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2009年4月 4日 (土)

中村元の「阿弥陀経」(4/10)

この連続記事は、1985年4月から9月まで、NHKラジオ第二放送で行われた全26回の連続講義「こころをよむ/仏典」 (CDはこれ)の「第19回 極楽国土を欣求する-阿弥陀経」の部分を、『中村先生の声』と『読み下し文』、そして『中村先生の説明』を、この放送を活字化した、前田専学先生監修の「仏典をよむ4 大乗の教え(下)」(これ)を元に味わっていくもので今日はその第4回目、引き続き極楽世界についての説明である。

<こころをよむ/仏典「阿弥陀経」~その4

にじ ぶつごう ちょうろうしゃりほつ じゅうぜさいほう かじゅうまんのくぶつど うせかい みょうわつごくらく
爾時仏告 長老舎利弗 従是西方 過十万億仏土 有世界 名曰極楽
ご ど  う ぶつ   ごう  あ み  だ      こんげんざいせっぽう しゃり ほつ    ひ  ど  が   こ     みょういごくらく 
其土有仏 号阿弥陀 今現在説法 舎利弗 彼土何故 名為極楽

ご  こく しゅじょう む  う  しゅ く  たんじゅしょらく  こ みょうごくらく  う  しゃ り ほつ ごく らくこく ど
其国衆生 無有衆苦 但受諸楽 故名極楽 又舎利弗 極楽国土
しちじゅうらんじゅん しちじゅうらもう しちじゅうごうじゅ かいぜしほう しゅうそういにょう
七重欄循 七重羅網 七重行樹 皆是四宝 周ソウ囲繞
ぜ  こ   ひ  こく みょうわつごくらく  
是故彼国 名曰極楽

「また、舎利弗よ、極楽国土には、七重の欄循(らんじゅ)、七重の羅網(らもう)、七重の行樹(ぎょうじゅ)ありて、みな、これ四宝(しほう)をもって周ソウ(しゅうそう)し、囲繞(いにょう)せり。このゆえにかの国を、名づけて極楽という。」

「欄循(らんじゅ)」をは欄干の石垣のようなものです。実際、インドの霊場のストゥーバ(仏塔)のまわりには石垣がずうっと巡らされています。インドでは、それが幾重にもなっている遺跡もすでに見つかっています。「羅網(らもう)」は珠玉で飾った網。「行樹(ぎょうじゅ)」は並木です。これらが七重になっている。そしてみな、「四宝」、四つの宝でめぐらされているというのですね。金・銀・瑠璃・玻璃(はり)です。瑠璃はヴァイドゥーリヤの音を写したもので、青玉(せいぎょく)といわれています。玻璃というのはもとのことばではスパティカで、水晶のことです。「囲繞(いにょう)」は取り囲むという意味です。そういうすばらしいところだから、これを極楽と呼ぶのである。

うしゃりほつ ごくらくこくど しちじゅうらんじゅん しちじゅうらもう しちじゅうごうじゅ
又舎利弗 極楽国土 七重欄循 七重羅網 七重行樹
かいぜ しほう  しゅう そう   い  にょう ぜこ   ひ  こく  みょうわつごくらく 
皆是四宝 周ソウ囲繞 是故彼国 名曰極楽

う   しゃ り  ほつ ごくらくこくど  う   しっぽう  ち はっくどく すい しゅうまんごちゅう ちたいじゅんに
又舍利弗 極楽国土 有七宝池 八功徳水 充満其中 地底純以
こんしゃ ふ  じ  し  へんかいどう こんごんるり   は り   ごうじょう じょううろうかく やく い こんごんる り
金沙布地 四辺階道 金銀瑠璃 玻璃合成 上有楼閣 亦以金銀瑠璃
は   り   しゃこ      しゃくしゅめのう に  ごん じきし    ち ちゅうれんげ だいにょしゃりん しょうしきしょうこう  
玻璃シャコ 赤珠瑪瑙 而厳飾之 池中蓮華 大如車輪 青色青光
おうしきおうこう しゃくしきしゃっこう びゃくしきびゃっこう みみょうこうけつ
黄色黄光 赤色赤光 白色百光 微妙香潔
しゃり ほつ    ごくらく こく  ど    じょうじゅにょぜ    く   どくしょうごん  
舎利弗 極楽国土 成就如是 功徳荘厳

「また、舎利弗よ、極楽国土には、七宝の池あり。八功徳の水、その中に充満せり。池の底には純(もっぱ)ら金沙(こんしゃ)をもって地に布(し)けり。[池の]四辺の階道(かいどう)、金・銀・瑠璃・玻璃(はり)より成る。[階道]の上に楼閣あり。また、金・銀・瑠璃・玻璃・シャコ・赤珠(しゃくしゅ)・瑪瑙(めのう)をもって、これを厳飾(ごんじき)す。池中(ちちゅう)の蓮華、大きさ車輪のごとし。[しかも]青色(しょうしき)には青色、黄色(おうしき)には黄色、赤色(しゃくしき)には赤色、白色(びゃくしき)には白色ありて、微妙(みみょう)・香潔(こうけつ)なり。舎利弗よ、極楽国土には、かくのごとき功徳荘厳(しょうごん)を成就せり。」

それからまた、極楽国土には七つの宝で飾られている池がある。そこには、「八功徳の水」が満ちている。「功徳」とはすぐれた性質という意味で、つまり、八つの特性を備えた水が満ちているというのです。その八つは何かというと、澄んでいて清らか、冷たく、甘美、軽く軟らか、潤沢、安らか、飲むと飢渇(きかつ)などのわずらいを除く、飲みおわって身体の健康を増す、というものです。
池の底にはもっぱら金の砂を敷き詰めている。そして池のまわりの階段の道は、金・銀・瑠璃・玻璃からつくられている。さきに出てきた西宝ですね。池のまわりの階段の道というと、どういうものなのか、ちょっと戸惑うかもしれません。われわれ日本人は、極楽の池というと、宇治の平等院であるとか、東北の毛越寺(もうつじ)にあるものを思い浮かべたりしますが、インド人が考えた極楽の池というのはちがうのです。まず、池は真四角なのです。だから四辺ある。そして四つのまわりの縁から下に向かって階段がおりている。それも小さな階段ではない。傾斜面が全部階段になっていて、どこからでも下りられる。スタジアムを連想していただいたほうがわかりやすいかもしれません。
こうした池は、仏教の遺跡だけでなく、いまでも、インドの霊場へ行きますと、ヒンドゥーの寺院によく見られます。インドの人は四辺のどこからでも下りてきて、その池で沐浴し、からだを清めて、それからお参りするのです。なかには、ついでだからというのでしょうか、洗濯をしているおばあさんなどもおります。
それから、階道の上のほうには高い建物がある。これもまた金・銀・瑠璃・玻璃・シャコ・赤珠(しゃくしゅ)・瑪瑙(めのう)で飾られている。「厳飾(ごんじき)」とありますが、この「厳」は飾るという意味です。そして、池のなかには蓮華が咲いていて、花の大きさは車輪のごとくである。これは誇張だと思われるかもしれませんが、大陸には大きな蓮華もあって、現にわたしはカルカッタの植物園でほんとうに車輪のような大きな蓮華の花を見たことがあります。さらに、青い色の蓮華には青い光が、黄色い蓮華には黄色い光が、赤い色の蓮華には赤い光、白い色の蓮華には白い光がさしている。どれもまことに微妙でかぐわしい香りがする。極楽国土はこのような優れた特性で飾られて、それが完成しているというのです。

引き続き、極楽国土のみごとな光景が描写される。それは古来四つに分けられ、「四荘厳(ししょうごん)」といわれる。それは、
①宝樹(ほうじゅ)の荘厳(前回3/10)
②宝池(ほうち)の荘厳(今回4/10)
③天楽(てんがく)・金地(こんじ)・天華(てんげ)の荘厳
④化鳥(けちょう)・微風(みふう)の荘厳
であり、今回は②宝池の荘厳の解説である。

しかしお経は本当に「詩」だと思う。リズムが良い。「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色百光・・・」などはその代表で、読んでいて本当にリズミカルである。

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