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2011年5月29日 (日)

「法の支配か 法を支配か」

今朝新聞を読んでいたら「法の支配か 法を支配か」という刺激的な見出しが目に入った。言うまでもなく、「の」と「を」では大違い・・・。
いつも「長過ぎる」と反省している当blogだが・・・・・

法の支配か 法を支配か
今回の主要8力国(G8)首脳会議の宣言にも「法の支配」の文字がある。民主主義の基本理念であり、ロシアを除く、G7諸国にとって共通の価値観だが、正確な意味は必ずしも知られていない。
 浜田邦夫元最高裁判事ら世界の法律家による「世界司法プロジェクト」(WJP)による2010年版「法の支配」指標に関する報告がわかりやすい。法の支配の定義から始まり、世界35力国の達成度を示す。
報告(浜田氏訳)によると、法の支配とは、次の4つの普遍的原則が守られている、規範を基礎とする社会制度を意味する。
 ①政府とその職員および代理人は、法律に従って責任を問われる。
 ②法律が明確で、公表され、安定的で、かつ公平であり、人身と財産の安全の保障を含む基本的権利を擁護している。
 ③法律が制定され、施行され、現実に適用される過程が、国民に開かれ、公正で、かつ効率的である。
 ④司法制度の利用が、十分な人数で、必要な資質・資源を持ち、かつ当該社会の構成を反映する、有能で、独立した、倫理的な裁判官、弁護士または代理人および司法関係職員によって担保されている。
 ここでは③に注目する。法の支配は「rule of law」であって「法律の支配」(rule of the law)」ではない。非民主国では③の要件を満たさぬ、恣意的にできた法律かある。その施行は、法の支配に反する。
 逆に、日本のように4原則をほぼ満たす国では、法の支配と法律の支配とは、同義に近い。WJPは「政府の制限された権限」など10項目について各国の状況を調べた。日本は政府権限の制限で5位であり、総じて米国やフランスより法の支配の達成度が高い。
 菅直人首相による中部電力に対する浜岡原発の運転停止要請、枝野幸男宣房長官による金融機関に対する東京電力向け債権放棄の要請は、法の支配の観点からはどう映るか。
 ともに明確な法的根拠はない。浜岡問題で米倉弘昌日本経団連会長、債権放棄では永易克典三菱UFJフィナンシャル・グループ社長が「唐突」と同じ言葉で反発した。米倉氏は「根拠を出した上で説明する必要がある」とも述べた。
 問題は、過程・手続きの正当性なのだろう。政治家が法的根拠が明確でないまま、民間企業に事実上の命令に近い意思表示する。批判されてきた官僚による行政指導とどう違うのか。
 選挙された政治家ならいいのか。法の支配に従うべき政治が法を支配する結果にならないか。政府権限の制限を重視する法の支配の理念とぶつからないか。
 例えば刑事裁判では、証拠収集の目的が正当でも、手段が違法ならば、その証拠は採用されない。法律の世界での手続きの重要性を弁護士でもある枝野氏は知っているはずである。
 透明な議論の過程を経た立法なしに債権放棄を強制すれば、場当たりで恣意的な権力行使となる。現代ロシアと重なる。
 場当たりといえば、首相は11日、第1次補正予算での政府開発援助(ODA)削減に触れ「多くの人にまずいと言われた」と反省した。そして「わが国が元気に再建されたときには、削った金額を何倍にも増やして多くの国の応援に充てていきたい」と述べた。
 大震災で支援してくれた諸国への感謝の集いでの発言だ。それを前提に読み返す。反省と曖昧な仮定に基づく決意……。場当たり政治の正直な告白である。聞いた大使たちは、ODA増額を信じただろうか。(特別編集委員 伊奈久喜)」(2011/05/29付「日経新聞」P2より)

世界の独裁体制の国では、独裁者が自分の権力を永続させるために、有限の任期を撤廃するために法律を変えたりしている。まあ、よくある話。でも日本は違う。・・・はず。
でも現実には、この記事にもあるように「行政指導」とか「中電浜岡原発の停止要請」のような、法律に基づかない実質的な命令がよくある。そして国は「民間企業が“自発的に”やったこと」と逃げる・・・。もちろん企業側は「実質の首相命令」と受け止める。

サラリーマンの世界も全く同じ。上司が部下に命令すること。そこに明文化された根拠はあまりない。昔良くあった、女子社員に対する「お茶を入れて!」というもの同類。しかし日本の社会はそれらをずっと受け入れてきた。原発の事故隠しではないが、あえて“荒波を立てたくない”という理由で・・・。

今朝の民放TVを何気なく見ていたら、寺田前首相補佐官が、菅首相の人物評をしていた。官僚など、人や組織を使うことは苦手・・・とか。
そんな話を聞いていると、つくずく政府も一般企業と同じだな・・と思う。上司の顔色をうかがいながら、法とは関係なく、何となく雰囲気で動いたり(原発での排水中入停止問題)・・・。そしてまた、各々の長(上司)の特性(性格や好き嫌い)で、その組織の動きが大きな影響を受けるのも企業と同じ。およそ「法の支配」とは別世界だ。
しかし政府や企業の、国内では通るそんな動きも、世界から見ると異常に映る。特に原発事故では、国際社会が納得するキチンとした説明が求められる。
まあこれを機に、国も企業も、「法の支配」に近付きたいものだ。
(・・とは言っても、まあ企業は無理だな・・。ISOとは良く言うが、法(=規定)通りには、企業はとても動かない。企業では法(=規定)はあるが、その通りに動かそうとすると、各部署の実力差から活動はマヒしてしまう。従って建前は建前として、実力的に出来る部署が出来ない部署の肩代わりをして、組織を動かすことが当たり前になっているので・・・)


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