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2009年8月21日 (金)

前矢祭町町長 根本良一氏の話~目から鱗!

NHKラジオ深夜便「こころの時代」~「合併しない”矢祭町宣言”を支えた人々の思い~福島県・前矢祭町町長 根本良一」(2009/8/17放送)を聞いた。今総選挙の真っ最中ではあるが、地方分権についての、まさに目から鱗の話であった。曰く・・・

福島県中通りの最南端に位置する「矢祭町」は人口6,600人の農林業の町である。その前町長の根本良一氏は現在71歳。1983年から2007年まで6期24年に亘って町長を務めた。(Wikipediaには、「2003年3月、夫人の病気に伴い、介護のため町長選挙への出馬を見送ろうとするも、町民が再出馬を熱望。役場に町長を直談判しに町民が大挙し、説得され再出馬し当選」とある)
過疎化に苦しむ中、お年寄りと子供を大切にする町作りを目指し、「赤ちゃん誕生祝い金制度(これ)」を3年前に誕生させ、2001年には「市町村合併をしない矢祭町宣言(これ)」を制定した。
当時は平成の大合併の時代。「先人たちから引き継いだ郷土を、次世代にそっくりそのまま引き継ぐことが自分たちの役割」という理由で、合併せずに独立で行く道を選択した。
議会定数も、議員自らが提案して18名から10名に削減。議員報酬も日当で一日3万円とした。町役場も立ち上がり、電話交換業務やトイレの掃除も自分たちで行い、図書館も本を買う金が無いため、全国から公募して45万冊を集めたという。地方分権とは何か?自分たちの意思と手による町作りである。

「すこやか赤ちゃん誕生祝金(これ)」は第3子の誕生時に50万円、第4子は100万円、第5子は150万円を支給するもので、その後の10年間は子育ての面倒を町が見る「健全育成奨励金」で、2歳~11歳までの10年間は毎年5万円の計50万円が支給される。
狙いは、町が自立しようと思っても高齢化社会では子供が少ないと手も足も出ない。子供は国の宝と同時に町の宝。これに尽きる。この制度により、5子が3人、3子~5子では16~17人になり、出生率も国の平均1.3人を超えて、2.0人以上になっている。色々な施策を講じて、人口の減少を食い止めたい。
スタンスは、20~50歳台の人には税金は使わない事。劇場を作れとか運動場を作れとか言う話はきかない。あなた方に一番大切な事は、朝から晩まで真っ黒になって働いて、税金をキチンと納めること。そしてあなた方の両親や先輩を大切にする。子供や孫がすくすくと育つ町を作る。働き盛りに税金を使わないのは子供のためだ。
全国的に矢祭町を有名にしたのは、2001年の「市町村合併をしない矢祭町宣言(これ)」。市町村の合併はよくよく慎重に。明治20年の合併は小学校を全国に作る狙いがあった。昭和の合併は新制中学校を全国に作る。そして平成の合併は、財政が立ち行かなくなったので節約・・・
しかし町は、今までの歴史や伝統を守りながら、合併せずにそのままやれる事に越した事はない。これからは親(国)の脛をかじる事はしません、ということ。でも「町民がガマン」では続かない。よって、議員の数も減らすし、役所の人数も減らす・・。
議員定数は議員自らが決めた。総務省は矢祭町を甘く見た。合併しないのは議員の数を減らさないため、自分たちの保身のため・・という話が漏れてきた。それで議会の機能を落とさない最低の数の議員数とした。町は、執行部・議員・職員の三位一体で動いている。
職員も不補充を前提に、3人退職で1人採用、でも住民サービスは落とさない。
議員の報酬も日当制にした。議員の330万円の年俸が高いとは思わないが、本来は非常勤なので日当が正しい、という判断。目に見える所は報酬の対象、見えない所は、社会貢献事業ということで・・・
職員たちは自発的にアイデアを出した。窓口はフレックスの導入で年中無休。職員の自宅を出張役場と位置付けて各種届けを可能に。
また図書館の本は、マスコミを通じて全国に公募をかけて45万冊を集めた。送料込みだったので、3万冊を目標にしていたので、ビックリ。町民総出で整理をした。・・・」

いやはや久しぶりに「目から鱗」の話を聞いた。
広辞苑によると、「地方分権」とは“統治の権能を地方団体が独立した分権として行使すること、および地域住民の自主的決定権や住民参加の権利”という。
しかしこの「独立」の実践を、人口7千人弱のこんな過疎の町(失礼!)で行われているとは・・・。
何よりも、この前町長の迫力ある話し方、実行力にただ感服。このリーダーシップがあればこそ、町の改革が実現出来たのだろう。そして、この話を聞いて、いかにリーダーが重要かが分かる。企業も軍隊も、そして自治体も同じだ・・・。

そう言えば、どこかに反旗を翻している(?)町がある、という話は前に聞いた事があったが、それがどこかは調べた事が無かった。それがこの番組で、福島県の矢祭町だという事が分かった。矢祭町のホームページに載っている「矢祭町議会決意宣言「町民とともに立たん」(これ)」の何と高尚なことか・・・
総選挙で各党が謳っている“未実行の”マニフェストとは違う。“実践”という重みがある。憲法の前文にも似て、自分たちの理想を高らかに謳っている・・・

ふと、NHKの番組で見た事が無いな・・と気が付いた。
矢祭町が、もともと革新的な人たちが集まっていた特殊な町だったとは思わない。たぶんごく平均的な田舎の町だったろう。しかしリーダー次第でその姿は激変する・・。こんな姿は、NHKのドキュメンタリー番組の格好のネタ。でも、NHK好きの自分も、この矢祭町の活動を取り上げた番組には気が付かなかった。これだけの成果を挙げている自治体なので、たぶんNHKが取り上げていると思うが、見ていない。探してみよう・・・

一方、「佐藤勉総務相は10日、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に接続していない福島県矢祭町に対し、住民基本台帳法違反として是正を要求するよう、11日に佐藤雄平福島県知事に指示することを決めた。・・(ここ)」という記事を見つけた。今月10日の記事だ。矢祭町は、住基ネットには2002年7月に全国で最初に離脱を宣言。現在も国立市と二つが非接続だそうだ。この動きからも、国の言い成りにはならない町の独立の姿勢が見て取れる。

今回の衆議院選挙戦。この矢祭町のスタンスにどう思うかを、各候補にアンケートして新聞に載せたら、良い候補選択の資料になると思うが、どうだろう?
このパワーあふれるインタビューのZIPファイル(36MB、40分間のMP3)を、(ここ)に一週間ほど置いておきます。興味のある方は聞いてみて下さい。(ただし、ダウンロードには時間が掛かります) そして上記に挙げた矢祭町のHPも、下記に再度リンク・・・

市町村合併をしない矢祭町宣言
矢祭町議会決意宣言「町民とともに立たん」
すこやか赤ちゃん誕生祝金


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コメント

エムズ様

こちらの「矢祭町・根本前町長」の記事を勝手に転載させていただきましたが、お許しください。
というのも、我々のネット仲間「官軍」さんが名古屋・河村市長応援のため、根本前町長と直談判し講演会を6月19日(土)午後から催すため、応援掲示板に”根本情報”として検索してたら、ここに辿りついたため、です。
勝手ながら、ご了解のほど、よろしくお願いいたします。

【エムズの片割れより】
ご丁寧に連絡ありがとうございます。どのような形で転載されたのか分かりませんが、うるさく言うつもりはありません。了解しました。

投稿: 通称・勝手連 | 2010年6月10日 (木) 17:40

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