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2009年11月25日 (水)

「事業仕分け」が面白い・・・

昨日から政府の「事業仕分け」の後半戦が始まった。連日、トップニュースである。
この議論は、素人目にもなかなか面白い。視点の違いで結論が色々と違ってくる。文系の人がジャッジすると、科学技術予算はバッサリ・・。実に分かり易い。(←これは皮肉である)
例えば13日の事業仕分けで、官民共同で開発中の次世代スーパーコンピューター(スパコン)が「来年度の予算計上見送りに限りなく近い縮減」とされたが、この議論がいちばん分かり易い。このプロジェクトは2006年度から理研・富士通・NEC・日立が共同で設計を開始したが、今年5月にNEC・日立が経営悪化を理由に撤退して話題になったもの。
財務省の担当官が冒頭に「これまで545億円の国費を投入。システム開発に本格的に着手すれば、さらに700億円近くが必要と見込まれる」と問題点を指摘。仕分け人から「1位でなければ駄目なのか」「国民生活にどう役立つのかが分かりにくい」などの疑問が相次いだという。
この場面をテレビで見ていて最初に受けた印象は、まさに「1位と2位とは何が違うのか?」という仕分け人の視点。確かに素人的にはその通りだ。仕分け人の「世界一を取る為に1200億円も税金かける必要があるのか」という疑問に「然り!」と感じた。しかしその後の世論の動向は冷静に、その結論とは逆に動いている。昨日も9大学の総長がこの事業仕分けについて、「大学の研究力と学術の未来を憂う」という共同声明を発表したという。そして歴代のノーベル賞受賞者も今夜記者会見。利根川さんは「コンピュータが世界一である必要なんかないと言っている人がいるが、世界一を目指したって恐らく世界一にはなれない。目指せばひょっとしたら2位か3位になれるかも知れない。そういう意気込みでやらないと2位にも3位にもなれない。そういう事を人々は理解すべきである」と発言していた。

この「事業仕分け」というセレモニー(失礼!)は、税金の使い道が国民から遠く離れた所で議論されていた従来と違って、TV・Net中継まで動員した“素人の視点からの素直な質問”であり、それなりの意味があるように思う。それに対して執行側が説明責任を果たすのは当然。つまり、国民に対して税金の使途を説明するのは当然だ。しかしテレビでの断片を見る限り、説明する側が慣れていないのか、議論が噛み合わなかったのも散見された。まあ短時間で議論して結論を出す手法も乱暴ではあるが、限られた色々な制限の中で議論するため、仕方が無い面もある。

話は変わるが、先日NHKラジオ深夜便で「星空の語り部」という題で、前国立天文台台長の海部宣男氏の話を聞いた(2009/11/18~19放送)。野辺山天文台は100億円をかけて建設された、一般にも無料で公開されており(ここ)、海部さんは昔、野辺山天文台時代、見学に来た子供たちに「みんなから100円ずつ出してもらって作った」と説明していたとか・・。この視点が大事・・・。

また話が飛ぶが、今朝の日経新聞で三菱電機の望遠鏡の全面広告が目を引いた。「宇宙の果てを見る約100トンの望遠鏡を0.001ミリの誤差で動かす」というリニアサーボモーターの技術を謳っていた。これは東京から見て、富士山頂のサッカーボール1つ分の精度だという。そしてこの技術は単にこの望遠鏡に使われるだけでなく、液晶基板のチェックや半導体、太陽電池の製作など、各方面に応用されていると主張していた。タイミング的には偶然だろうが、この広告は昨日の9大学長の声明と同じく、メーカーとしての最近の政治の動きに対する“懸念の表明”とも受け取れた。

話は戻るが、スパコンのNEC、日立の撤退に見られるように、これら開発プロジェクトはメーカーにとって「ウマミがある」仕事ではないようだ。なぜならウマミがある仕事なら撤退などしないので・・・。

「公開処刑」「イジメ」「集団リンチ」などと揶揄されている事業仕分け。 官庁側は「こらえて、なぶられて、1時間耐えればいい。どうせ結論は決まっているんだから話を聞こうとしない人になにを言ってもしかたがない」(ここ)という声もあるとか・・

まあ政権が代わった今年だけのデモンストレーションだろうが(来年もやると鳩山さんは言っているらしいが)、新鮮な動きである事は確か。それに、このような場があるということは、無駄遣いしないように抑制として働くことも期待される。自治体もやれば・・?

でも日本人もバカではない。これら(良い意味での)刺激的な指摘(=スタンドプレー的だが・・)も、時間と共に冷静さを取り戻し、それぞれ的確に判断されるだろう。しかし税金を使う側にも、先の海部氏のような「スパコンの開発では、国民の皆さんから1人当たり1200円ずつ出してもらった」という視点が必要なことは言うまでも無い。これら国の設備も、研究者は自分の設備と勘違いせず、“その設備で発見したことは、半分は国民の成果”と、言葉だけでも言って欲しいもの。
そうすれば「世界一」を目指す若い人のエネルギーに、国民は喜んで応援するだろう。少なくても自分は・・・。(←カミさんはイヤだと言うかな?文系なので・・・!?)
鳩山さんも珍しい理系の総理。鳩山さんが聞きたいと言っていた歴代ノーベル賞受賞者の辛辣な意見も聞けたので、科学技術立国の総理として科学技術分野の裁定をどう下すのか、じっくりと見守るとしよう。


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