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2010年9月20日 (月)

NHK「“生命”の未来を変えた男~山中伸弥・iPS細胞革命~」を観た

先日放送されたNHKスペシャル「“生命”の未来を変えた男~山中伸弥・iPS細胞革命~」(2010年9月18日/再放送は10/3(日) 前10:00~)(これ)を観た。番組で紹介されていたALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病の患者さんにとっては、これ以上の朗報はない。
しかし、その最先端技術とは別に、何とも考えさせられる事が多い番組だった。キーワードは「パンドラの箱」そして、人間と動物を掛け合わせた「キメラ」・・・・。
この番組は、iPS細胞の使い方によっては、人類の歴史を変え得る恐ろしい可能性をも予見し、警鐘を鳴らしていた。

京大の山中教授らが世界で初めて作製した万能細胞「iPS細胞」という名は知っていた。それによって臓器や組織を再生する「再生医療」が進む、という話も聞いていた。しかしこの番組を見るまで、それらの言葉が、自分にとっていかに上っ滑りした言葉だったかが分かった。つまり今までは、その内容など全く分かっていなかったのだ。それをこの番組は教えてくれた。しかし自分はこの番組を見て、難病治療の明るい未来よりも、むしろ何か“恐ろしい”ものを感じた・・・

生命誕生から40億年。人間の細胞は60兆個の細胞から出来ているという。それも初めはたった一つの受精卵。それが、体の色々な部分に合わせて、他の遺伝子情報を隠してその細胞になっていく。しかし山中教授らは、皮膚の細胞から受精卵のような、何にでも進化出来る最初の細胞に遺伝子情報をリセットさせる事に成功したのだという。受精卵に戻すということは、立花隆さんに言わせると「タイムマシン」・・・。
この技術を使うと、皮膚の細胞から心臓の鼓動する細胞をも作る事ができ、薬の治験などに使えるという。よって薬の開発が進む。また肝臓などの臓器細胞が出来れば、痛んだ肝臓を治す事も出来る。元は自分の細胞・・・。まさにオーダーメードの医療、という事になる。
反面、倫理的な問題も数多く出てくる。同性の夫婦が、お互いの遺伝子を持った子供を作る事も出来、また人間と他の動物を掛け合わせた「キメラ」を作る事も可能だという。
まさに「パンドラの箱」(ここ)を開けてしまった。

もう一例紹介されていたのが、豚の体内で人間の臓器を作るという技術。臓器は人間の細胞でも、血管は豚とかで、まだまだ先の技術だという。豚の体内で作られた臓器を人間の体内に入れる・・・・。キメラ???

自分が見て印象に残ったので、後でこの番組を見せたカミさんは、動物が人間のためにいいように利用されている、と言うが、それはモルモットを代表に、たくさんの生命が人間のために実験材料化している事は言うまでもない。しかし、今度ばかりは人間に移植する臓器が作られるのだ・・・。

生命を操るのは倫理的な問題があり、学会や政府がこのような研究に、色々な制限を付けるだろう。しかし問題は、果てしない人間の欲望。カミさんが言うように、カネがある人は、死んだ娘のコピーを作ろうとするだろう。制度として幾ら“文章”を作っても、それを守るのは人間の理性であり、倫理観。よって、カネでそれを逸脱する学者が出るかも知れない。

番組の中で、松本零士さんが“悪魔の星”のことを言っていた。iPS細胞を正しく使えなかったため、キメラだらけで元に戻れなくなった生命体だらけの星・・・
そうならないために、新しい技術を人類がこれからどうコントロールしていくのか・・。
“核”は世界中で監視している。コントロールしている。しかし“核”と違って生命科学は、国の利害があまり絡まない。よって、国のコントロールは難しい。
しかしそれを乗り越えなければ、せっかくの新技術が他の理論で葬り去られる危機も・・・。それでは難病患者さんたちの希望も失われてしまう。
当の山中教授も、iPS細胞が人類にとって無限の可能性を持つだけに、倫理についても良く認識され、考えておられる。
いち早くノーベル賞の候補とも言われている、世界が注目する山中教授。この分野で世界で一番影響力のある人として、技術革新と共に、人類の倫理面でのリーダーシップをも期待したいところだ。


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