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2009年6月 4日 (木)

89歳の新人作家・久木綾子著「見残しの塔」を読む

久木綾子著「見残しの塔―周防国五重塔縁起」 これ)を読んだ。
前にNHKラジオ深夜便で「瑠璃光寺五重塔に魅せられて 作家 久木綾子」(2009/4/26~27再放送)を聞き、自分が受けた“衝撃”をblogに書いた(ここ)。そして、この本を買ってみたが(ここ)、何とか読み終わった。今日はその読後感である・・・。

この小説は「歴史小説」であるという。
広辞苑にこうある。
【歴史小説】過去の時代を舞台にとり、もっぱらその時代の様相を描こうとする小説。島崎藤村の「夜明け前」など。単に過去の時代を背景にする時代小説などとは異なる。
【時代小説】古い時代の事件や人物に題材をとった通俗小説。

なるほど・・。自分が良く読んだ藤沢周平などは「時代小説」か・・。とすると、自分は「歴史小説」を殆ど読んでいない??・・と思ったら山岡荘八の「徳川家康」は歴史小説だという・・・。なるほど・・・

Image02761 この本には別刷の「登場人物関係系図」が添付されており、それを見ながら慎重に読んで行った。何だか、“大変な労作”だという先入観があるためか、一字一句の精読・・・。前半は登場人物の関係説明のような内容・・。登場人物の関係が複雑で、添付の系図が無いと付いて行けない。そして段々とストーリーが“動いて”いく。九州の日向と、若狭から出発した主人公が、山口の五重塔ですれ違う・・・・
読み飛ばすには内容が重い・・・。重厚な語り口。そして専門用語が多く、その時代の匂いがぷんぷんする。600年前の室町時代の交通事情や、距離感など、なかなか雰囲気がリアル・・・。
どの時代にも匠は居る。そして最後に、塔の部材に主人公の大工が墨字と花押を書く所でクライマックスを迎える。(大正5年の解体修理のときに、屋根を支える部材から名前がない墨字と花押が見つかり、現在それは国宝になっているとか)

この小説について、「面白かったか?」と問われると、普通の小説の面白さとは少し“次元が違う”小説のような気がした。つまり、大工・棟梁の世界、仏の世界、中世の「家」の世界、などが散りばめられている・・・。
難しい漢字・表現や、詳細に調査された地名・塔建設の工法など、幾らでも手を抜けるのを、“塔の建立”という小説の目標に向かってキチッと文字にした小説。それがこの小説の価値なのかも知れない。とにかく久しぶりに“正座をして”読んだ小説であった。

(関連記事)
89歳の新人作家~久木綾子さんの話
「六十の手習い」~“何か”残せるか?~久木綾子さんの話の続き


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