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2011年1月 4日 (火)

「真の弱者と真の格差」

当サイトお気に入りの日経新聞のコラム「大機小機」。だいぶん前の記事だが(=ネタ切れの時は、昔の切り抜きを・・)「真の弱者と真の格差」という話。曰く・・

真の弱者と真の格差
多くの人が、社会的弱者を守るべきだと言い、格差を無くすべきだと言う。しかし、誰が守るべき弱者であり、何が是正すべき格差なのかを見分けることは難しい。
弱者の範囲を広げすぎると、強者をも救うことになり、かえって不平等になる。また、あまりにも格差の縮小を追求して結果の平等を実現しようとすると、「何もしないでも助けてくれる」というモラルハザード(倫理の欠如)を生んでしまう。
では、真の弱者とは何か。それは自らの意思ではどうしようもない力によって大きな負担を強いられる人たちである。日本ではそうして意味での正真正銘の弱者がいる。将来世代がそれである。秋田大学の島沢諭氏らが行った世代会計の分析によると、現時点で生まれたばかりの新生児世代は生まれた瞬間に1600万円もの生涯純負債を負っている。人口が高齢化する中で賦課方式の社会保障制度を維持しているためである。
さらに過去の負債を返済する分を加えると、これから生まれる将来世代は1億円以上の負担を強いられるという。将来世代は社会的意思決定に全く参加することなく、一方的に巨額の負担を強いられる。まさに真の弱者である。
格差についてはどうか。本当に格差が問題となるのは、「機会の不平等」によってもたらされる格差である。日本にはこうした正真正銘の格差がある。現世代と将来世代の格差がそれである。
前述のように、日本では将来世代の純負債はゼロ歳世代の6.6倍にもなる。これは諸外国に比べて飛び抜けて大きい(主要国で最も大きいのはイタリアの2.3倍)。
我々はいつ生まれるかを選択することはできないのだから、こうした現世代と将来世代との格差は、純粋に機会の不平等に基づくものである。
つまり日本で最も守られるべき弱者は将来世代である。彼らは意思決定に参加できないままに、重い負担を負わされているからだ。そして、日本で最も是正されるべき格差は現世代と将来世代との格差である。その格差は想像を絶するほど大きく、100%機会の不平等に基づくからだ。
こうした真の弱者、真の格差問題に対応するには、現世代の負担による財政の健全化を急ぎ、世代が自立できるような頑健な社会保障制度を打ち立てていく必要がある。それが我々現世代の最大の責務である。(隅田川)」(2010/12/14付「日経新聞~大機小機」より)

同じ日の「日経新聞」1面に「改革迷走 瀕死の社会保障」という記事があり、上の記事と同じようなことが書いてあった。曰く・・・
「団塊の世代が引退し社会保障の支え手から受給者になだれ込む2012年は目前だ。給付膨張の時限爆弾を前に、政府はいくつかの改革案をまとめたものの、与党の反発で腰砕けの状態にある。本質的な改革を封じたまま、瀕死の社会保障を再生する手掛かりは見えてこない。
「なんで引退した父の方が稼ぎがいいのか」。大手小売業に勤める高橋宏太(仮名、32)は釈然としない。宏太の年収は390万円。退職し企業年金も含め504万円の年金を受け取る父(69)より少ない。
就職氷河期の01年に入社してから昇級はなく、賞与は減った。毎週末にゴルフに出かける父を見ると「僕から税や保険料を取って父のような高齢者に配るのはおかしい」と思う。
・・・・
悪いのは団塊の世代ではなく、その影響を知りながら改革を先送りしてきた政治だ。民主党が看板とする年金改革は今年の参院選敗北後、消費税引き上げ論とともに封印された。団塊の引退まで時間切れ寸前の今回も、医療・介護の改革案は与党内の「高齢者負担反対」の一言で金縛りとなっている。・・・」(2010/12/14付「日経新聞」1面より)

「死人に口無し」という言葉がある。先のコラムで指摘しているのは、それと同じような、「生まれる前の人に口無し」という現実なのではないか・・。
正月の、今年を占う新聞記事を読んでいても、未曾有の政治の貧困を憂いている文言が何と多いことか。簡単には解決策が無い。総選挙で自民に変えてみても、解決できない。ならば民主・自民の妥協しか無かろう、という年頭の新聞の社説もあった。(ここ

結局は、「死人に口無し」のごとく、発言しない「生まれる前の人に口無し」にすがる・・・。
見方を少し変えると、現在の“借金によって辛うじて成り立っている”国の予算は、うるさいことを言わない子どもたちに、その尻ぬぐい押し付けているだけ・・・・?
何ともその場しのぎの日本である。
でも、でも・・・である。財政再建への大なたは、我々国民に各種サービスの低下という色々な“苦”をもたらす。英国では公的債務削減のため、消費税を20%に引き上げるという。(ここ

政治が悪い悪い、と我々は言うが、結局今の政治の体たらくは、我々現世代の単なる代弁者に過ぎないのかも知れない。自分をも含めた現世代が、(我が家の家訓!をまねて)「臭い物には蓋」主義で問題先送りを“させて”いるに過ぎないのかも・・・
もし真に現世代が問題解決に立ち向かう気概があるのなら、消費税20%をぶち上げた政党が、唯一大躍進をして然るべき・・・。
でもそんな事はとても想像できない・・・。自分など、まさに“総論(=格好の良い議論)賛成・各論(=自分に降りかかる負担は)反対の「日和見日本人」の代表”に見えてきてハッとする。ふと、自分にはあまり言う資格が無いのでは・・?と感じる年頭ではある。


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