« 「日本脱出考」 | トップページ | レイモン・ルフェーブルの「哀愁のアダージョ」と「月光のソナタ」 »

2010年9月13日 (月)

FMチューナーL-02Tの修理~ケンウッド白山の抜群のサービス

先に「我が最大の贅沢~30万円のFMチューナー(L-02T)を手に入れた」(ここ)という記事を書いた。
ところが、何と2~3日してその録音を聞いてビックリ。Lチャンネルの音が割れている。なぬ~~!!
このチューナーはFIXの音声出力とVARIABLEの出力の二つがあるのだが、VARIABLEの左チャンが割れている。それで仕方が無く、またもや先のKT-1100Dに引き続き、ケンウッド・サービスに修理&オーバーホールに出す事にした。(実はこれはL-02Tの“SOS”と、自分は受け取った。今まで散々働いてきたのだから、少しは休ませろよ・・・!)
今日はそのL-02T修理の顛末記である。(本当は自分用のメモだが・・・)

8月1日に横浜・白山のケンウッド・サービス 横浜サービスセンターにL-02Tを発送。音の割れの修理と同時に、前のKT-1100Dのオーバーホールの時と同じく、「消耗部品の電解コンの交換や廃止の可能性のあるICなどの交換、その他出来るだけ新品時の性能に近くなるように」オーバーホールを頼んだ。時間と金に糸目は付けない・・・。
数日後に電話したら「セットを見たが、状態は悪くない。現象(音の割れ)が出ない。夏休みがあるので少し時間が掛かる。部品は電解コンやICなど出来る限り交換する」とのこと。
音が割れるという現象が出ないということなので、確認のため、我が家に残っていた音が割れている状態の録音を、CDに焼いて送る事にした。
8月10日、ケンウッドから電話があり、「CDを聞いたが、何かバイアスが掛かっているような音に聞こえる・・。回路的には限定されたところ。基板のスルーホールの接触不良かも知れない。その辺りの部品を変えたいが、部品が無い」とのこと。
そして、8月31日にケンウッドから掛かってきた電話で「Lチャンネルの歪みの現象が出た。色々やってみたが直らない。ICの内部の故障かも知れないが、交換部品が無い。常時出ている訳ではないので、だましだまし使うしかない。しかし色々やったので、修理前に比べると音がだいぶんクリアになった」とのこと。
フト思い立ち、次の日に「こちらでも部品を探してみるので、ICの型番を教えて欲しい」と電話し、手に入らないICは「MB84066B」と「TC4007UBP」だという事が分かった。
「MB84066B」は、たまたまヤフオクに出ていたのを落札して手に入れ、「TC4007UBP」は東京の部品屋に在庫があった。それでケンウッドに直送してもらった。

そんな事で、待望の最高級FMチューナーL-02Tが、やっと“長期人間ドック”から戻ったのが先週末の9月9日。IC交換は自分が後から送った4個を含めて12個。電解コンの交換が14個。一応メーカーの太鼓判を押してもらって戻ってきたチューナーの音は安心して聞ける。
・・・と、何かノイズが増えた感じ・・・。音の世界は微妙である。ウーン、これは“プロ”に確かめなくては・・・。

早速、9月11日に修理前・後の両方の音をCDに入れてケンウッドに送った。そして今朝、電話でその試聴をケンウッドに頼んだ。そして返事が直ぐに来た。
「さっきCDが届いたので聞いてみた。確かに違いはあるようだが、感度とノイズとのバランス。その妥協点を探しながら調整している。よってこれがギリギリ。これ以上やると、ノイズが増えたり音が歪んだりするだろう」とのこと。なるほど・・・・
つまり通信機としての感度と、オーディオ機器としての音質=ノイズレベルとのトレードオフ。そのバランスが非常に難しいという。しかしこのセットの状態は合格点に近く、他に修理に来るL-02Tでも、状態が悪くて性能的にギブアップの物もある、とのこと。なるほど・・・。まあ今論じているノイズレベルは、60~70dBの話。まあ贅沢な論議だ・・・

さて残るは宿敵「マルチパス」。これは、L-02Tのマルチパスのメーターで一目瞭然。
Img_25511 実はL-02Tの取説に、「マルチパスは、オシロのX-Yモードで見ながら調整するのが正確」とあったので、会社から携帯型デジタルオシロを借りてきて波形を見たが、マルチパスのある信号(局)も無い信号も同じように見える。これではダメ・・。チューナーのマルチパスメーターの方が良く分かる。(写真はクリックで拡大)
このメーターで分かったことは、自分の家(八王子の北東部)では、東京タワーからの放送は全滅。メーターの振れはゼロが良いのだが、東京タワーの局はすべて1/4位振れてしImg_25561 まう。東京タワーから自宅までの間に、何があるのか。どこからの反射波が来るのか・・・
しかしラッキーなことに、NHK浦和局はマルチパスのメーターがあまり振れないことが分かった。しかし、この局は如何せんレベルが弱い・・。でもこれが結論らしい。
よって結論として、来週末(9月18日)に、アナログテレビは卒業してVHFのアンテナを外し、その場所に浦和に向けた8素子のFMアンテナを建てる。L-02Tには2つのアンテナ入力があるので、従来の東京タワー向けの5素子FMアンテナと、新設の浦和に向けたアンテナとを使い分けよう。地図で計算したら両者は38°向きが違う。まあ、マルチパスの多い強力な東京タワーを採るか、マルチパスは無いが弱い浦和の電波を拾うか、だな・・・・・。現在、東京が59db位だが、浦和がどの位の電界強度が得られるか・・・。勝負である・・・

来週のFMアンテナ建てで今回のドタバタ(FM放送を良い音で聞くプロジェクト?)も終わりだが、それにしてもケンウッドのサービス体制は素晴らしい。先のシンセサイザーFM/AMチューナーKT-1100Dの時も同じだったが、30年も経った製品を、未だにキチンとメンテナンスしてくれる。しかも、その都度、電話で状況を連絡してくれる親切さ・・・。
前に日立のサービスに感激した事があったが(ここ)、ケンウッドの自社製品に対するこの対応(愛情)は素晴らしい。普通は、納入後7~8年で「保守期間が終わりました」と冷たくするのが普通のメーカーの“逃げ”なのだが、30年以上経っても、出来るだけの事をしてくれる。

これほど安心して使えるメーカーの製品は、世の中広しといえどもそうはない。しかし、そのケンウッドの業績不振が言われ始めてから、だいぶん経つ。
思い出すと、学生時代、当時のトリオは自分が就職先の候補にした一つだった。そんなユニークな技術集団のケンウッド。確かにオーディオの大きな流れは絶えたが、昔オーディオに凝った自分のようなシルバー族は、まだまだ元気。いや、これからが元気・・。つまり昔のオーディオファンが数十年経って、またトリオ/ケンウッドに回帰しているのだ。大量生産とは少し違うが、これらシルバー族を相手に、何か新製品を出してくれる企画はもう今のケンウッドには無いのであろうか? 昔のトリオ/ケンウッド製品に、世の中の評価はまだまだ高い。(オークションでこのL-02Tなどは、皆で奪い合い・・・)
昔からのトリオファンとして、まさに顧客志向の鏡である“サービス体制抜群”のケンウッドの再起を祈るオールドファンではある。

*この1ヶ月半、恋人(L-02T)が居なかったので(ヨメには来たが、実家(サービス)に帰っていた)、遠い恋人について色々と“研究”してしまった。参考にその資料を下記に・・・・

(1)雑誌「ラジオ技術」1982年1月号の記事のPDFは(ここ)~10MB
・「新製品スクランブルレポート No.46“ケンウッド L-02T” 黒川晃」
・「ケンウッドFMチューナL-02Tに採用した“ノンスペクトラムIFシステム”“ノンステップ・サンプリング・ホールドMPX”の特徴 沼田幸雄 (トリオ)」
(2) L-02Tの回路図付サービスマニュアル(英文~海外モデル)のPDFは(ここ)~17MB

(2013/08/15追)~選局用インジケータランプの交換
・選局時にガサゴソという音が出るのに気が付いた。(ここ)によると、原因はバリコン軸の接触不良。紹介されていたコンタクトグリス(サンハヤトのGS-10)を手に入れて塗ると解決した。
・ヤレヤレとセットを元に戻すと、選局のランプが消えている。とうとう寿命か?それともグリースを塗る作業の振動で切れた? 同じランプは手に入らないだろうと、LEDにすることにした。しかし手持ちのLEDでは輝度が足らない・・・。20mA流して、赤色LEDを4つシリーズにしても暗い。仕方がないので、元々付いていたムギ球の同等品をヤフオクで探した。ランプの電源電圧はAC12V。すると、自動車用の14V、4mm、80mAという麦球が、@35円で出品されていたので、これを落札。同じく12V、3mm、69mAという品もあったが、寿命の点で、14V用を使うことにした。
・交換方法は簡単。前面パネルの、下3本、上2本のビスを外し、1.5mmの六角レンチでチューニング用ダイアルを外すと、前面パネルが外せる。下のボリューム用のコネクタに注意。
・ランプが付いている指針の基板を外し、リード線を新しいランプにハンダ付け。ランプのフィラメントがホルダーの中央に来るように注意。光はホルダーの中央部の穴から下方向に行く設計。
・少し暗めだが、選局には充分。LEDの場合は、出来るだけ高輝度のものをホルダーの穴から下方向に取り付けると良いかも。電源がAC12Vなので、LEDに保護用のダイオードを逆方向に取り付け、シリーズに2200Ω位の抵抗を取り付ける(ここ)。

(関連記事)
KENWOODのFMチューナー「L-02T」のカタログ・接続図・文献 


« 「日本脱出考」 | トップページ | レイモン・ルフェーブルの「哀愁のアダージョ」と「月光のソナタ」 »

コメント

もうお読みになっているかと 思いますが 文春新書に 中野雄 著 丸山真男音楽の対話 同著 丸山真男人生の対話 の二著があります 政治学者として知られている 丸山は西欧音楽にも 詳しく 又再生装置にも一家言あった人だそうです 先生と故人生前に音楽対話がありましたら さぞかし話が弾んだ事と思います

【エムズの片割れより】
そうですか。そのうち時間が取れたら読んでみます。結構有名な方のようですね。

投稿: 夢見る男 | 2010年9月16日 (木) 14:23

前略 私もkt1100を修理をのぞむものですが、どこか修理をしてくれるところはありますかね。大阪のサービスセンターで部品がないとことわられてそのままです。なんとかならないかなー。みなさんよろしくおねがいします。

【エムズの片割れより】
ケンウッドサービスのFMチューナー部隊は、横須賀に移転されたようです。
http://www.kenwood.co.jp/cs/service.html
横須賀に直接電話されて事情を話し、セットを送って一度見て貰っては?
ケンウッドの特注部品で無い限り、幾ら廃止品でもNetで探せる可能性があります。
自分の場合も、ケンウッドでは手に入らない部品を、自分でNetで入手し、直接ケンウッドに送って部品交換をして貰いました。
一般では、下記で修理してくれるようですが、メーカーよりもお金は掛かるようです。
http://amp8.com/index.htm
http://amp8.com/radio/tr-tuner/tuner.htm

投稿: 佐藤太郎 | 2011年1月17日 (月) 08:31

始めまして、千葉県に在住するリュウセイと申します。
ブログを拝見して大変参考になり、KTー2020のオーバーホールの件でサービスセンターに連絡してみました。快く、症状などメモを入れて送って下さいのこと。
何しろ30年近くシステムを動かしていたわけですから、アンプは5~6年前、オーバーホールしました。
スピーカーシステム、D130(片側)も先週静岡のフジアコースティックさんより修理上がり、素晴らしい音で鳴っております。
テューナーもオーバーホールと考えました。
お陰様で、大変良い指南記事を発見して、大変嬉しく思います。それにしてもケンウッドさん中々のサービスですね!
上がってきましたら、ご報告申し上げます。

【エムズの片割れより】
昔のセットの修理を、未だに受け付けてくれるKENWOODは、大会社でない(失礼)利点ですよね。SONYなどは機械的に8年で終了・・・。

投稿: 江川 龍生 | 2012年7月21日 (土) 10:13

早速、7月23日に最寄りの南柏にある千葉SCにKT2020を持ち込みました。
オーバーホール点検ということで預けてきました。症状としては周波数ズレだったので、軽症のようでした。
診断・処置はRFトリマー及びIFコンデンサー不具合のため交換と回路を半田修生、各部点検・調整ということでした。27日に修理上がりの連絡を貰い、早速引き取りに行きました。新品同様になり、弱電波域もしっかり電波を拾い、混信もなく素晴らしい音で鳴っております。これで、また長く愛用できます。

緊急的にT-S500を導入いたしましたが、ケンウッド2020に比べると弱電波域の周波数をステレオ域で拾わないのでこれは没ですね。
本当に良い指南ブログをアップしていただいて感謝しております。
追伸:千葉SCには技術の方が在所してサービスに勤めているようです。そこで仕上がり
日数も短期間だったたのでは?

【エムズの片割れより】
それは良かったですね。前にも書きましたが、大メーカーの「メンテは8年で終わり」という型通りの姿勢に対して、KENWOODのサービスは有り難いですね。

投稿: リュウセイ | 2012年7月28日 (土) 11:21

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「日本脱出考」 | トップページ | レイモン・ルフェーブルの「哀愁のアダージョ」と「月光のソナタ」 »