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2012年5月10日 (木)

STAXのヘッドホン試聴室に行った~SR-009に魅了される

昨日(2012/05/09)、埼玉県入間のSTAX(スタックス)本社の試聴室に行ってきた。
NHK東京FMの電波の質が、スカイツリーへの送信アンテナ移転で解決し、一気に手持ちぶさたになってしまった。(何か、常時“凝る”テーマが欲しいのである?)
自分の聞くスタイルは、CDよりも、むしろFMから流れる知らない音楽の発掘?(別に色々なジャンルの音楽を積極的に聴く方でも無いのだが・・・)
我が家では、前にも書いたが(ここ)、FMの放送をSONYのNAC-HD1というHDDのPCMレコーダーで録音している。再生は、光のD/Aコンバーターから、STAXのドライバー「SRM-252S」(「SR-005S」のセット)にコンデンサー型イヤースピーカー「SR-003」をつないで聴いている。

さて次に何を探索しようか・・・。FMチューナー(L-02T)も優秀だし、再生のNAC-HD1の光出力も音質では定評のあるところで、自分も不満はない。そして(半世紀前の学生の頃から使っていた)STAXの、先日買ったコンデンサーイヤホンSR-003にも(何より軽いので)惚れた・・・、となると、後はイヤホンを駆動するドライバーしか残されていない・・。というワケで、最近、STAXのドライバーに興味を持ってきた。
本来は、音質にはヘッドホンそのものが一番重要なのだが、重くてうっとうしいヘッドホンタイプは自分は苦手。しかし、STAXに“夢のような”イヤホン型のコンデンサーイヤスピーカーがあると知って飛び付いた。よって自分の場合、このイヤホン型のSR-003使用が大前提になる。
今使っているドライバーはSTAXの最廉価版のドライバーSRM-252Sで、単品売りはしていないものの、逆算すると定価27,300円。一方STAXでは、最高級の15万円のものまで色々なラインアップがある。
最初に不安になったのが、定価15,750円のイヤホン型SR-003を高価なドライバーにつないで、果たして音が良くなるかどうか・・・。多分無理をして小さく作っているイヤホン型なので、この音質改善には限度があるのでは・・?ということ。

素直にSTAXに聞いてみた。すると、いくらイヤホン型でも、ドライバーによって、それなりの音質の改善は見込めるとのこと。それでは・・・と検討が始まった。では真空管式にするか、半導体式にするか・・・。真空管式はオーディオの世界では未だに寿命を長らえているが、どうだろう・・・・
色々とSTAXには教えて貰ったが、やはり「百聞は一見に如しかず」ではなく「“一”聞は“百”見に如しかず」なので、ぜひSTAXの試聴室で現物を聞いてみて欲しい、と強く勧められた。
前に、新宿のヨドバシでSTAX製品の聞き比べをしてみたが、正直なかなか分からなかった。やはり店頭の雑踏の中では、STAXの繊細な音の聞き比べは無理?? それに引き替え、専用の試聴室なら、自分の聞き慣れたCDでゆっくりと比較が出来る。何よりも、静寂な環境で聞けるのは有り難い。それに、所詮音質など、好みの問題。幾ら他人が良い音だと言っても、自分の好みに合わなければ、金を出しても意味がない。よって、遠くは、山口県の人も深夜バスで試聴に来たこともあると言っていた。

それで昨日、たまたま武蔵野線で外出する用事があったので、帰りに途中下車して、STAXの試聴室に行ってきた。前段が長くなったが、そこで見聞きしたことを次に整理してみた。

★ドライバーのラインアップが3万円から15万円まで色々あるが、何が違うのか?仕様では、周波数特性だけが違うようだが・・・?
⇒コンデンサー型は電気部品のコンデンサーと同じ性質の特性を持っているので、専用のアンプは高域ほど高いドライブ能力が要求される。性能を向上させて行くと消費電力も増え、形状も大きくなってしまうので、価格とのバランスで数種類のドライバーユニットを用意している。
高級品ほど周波数特性が伸びているのは、高域が伸びるほど可聴範囲での振幅特性(変調度)が良くなり、余裕を持って高音を再生出来る。しかし、そのためには沢山の電気を使い、部品もセットも重くなる。廉価版のSRM-252Sは、安くするために、周波数特性もギリギリで設計している。

★真空管式と半導体式の音質上の差は?
⇒真空管式の一般的な感じ方は、比較的豊かな中低域と中高域の「響き感」が特長。しかしこれらの特長が聴きかたによっては「個性(色付け)」のように感じる場合もある。
半導体式のSRM-727Aは全体域にわたってくせが少ない印象でオールジャンルに適している。しかし誇張されたところが無いので、聴きかたによっては冷たい印象にもなるかもしれない。高い電圧を使う、という意味で、コンデンサー型と真空管式は相性が良い。

★真空管式のSRM-006tSとSRM-007tAの違いは?
⇒両モデルは、奥行きが違うだけで、表面と裏面のデザインは同じ。しかし、内容(設計)的には全く別物。SRM-007tシリーズは初代SRM-006tをベースにセレクトした真空管をパラにして低インピーダンス化やドライブ能力を向上させており、高品質部品の使用と相まって価格的には大きな差が発生している。真空管は一本一本特性を測って、セット毎に特性を合わせて使っている。よって、真空管の交換時には、調整が必要。

★真空管は消耗品だが、将来の部品の供給に心配はないか?
⇒STAXが使っている真空管はロシア製。たぶんSTAXがそのメーカーの最大のユーザ。真空管はSTAX内でも豊富に在庫しているし、コンスタントに使っているので、需要と供給の関係で、簡単に製造中止になる事は無い。真空管は、長期間保管していても、真空が保たれている限り、問題は無い。

★真空管が寿命だと判断する基準は?
⇒音のバランスが崩れたり、ノイズが乗ったり、という現象が出るだろう。普通に使う限りは、真空管の寿命は相当長い。

STAXの試聴室に入り、ズラリと並んだドライバーを、持参したCDとSR-003で聞き比べた。結P11107461果、廉価版のSRM-252Sに比べると、他のどのモデルも、音が良いのは分かるが、自分の駄耳ではそれほどの差は感じられない。でも一機種、際だって自分にフィットするモデルが見つかった。でも困った・・・。それが結構高いのだ・・・。(好みの問題なので、あえてモデル名は記さない)
約1時間だったが、メーカーの試聴室で、店頭の機器と違って“性能バッチリ”の全機種を、取っ替え引っ替え自由に試聴出来る贅沢さは格別。一人で自由にさせてくれるのも有り難い。もちろん監視カメラも付いていない(笑)。でも、もしイヤスピーカーとドライバーのすべてを聞くなら、1時間では足りない。(写真はクリックで拡大。STAXの掲載許諾済み)

帰りがけに、STAXさんが「話のタネに、これを聞いてから帰って・・・」と、ガラスケースの中かP11107421 らヘッドホンを一つ出してつないでくれた。それを耳にして、その音に愕然・・・。
今まで聞いていた1万3千円のイヤホン型と、あまりの音の違いに・・・・。自分の口から出た言葉が「別世界・・・。格が違う・・・」。これは他モデルとの比較ではなく、絶対値としての感動。最高級のSR-009というモデル(定価38万円)だという。
聞くと、このSR-009が発売されたのが、昨年の震災の直後(2011年4月発売)。発売時期は悪かったが、予想以上の売れ行きとか・・・。このモデルは、完全手作り品とのこと。・・・だとすると、STAXの試聴室にあるセットは、たぶん最高にチューニングしたベストのものなのかも・・・・。

試聴の帰りは、川に沿った道を駅までブラブラ・・・・
今日の一番の失敗は、目的外の「SR-009」の音を聞いてしまったこと。あの音が、耳にまだ残っている・・・。あんな重たいヘッドホンなど、自分は一番キライなはずなのに・・・。
今回悟ったことは、電気屋さんの店頭での試聴は限界があるということ。やはり行くのは面倒ではあるが、STAXの試聴室で聞き比べるのが一番。しかし注意しなければいけないのは、「SR-009」は決して聞いてはいけない・・・。

あれ以来、「SR-009」のカタログを前に、ため息をつく毎日である。人生、いつまで生きるか分からない。ちょっと位、贅沢をしても良いのかな・・・・。でも相当に重い。音は良いが、肩が凝るとか・・・・。
調べると、発売直後の2011年6月にヤフオクに出品していた人がいた。コメントには「音は最高ですが個人的に重量が気になるので手放します。」・・・やっぱり・・・・
SR-009の本体にケーブル1mの重量が頭にかかるとすると、約500g。今持っているSONYのヘッドホン(MDR-DS8000、350g)に、単一のアルカリ乾電池をくくりつけて、実験を始めた。それでも470g。これで、肩が凝るようだと、自分の場合、音質どころではない。
前にも書いたが、イヤホン型のSR-003は、何よりも軽いので助かる。最高級のイヤホン型が発売されると良いのだが・・・

うーん。でもSTAXに、してやられたかも・・・。「SR-009」の音を聞かなければ良かった・・・・。何度も言うが、今回はドライバーの選定が目的だったのに・・

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コメント

私が始めて出会ったStaxはヨドバシカメラ秋葉原店で、騒音のためか、違い判りませんでした。
今夏、古いT1sとSignatureを買って帰り、初試聴したときにはびっくりしました。
擦弦楽器を演奏時の音そのまま音が聞こえるし、今まで聞こえなかった音が再生されるし、とりつかれてしまいました。
エムズさん、STAX試聴室にSR-003を持ち込まれ、ドライバーアンプ聞き比べた結果
一機種だけ際だってフィットを感じたモデル名が有ったとのこと、そろそろ教えてくださいませんか?

【エムズの片割れより】
ホホホ・・・。答えは「SRM-007tA」で~す。
上の話をしてくれたSTAXの鈴木さんは、「自分は半導体式のSRM-727Aが好きだ」と言っていました。好みですね・・・
自分のSR-009とSRM-007tAとの組合せは、入力が3つあることも便利で、聞かない日はありません。もはやHAP-Z1ESとともに、“人生の宝”ですね。

投稿: さて | 2015年9月 9日 (水) 21:05

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