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2011年8月19日 (金)

「もごもごさん」~滑舌について

先日の日経新聞の「プロムナード」というコーナーに、滑舌についての面白い記事が載っていた。少し長いが・・・。曰く・・・

もごもごさん   新井素子(SF作家)
 うちの旦那は“もごもごさん”だ。
 もごもごさん……これ、言葉や字面だと、なんだかとっても可愛い感じがするんだけれど、実際は、可愛いだなんてもんじゃない。
 もごもごさん。つまり、滑舌が悪いのよ。結婚直後から、正直言って、「旦那が何言ってるんだか判からん」っていうことが、時々、あった。でも、当時は、私はその度におだやかに聞き返し、旦那も優しく自分の台詞(せりふ)を説明しなおしてくれ、問題は発生しなかった。
 だが。時間というものは、どんどんたつのだ。
 気がつくと、この間、私達は銀婚式を迎えていた。このくらい長いこと夫婦やってると、当初の甘い気分なんか持続している訳もなく、会話というのは用件伝達の為にするものになってしまうから、相手が何言っているのか判らないと、そりゃ、凄いストレスなのである。おだやかに聞き返していた私は、もうこの世にはいなく、優しく説明してくれた旦那も、この世にはいない。いるのは、焦って聞き返す私と、とげとげしく説明する旦那だ。
 しかも。ここで、私と旦那、双方共に問題が発生した。
 まず、私がね、ちょっと耳が遠くなってきてしまった感じがするの。今の処、半日ドックの聴力検査にひっかかってはいないのだから、聴力的な問題が発生している訳ではないとは思う。でも、複数の人と喋っていると、時々、相手の言葉が聞き取れないことがある。ということは……多分、聴力、衰えてきているんだよね。昔に比べると、なんか、人の言葉が聞き取りづらくなってきているんだよね。
 それから、旦那が。
 もともと“ごもごさん”だったのが、より、酷(ひど)くなった。しかもその上、これも年をとったからなのかなあ、もの凄いいきおいでひとり言を言うようになったんだよね。
 これは、聴力に自信がなくなってきた身には、応える。
「んじゃ、駄目だろっ! って……××が……××××……だって×××××……」
 夫婦二人の休日で。いきなりこんな台詞が聞こえてくると、そりゃ、私としては、身構える。
 「何、旦那、何かあったの?」
 「……って、何」
「いや、今、何かが駄目だって叫んでなかった? 私、あなたに何か悪いことした?」
「あ、いや、違う、ごめん。パソコン見てて、つい思わず叫んだんであって、ありや、ひとり言」
うわあああ。これは、ぜひ、やめて欲しい。
 だってこの時、家には二人しかいないんだよ? この状況で、旦那が何か言ったら、そりゃ、当然、私に対して言われたことなんじゃないかと私は思う訳であって、あからさま
に人を咎めているような台詞だの、「それはどうなってるんだっ!」みたいな台詞が聞こえると、その度に、わたわたする。わたわたするしかない。
 いや。
 そもそも、旦那が何を言っているんだか判るのなら、私だって、ひとり言に対して、こんなに気を遣わないんだ。ただ、旦那の台詞が全体的に物凄く不明瞭だから、こんな話になっちゃうのであって……。
 明確な発言を求めたい。」(2011/08/16付「日経新聞」夕刊p7より)

滑舌の悪い人は、結構いるものだ。つまり話を聞いても、何を言っているのか分からない・・・。よって生返事をして放っておく事になる・・。
昔、いっとき上司だったMさん。自分が巡り会った中で、最も分からない人だった。会議録を作るために、会議の内容を録音したことがあった。後で語録を作ろうとしたが、何度聞いても分からない。その時に良く分かった。主語がないのである。述語ばかり・・・。だから何を言っているのか分からない。それに話が飛んで、元に戻らない。Aという話をしているうちに、Bに話が飛ぶ。またAに戻れば良いのだが、今度はCの話に飛ぶ。結局、戻ってこなくて、話の最初と最後はつながりが無く、話が終わってもただただ徒労感だけが残った。作曲の世界だって、二部形式はA、A’、B、A’で元に戻る。文章だって起承転結。結局、組織としては、その上司の指示では動かなかった。

今の会社の同僚にも、滑舌の悪い人がいる。組織長になるに際して「もう少し滑舌良く、分かり易く話せ」と言いたい所だが、言っていない。理由は、(琴線に触れることであり)場合によっては、非常に大きなダメージを相手に与える危険性があるため・・・

しかし我が家では違う。「主語がない!」という言葉が、家中を飛び交う。カミさんが話し出すと、多くは述語から始まる。それでは、自分の頭の中で“場面設定”が出来ない。よって「主語がない!」と反撃するわけである。何気ない会話でも、主語があれば、相手が何について話しているか、その場面が頭に浮かぶので容易に理解できる。
それに“話が飛ぶ”時も注意が必要。カミさんは、話をしながら別の人の事に話が飛ぶ場合がある。相手は、自分ではこっちがちゃんと付いてきているものとして、どんどん話が進む。しかし自分の頭の中は、元の主人公のまま。よって話が段々トンチンカンになってきて、「主語がない!」となる。(まあ最近は、自分の方が言われる事もあるけど・・・)

映画やテレビドラマでは、セリフの滑舌は命取り。我が家で今楽しみに(ドキドキハラハラして)見ているドラマに、フジテレビの「それでも、生きてゆく」(ここ)がある。その中で、主人公を演じる満島ひかりの演技にはいつも舌を巻く。どんなに激しい言い争いの場面でも、セリフがしっかりと聞き取れる。これは役者として大変重要なこと。激情する場面では、普通の役者は何を言っているか分からず、DVDレコーダーを巻き戻して何度か聞くことがあるが、この人の演技は安心して聞いていられる。

ともあれ、人間関係はコミュニケーションで成り立っている。夫婦や家族でも、「言わなくても分かる」はNG。「言葉に出して言わないと分からない」を前提に、何よりも円滑な人間関係を保つためにも、滑舌の良い会話を大切にしたいもの・・・。(今日も長くてゴメン!)


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コメント

お寺の代々檀家の情報を、父から受け継ぐというのに、引継ぎが一切無く、父が他界しました。母から事情を聞いても解らずじまいで、檀家の方々の話を聞く機会を持ちますと、ほとんどの方々は主語無しで、お話をされます。滑舌は決して悪くないのですが、意味がほとんど解らない状態で、途方に暮れています。父との数十年間の付き合いの方々と、新たに付き合い始めるのですからまあ、無理はありませんが、なかなか聞き返す事もできないもので、商売上良く解ったような顔をして、頷いています。特に人間関係では、それぞれの一族の血の繋がり合いを知らないと全く手の着けようもありません。仕方が無く、父のノートから解る限り檀家の系図まがいのものを作り始めました。さてどうなりますか・・・。

【エムズの片割れより】
なるほど・・・。確かに相手は、全部知っている前提で話すのですね。でも老人は、耳が遠くなると、同じように聞こえなくても頷くもの。五十歩百歩ですね。
でも系図とは名案ですね。
さて明日(8/21)は、先日亡くなった義姉の49日法要と納骨です。日暮里の菩提寺に行ってきます。

投稿: 普賢 | 2011年8月20日 (土) 13:45

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