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2009年9月25日 (金)

国連での鳩山演説~CO2 25%削減の国際公約

2020年の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する目標を国際公約として明言した鳩山首相の演説(2009/9/22)は、会場の各国首脳たちから大きな拍手を受け、国内外で大きな話題となっているそうな・・・。

朝日新聞「天声人語」では、このように書かれていた。
「・・・ゆえに新鮮、かつ胸のすく姿だった。国連の気候変動サミットで、温暖化ガス削減の新目標を打ち上げた鳩山首相だ。前政権の3倍超という野心的な数字は、喝采の中で国際公約になった。大排出国の米国、中国は牽制し合い、大した約束をしていない。新首相のスタンドプレーで国民や企業が不公平に泣くことはないか。そんな懸念もあろう。外交舞台では人気者より、ずる賢い嫌われ者が国益を守ることがままあるからだ。・・・もちろん、欧州勢は絶賛だ。海千山千たちにハシゴを外されないよう用心しながら、これからも得意の「非軍事」で汗をかくのが日本の正道だろう。・・・」(朝日新聞「天声人語」2009/9/24より)

また日経新聞のコラム「ゼミナール」でも排出量取引について、以下のような記事があった。
「これまでの2020年に05年比15%減という日本の中期目標は、実際に二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす「真水」の削減目標だった。これに対し、政府・民主党が掲げる20年に1990年比25%減の削減目標は、真水ではなく、海外からの排出枠調達を含んでいるようだ。
Img090925 排出量取引とは、政府や企業が削減目標(排出上限)を達成できなくとも、政府間や企業間で目標を超えて削減した相手から排出枠を調達(トレード)し、不足分を埋めれば目標を達成したとみなす手法のことである。京都議定書にも採用され、政府は海外からの排出枠購入を進めてきた。
この排出量取引を使うと、削減目標の達成に必要なコストを社会全体として減らすことができる。例えば、企業ごとに削減義務を設けても、各社の削減手段や対策コストは多様だろう。新技術開発などで低コストでCO2を削減できる企業は、義務として課された量以上に排出量を減らし、余った排出枠を高コストでしか削減できない企業に販売する。そうすれば、各社それぞれが自社に課された目標値まで実際の排出量を減らすより、合計のコストは減少する。
排出枠が高騰すれば自社で排出量を削減し、義務を超えて削減した分の排出枠を売って対策コスト回収できる。逆に排出枠が安くなれば、他社から調達して削減費用を安く抑えることもできる。
実際の制度運用としては、一定レベル以上のCO2を排出する大企業に削減を義務付けるというのが現実的だ。中小企業の排出量を把握するのは困難で算定費用も膨らみやすいからである。こうした排出量取引の活性化を促すため、新政権は国内取引市場を創設する方針を打ち出している。
排出量取引は環境問題をカネで解決し、マネーゲームに陥ると批判されがちだが、削減努力を融通できる仕組みであり、経済合理性が大きい。購入した排出枠はあくまでも誰かが削減を肩代わりしてくれた結果だからである。(三井総合研究所)」(日経新聞2009/9/24p17より)

確かに自分も「排出量取引」は、金で解決する何か汚らしい解決策のように思っていた。しかし良く考えると、“低コストでCO2を削減できる手段”の有効活用であり、全体で考えると経済合理性があるという指摘も分かる気がする。
まあそれはそれとして、経済界からの反応が面白い。ニュースでは「・・・と言うに留まっていた・・」とか言っていた。つまり、経済界の本音は「勝手に国際公約するとは何事か・・・」と言いたいのだろうが、公式には「経団連としては、世界の低炭素社会の実現にわが国が大きく貢献できるよう引き続き主体的に取り組む決意である。」(ここ)とカッコ良い。新たな民主党政権をまだ上目遣いに見ている段階かな??

ふと、昔の車の排気ガス規制を思い出した。トヨタ初め車のメーカは、表向きは、国の数値目標に対して大反発。そんな目標は実現不可能だと・・。しかしメーカ内部では着々と開発を進めており、実際には困らなかった。
それを思うと、この鳩山政権の(たぶん!)メーカにネゴらない(?)目標設定は面白い。マニフェスト通りだが、これらの動きを見ると、確かに自民党政権から変わったな・・・という印象は受ける。
でも日本は技術立国。鳩山演説は、世界から喝采を受けるためのスタンドプレー的な目標設定のような気もするが、意外と“日本の実力”を踏まえたそう高くない目標なのかも知れない。
でも企業は米国や中国と同じく、こんな所に力を注ぎたくないもの本音。しかし、日本が儲ける目的以外の技術分野で、次の世代を踏まえて、世界の最先端技術で貢献する姿を想像すると、実にカッコ良い。
鳩山政権の“ひょうたんからコマ”。日本の経済・産業界が、これを受けて“カッコ良い動き”になることを期待したいものだが・・・。

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コメント

鳩山首相にとっては
計画も、具体性も、国内同意も何もないまま、国連で思い付きを喋ったことが『成果』なんだそ うだ。で、その実現は『技術力』『日本の皆さんの知性』がやるんだそうですな。

投稿: やまかわ | 2009年9月25日 (金) 22:45

■【英国ブログ】日本の温室効果ガス削減目標25%に英国の見方は?-宇宙人外交は世界に通用するか?
こんにちは。イギリスのBBCのサイトにある環境問題のブログでは、今回の温室効果ガスの日本の野心的な目標をアメリカに対する挑戦状とみています。確かに、アメリカに対して注文をつけるべきです。なにしろ、国民一人あたりのCO2排出量は世界一だし、日本の倍です。アメリカが日本と同程度にしただけで、世界のCO2排出量削減目標は完全に達成できおつりがきます。鳩山さん、70年代のスタンフォードでOR(オペレーションズ・リサーチ)など分析技術を学んだ人です。80年代には、アメリカではMBA卒による分析麻痺が多くの企業に機能不全をもたらし、MBA排斥運動がおこりました。しかし、最近はその反省からMBAでは、コミュニケーション、チームワーク、各国の伝統文化などに力点を置くようになりました。鳩山さんはそうした教育を受ける機会がまったくなかったわけです。だから、「政治を科学する」などという言葉が出てて来るのだと思います。いずれにせよ、11月のオバマ来日によって、鳩山外交の実力がどの程度なのかうかがい知ることができると思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2009年9月26日 (土) 11:08

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