/そこに魚は住まないだろう〉。
茨木さんは別の随筆で、聞き苦しい言葉は無数にあると言いつつ、「いやな日本語を叩(たた)きつぶせば、美しい日本語が蘇(よみがえ)るというものでもないだろう」と書いていた。
曖昧模糊(あいまいもこ)を「あいもこ」、かくかくしかじかでを「かくしかで」――などと若者言葉は多彩だ。眉が八の字になりかけるが造語の才には脱帽する。頑迷にならず、迎合もせず、生きた濁流を眺めようか。 」(2012年9月29日付「朝日新聞」「天声人語」より)

ウーン・・・・。この造語には「むかつく」な~~。(おっと「むかつく」を初めて使ってしまった!!)
言葉には品性というものがあると思う。ここに挙げられた「むかつく」「なにげに」「真逆(まぎゃく)」「半端ない」などという言葉は、自分的には品性があるとは思えず、古い自分は使ったことが無い。
ところで、これらの言葉は、広辞苑的にはどうなのだろうと、引いてみた。すると・・・・
「むか‐つ・く  自五
 ①胸がむかむかする。吐き気をもよおす。「飲みすぎて胃が―・く」
 ②癪しやくにさわって腹が立つ。「相手の態度に―・く」  」

が、ひとつだけ見つかった。

考えてみると、そりゃそうだ。広辞苑に載っていないからこそ話題になる。
確かに、中国の簡体字ではないが、効率化のために言葉を略する流れはあるのだろう。しかし、“造語の才には脱帽する”ものの、“感心する”造語はあまり知らない。
文化庁の国語世論調査をちょこっと覗いてみた(ここ)。
すると自分もエラそうに言えないな・・・と思った。
そこには誤使用例があった。
「失笑する ⇒○こらえ切れず吹き出して笑う ×笑いも出ないくらいあきれる」
「割愛する ⇒×不必要なものを切り捨てる ○惜しいと思うものを手放す」
「にやける ⇒○なよなよとしている ×薄笑いを浮かべている」
自分は少なくても上の3つは×。でも皆で渡れば怖くない!?お互いが間違って使っていればそれはそれで平和・・・

話は変わるが、ふと、昔のテレビドラマ「JIN -仁-」(ここ)を思い出した。
若い脳外科医が江戸時代にタイムスリップする話だが、当時「江戸時代にタイムスリップしても日本語は同じかな?通じるのかな?」という疑問を持った。
しかしこの天声人語を読んでいると、自ずと答が出ていることが分かる。
つまり、時代時代によって、時の言葉は違う。“てにおは”は同じでも、名詞の類は、ほとんどが違うだろう。つまり、時の文化が違うので、話はほとんど通じないのでは!?

おっと、自分とて平成の世に生きる者・・・。幾ら世代が違うとは言え、同じ時代の言葉が分からない・・・というのでは、あの世に行ってからみっともない。せいぜい、若い人の言葉を理解するよう努力でもしようか・・・(←直ぐに忘れると思うけど・・・)


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コメント

「なにげなく」を最近の若者ことばでは「なにげに」というのでしょうか?私もこの言葉の意味、使い方がいまひとつよく分からない一人ですが、「なにげに」と「なにげなく」は少し(?)違うような気がします。「○○さんはなにげにパソコンがうまい」というふうに使うようですが、「なにげなく」では意味をなしません!「半端ない」ではなく、「半端じゃない」ではないでしょうか?それなら、TVのドラマ、トークショーでよく聞きます。
最近はじめて知ったことがあります。「高学歴」とは大学あるいはそれ以上の教育機関を卒業していることではなく、偏差値が高い大学を出ていることをといい、大学卒でも偏差値の低い大学を出ていると、「低学歴」というふうに最近(の若者の間で)は使われているようです。また、「英訳」という言葉は最近の(学生の間での?)使い方では英語を日本語に訳すことで、日本語を英語に訳すことではないようです。意味がまったく逆になってしまって、それこそ真逆?ですね。エムズのかたわれさんはご存知でしたか?こうした言葉づかいの変化は保守的な私には日本語の乱れ以外の何物でもないように思えますが。。。

【エムズの片割れより】
一例一例が実に新鮮で・・・。
世の中、そんなになっているのですか・・・。「英訳」は英語に訳す、ではなくて英語を訳す・・・!?
「高学歴」も、5割を越した進学率の世の中では、なるほど・・・とも思えますが、さてさて、言葉はまさに生きていますね・・・

投稿: KeiichiKoda | 2012年10月 8日 (月) 15:13

ことばは生きものという考えは長い目で見ればを肯定しなければならないと思う自分と、間違った使い方も一般的になれば容認されるということには簡単には同意できない自分とが、いつも向き合います。ひいては国語のテストで昔は×だった問題が今は○になることがあってもいいのかという疑問にぶつかるのです。

【エムズの片割れより】
時代と共に言葉が変わって行くのは仕方が無いとしても、恣意的に歪曲されて変わって行くのはイヤですね。
前に、英語で何か疑問点が出るとシェークスピアの文章を確認する・・という話を聞いた事があります。日本ではそんな話は無いですね。つまり、常にニュートラルなので、変わっていく・・・

投稿: かえるのうた | 2012年10月 8日 (月) 16:02

最近、エリック・フォーナー「業火の試練―エブラハム・リンカンとアメリカ奴隷制」という本を読みました。著者はアメリカを代表する歴史家、この本の原著は2010年に出版され(私が読んだのは白水社から出版された翻訳書)、ピュリツァー賞をはじめ、数々の賞にかがやく格調高い本なのですが、 驚いたことがあります。驚いたのは内容ではなく、この本の133ページの「・・・だが、判決の結果、真逆の事態になった。・・・」という文を読んだときです。若者言葉はアカデミズムの世界にも浸透しているのだ!という驚きです。ちなみに、訳者は、ある大学文学部の専任講師(女性)の由ですから、おそらく博士課程を出たばかりの、若い女性なのでしょう!

【エムズの片割れより】
にわかには信じ難い話ですね~。それとも、自分たちが既に時代に取り残されている??
いやはや、少し若者言葉を勉強しますかね・・・。

投稿: KeiichiKoda | 2013年9月15日 (日) 09:43

上のコメントへの追記です。「小林(秀雄)が高潔で論理的な人格者どころか、それとは真逆の人間だった事を示す数多くの逸話には驚かされた。」誰の文章だと思いますか?昨日の読売新聞朝刊(11/10/2013)読書欄に載った書評の一部で、評者は、「若者?」ではなく、宇宙物理学専門の東大教授です。どうして「・・・それとは正反対の人間だった・・・」ではいけないのでしょうか?言葉というのは、こういうふうにして変わっていくものなんですね!
 エムズの片割れさんは、「手のひらを返す(反す)」という言葉を使われますか?この言葉は比較的最近(?)の言葉で、我が家にある「広辞宛」(第2版、昭和48年第7刷)には出てきません。代わりに、「手の裏を反す」という言葉が収録されています。以前「文芸春秋」の随筆欄で、たしか作家の円地文子さんだったと思いますが、最近は「手の裏を反す」という言葉が「手のひらを反す」という言葉にとって代られてしまったといって嘆いていたことを覚えていますが、前者は日葡辞書(1603年に刊行された日本語・ポルトガル語の辞書)にも載っている古い表現なのですが、同じ意味なのに、いつのにまか後者の言葉が使われるようになってしまったのです。「正反対」という言葉も「真逆」という言葉に取って代わられる日も近いのかもしれませんね!

【エムズの片割れより】
「手のひらを返す」という言葉は使いますよ。PCに入っている広辞苑では「【広辞苑第五版】○手の平を返す がらりと態度を変える。「手の裏を返す」とも。 」とあります。
でも「真逆」に取って代わられたくはないですね・・

投稿: KeiichiKoda | 2013年11月11日 (月) 07:29

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