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2011年8月27日 (土)

「危ない場所」

先日の日経新聞のコラム「あすへの話題」で、「危ない場所」という記事があった。曰く・・

危ない場所
   
 早稲田大学教授 津田廣喜
前回に続き、もう一つの例を挙げる。
 フランス南部にニームという町かある。ジーンズの生地であるデニム発祥の地である。ビゼーの組曲やファン・ゴッホの絵で知られるアルルに近い。町の郊外にローマ時代の水道橋の遺跡がある。川を跨いだ全長275m、高さ50mの堂々たる佇まい。地震がない場所とはいえ、この石造りの建造物が2000年もの間、よく壊れずに残ったものだと感動する。無論、世界遺産である。
 水路のすぐ上が頂上であり、幅4mほどの平面になっていて手摺りなどはない。上がるのは簡単なので、私も行ってみた。高所恐怖症の人なら、目を回して真っ逆さまに転落しそうな所である。何一つ遮るもののない360度の絶景を堪能した反面、日本ならばここまで来ることはできないだろうと思った。
 事故が起きた場合、日本では公の施設管理者が責任を免除されることは極めて稀である。注意喚起の立て看板ぐらいでは勿論不充分である。危険地域を柵で囲む。しかも、子供が容易に立ち入れないように、金網だと破れた箇所を常に補修しておかなければならない。それでも、事故が起きれば大変である。
 日本では、前回述べた3車線道路を造ることも、水道橋の頂上に登れることも、まずあり得ない。自ら判断した結果には一定の責任を負わなければならないという「危険への接近」の法理を持ち出せる彼の国との差は、これほどにも大きい。交渉事などでも、誤解を避けるために、双方の発想は違うものだということを念頭に置いて取り組むことが肝要だろう。」(2011/08/16付「日経新聞」夕刊p1より)

この話を聞いて、直ぐに思い浮かんだのが2006年の夏に行ったオーストリアでのこと。登山電車でシャーフベルク山の山頂に行った。歩いて行くと、断崖絶壁の端に出た。看板も何も無い。そのまま歩いて行くと、断崖に真っ逆さま・・・。危ないのでガイドに聞くと「全ては自己責任」だという。(写真はクリックで拡大)

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カミさんと話した。我々のようなツアーでもないと、一旦誤って落ちたら、誰も知らないし、誰も探さない。まあ実に単純明快だが、怖いね・・・・

一方、日本はというと、先日の天竜川の川下り船転覆事故のように、事故が起きて初めて法規制が話題になる。船舶職員法では、12歳未満の乗船者への救命胴衣着用を運航者に義務付けられているという。今更、法律が・・というのも空しい。これに限らず、確かに色々な法に、色々と書いてある。しかしそれらを全部知っていて、全部守ることなど到底不可能・・・。結局、何かの事件が起こるまでは、全員が知らんフリ・・。でもいったん事件が起こると「なぜ“この法”を守らなかった!」と責める・・。これは企業での規定も全く同じ。法はお上(会社ではエライ人)の身を守るためにある・・!?
考えてみると、同じような“大丈夫だろうという思い込み”が、身近に何と多いことか・・。

昨日は「福島第一の3キロ圏内で初の一時帰宅実施」というニュースが流れていた。そう言えば、今日のテレビで東大の先生が、福島原発の事故の規模は広島原爆の約30倍だと言っていた。確かにNetにもその報道はある。
福島原発の事故の規模は広島原爆の約30倍――。先週(7月27日)の衆院厚労委員会で仰天発言が飛び出した。発言者は、参考人として出席した東大先端科学技術研究センター長の児玉龍彦教授である。
児玉教授は東大アイソトープ総合センター長も兼ねる。そんな放射線研究の第一人者があらためて訴えたのは、福島原発の事故による放射能汚染の深刻さと、鈍い政府対応に対する不満だった。
新聞テレビはなぜかほとんど報じていないが、児玉教授は、今回の事故の規模が広島原爆と比べて「熱量計算で(原爆)29.6個分、ウラン換算で20個分が漏出した」と試算。さらに「原爆の放射能の残存量は1年後に1000分の1程度に低下するが、原発の放射線汚染物は10分の1程度にしかならない」と強調し、福島原発事故は「原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりも多量の残存物を放出した」と訴えたのだ。・・・(日刊ゲンダイ2011年8月1日)」(
ここより)

新しい首相選びで、現在政界は“お祭り”の真っ最中だが、こんな先生に叱られないような政府がホントウに出来るのだろうか・・・
一つだけ皆で祈ろう。フクシマが「危ない場所」というレッテルが貼られないことを・・・


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