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2012年7月 7日 (土)

「夢についての夢」

先日の日経新聞にこんなコラムがあった。曰く・・・

夢についての夢  栗田有起
 10歳くらいのころ、死というものが恐ろしくて、眠れなくなることかあった。もしも、寝ているあいだに死んでしまったら、どうしよう。そう考えると不安でたまらなかった。
 死の恐怖を克服したのは、夢がきっかけだった。
 夢のなかで私は、宇宙人に遭遇する。宇宙人は、これから地球に侵略する、と告げる。ただし、それを回避する方法がひとつある。それは、私がいけにえとしてその身を捧げることである。あなたひとりが死ねば、地上の生物すべてが助かる。
 さあ、どうする。宇宙人がいう。
 夢のなかの私はじつに立派で、そういうことなら、喜んでこの命を投げだそう。即座に決意する。笑顔で「行ってきます」と手を振りながら、私は地球をあとにする。みんなの役に立てたという満足感で、胸をいっぱいにしながら。
 目覚めたときも、その満足感は全身を満たしていた。もちろんそれは夢とわかっていたけれど、そこで感じた勇気と自信は、体のどこかに根づいた気がした。もう、だいじょうぶだと思った。以来、死の恐怖にとりつかれることは、二度となかった。
 それからしばらく、眠るのが楽しくて仕方なくなった。なぜだか、夢のなかで、自由に振るまうことができるようになったからだ。
 空を飛びたいと思えば、飛べる。どこまで高く飛んでも、怖いけど、平気である。私は、自分が夢をみていることが、わかっていた。
 あるとき、夢のなかで、はっとひらめいた。そうだ、これは夢なんだから、現実の世界ではできないことをやってしまおう。気にくわない同級生を、とっちめてやるのだ。さっそく私は同級生を探しはじめた。
 すると、その場にいたひとびと、全員がこちらをじっと見つめるではないか。
「そんなことを、してはいけない」
 みんながそう警告するのである。私の夢なのに、他人がいる。
 目が覚めてからも、その驚きは消えなかった。そして、もう二度と、夢をコントロールするのは止めようと決めた。自分の夢なのだけれど、勝手に動かしたら、誰かに迷惑がかかるかもしれない。そう思えて、神妙な気持ちになったからだった。いまでも、そのときのことを思い出して、不思議な気持ちになる。
 夢をみるのは、現実の体験の一部に思える。だから、軽々しくあつかえない。一時期、夢日記や、夢占いに凝ったけれども、止めてしまった。
 夢という働きを、なにか現実の生活に役立てられないか、そういった損得勘定は、夢にたいして、なんだか失礼に思われたからだ。
 粘菌研究で知られる学者、南方熊楠は夢にも興味を持ち、多くの記録を残したという。なかには、近しいひとの死にまつわる予知夢をみた記述もあるらしい。
 夢とは一体なんなのか。生きものはなぜ夢をみるのか。
 たとえば、死のなんたるかは、死者でなければ知りえないのと同様に、夢についても、夢のなかでしか、その本質をとらえることはできないのではないか。そんな気がする。
 そのメカニズムはいつか科学的に解明されるかもしれない。それはそれとして、私は私なりに、夢というものの正体の一片でもつかみたいと思う。
 夢に助けられた人間のひとりとして、それが私の夢である。(作家)」(2012/06/30付「日経新聞」夕刊p4「プロムナード」から)

夢は得体の知れないもの・・・。たぶん人間の潜在意識が夢となって現れるのだろうが・・・
先日、悪夢を見て、強引に目を覚ました。病院で、医師から何かの宣告を受ける場面・・・。それを聞きたくないために、「これは夢だな・・・」と分かっていたので、「それじゃあ、起きちゃおう・・・・」とばかりに起きた。
それでホッとする。宣告を受ける前に逃げちゃった・・・・
こんな事がこの所続いている。自分に都合が悪い夢になると、どこかで「どうせ夢だろう・・」と強引に目を覚ます・・。よって睡眠の質が益々悪くなる。
こんな悪夢もあり、日に日に睡眠が浅くなって行くのを感じる。ひどい時には2時間おきに目を覚ます。肉体的に疲れていないせい、とも言われるが・・・。

「夢」について、改めて広辞苑を引いてみた。
「ゆめ【夢】(イメ(寝目)の転) 
①睡眠中にもつ幻覚。ふつう目覚めた後に意識される。多く視覚的な性質を帯びるが、聴覚・味覚・運動感覚に関係するものもある。古今和歌集恋「思ひつつ寝ぬればや人の見えつらむ―と知りせばさめざらましを」。「―を見る」
②はかない、頼みがたいもののたとえ。夢幻。古今和歌集哀傷「寝ても見ゆ寝でも見えけりおほかたはうつせみの世ぞ―にはありける」。「―の世」「太平の―」
③空想的な願望。心のまよい。迷夢。「いたずらに―を追う」
④将来実現したい願い。理想。「海外雄飛が彼の―だ」「―を描く」

夢という言葉にも色々な意味がある。ロマンチックな響きや、未来を暗示する響きも・・・。でも寝ているときに見る夢だけは、悪夢ではなく、“ステキな彼女と・・・”なんていう、「続き!」を期待したいような夢を、“自分の意志”で見たいもの・・・。
悪夢を良く見る“人間のひとりとして、それが私の夢である。”


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コメント

おはようございます。

そういえば昨夜も夢を見ませんでした。
映画好きとしては、夢は無料で見られる
映像、しかも同じ内容のものは
再び見ることがほぼ不可能。
貴重ですよね。

「飛ぶ夢をしばらく見ない」という映画が
あったそうですが(未見)、
最近飛ぶ夢を全然見なくなって残念。
自由に空を飛べるって、爽快です。

「蝉しぐれ」、お蔭様で全話見ました。
非常に丁寧に作られていて、キャスティングも
よかった。
再放送では子供時代が省かれていたんですね、きっと。
映画では父の遺体を運ぶのが
少年時代の文四郎だったので、
その方がよかったように思いました。

【エムズの片割れより】
「蝉しぐれ」は、前に放送された番組も録画してありますが、今回は再編集ですかね。主題歌も良いけど、おふくの上品さが好きです。

投稿: アンディーのママ | 2012年7月 8日 (日) 09:46

本題と違うことのコメントですみません。

「蝉しぐれ」の再放送のお知らせありがとうございました。
今回は録画も忘れず、しっかり見ました。
キャスト、バックに流れる音楽。。。とても良いな~と思っている私です。
草笛光子さんのナレーションもステキでした。

TVでの印象があまりにも強かったので、映画の方は我慢!!しました。

【エムズの片割れより】
確かに、TVドラマの印象が強いと、映画を見るのが怖くなりますよね。自分の場合、「蔵」がそれですね・・・

投稿: みすず | 2012年7月 8日 (日) 19:06

夢はもうひとつの現実の世界だと悟らさせてくれるのが面白いですね。意思というものの中味の選び方について、地上に住む人間はもっと熟考していれば、今のような世の中になっていなかったと思います。

【エムズの片割れより】
たぶん夢も「火のない所に煙は立たない」と同じかも・・・。どんな夢も、潜在的に何かあるのでしょうね・・・

投稿: み~子 | 2012年7月 8日 (日) 20:36

 嫌な夢から自発的に目を覚ますことが出来るのはすごいな、いいな、と思ったのですが、それが睡眠の質を下げるのでは良くありませんね。

 ちょっと思ったのですが、「どうせ夢なんだし・・・」という気持ちで、思い切って「宣告」を聞いてしまうというのはどうでしょうか? 嫌なこと、都合の悪いことに立ち向かう練習、みたいな感じで・・・。

 なんて、他人事だから言ってるんですよね。

【エムズの片割れより】
最近、確かに睡眠の質が悪くて困っています。
我が家の家訓に「臭いものには蓋」があるもので(?)、どうしても逃げちゃう・・・
(プリ)リタイアしてから、益々根性が無くなりました。トホホ・・・

投稿: Tamakist | 2012年7月 8日 (日) 23:42

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