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2008年11月16日 (日)

テレビ朝日のドラマ「告知せず」を見て

ミーハーの自分は、「芸術祭参加作品」というとだいたい見る気になるのだが、昨夜放送されたテレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル「告知せず」は、見応えがあった。(2008/11/15夜放送)HPは(ここ
医師である渡哲也が、妻・高畑淳子に末期がんの宣告を“しない”というのがテーマ。

このドラマでは、演技よりも“セリフの一つひとつ”が、色々な問題提起をしていたように思った。現代医療では、「告知」をするのは本人の残された時間を有効に使うこと、及び適切な治療を施すために必ず必要である、との論理で、まるでレールが敷かれたように、淡々と行われているようだ。(もしこれが、本人の気持ちを度外視しているとしたら問題だが・・・)
このドラマでも、(気が弱いので告知しないと家族が決めた)寿司屋の主人が、渡医師に「ウソをつかないで教えてくれ。残された時間で、自分の店の味を、跡を継ぐ息子に教えなければ・・・」と言って、元気で居られる時間が6ヶ月という事を知り、何とか間に合って「もう心残りは無い」と言って死んでいった例。
それに、健気な奥さんが告知された夫に「人は誰でも死ぬ、それが早いか遅いかの違い。あなたがやりたいような治療をしましょう。私は最後まで付き合うから・・・」と支える姿、等があった。

一方、このドラマでは、妻が「早く治って元気になりましょう、と言って!そしたらそこまで頑張って元気になるから・・・」という。そして渡が「元気になりましょう」と言う。それを見た研修医の息子は、「告知すべきだ」という自分の主張が崩れて行く・・・

このドラマの一番のセリフは、渡医師が講義で言う「ある人(実は妻)が、“いい医師になってくれ”と言うので、それはどんな医師だと聞くと、“患者の気持ちに寄り添える医師が良い医師だ”と言っていた」 「手術の腕を挙げたり、研究実績、論文も大切だが、それらは(医師の出世の為ではなく)人の命のためになされるべき」・・・

話は変わるが、一緒に見ていたカミさんが、キュブラー・ロス(「死の瞬間」の著者)は「人も動物なので、自分が死ぬことは必ず分かる」と言っていた・・、とか・・・
この番組でも、妻が亡くなった後に、台所から自分の死を前提とした手紙が見つかる。

つまり、「告知しないこと」は、決して相手を“だます”とかいう次元ではなく、家族が大切なものをそっとしておきたいとき、わざわざ口に出さないという選択肢もあるのではないか・・・という事を、このドラマは教えてくれたような気がした。

それにしても、今までは嫌われ役が(抜群にうまくて)多かった高畑淳子の、死に向かう演技は迫真。このドラマでは、渡哲也以上の存在感があり、さすがに大女優・・と思った。


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コメント

渡哲也さん自身も癌の経験者。
どんな気持ちでお仕事をされたのでしょうね。

研修医を拒むシーンがありましたが、医師不足も大きな問題ですね。

投稿: なち | 2008年11月16日 (日) 18:12

なち さん

渡哲也さんもガンになったのですか・・
前に書いた「風のガーデン」の緒形拳さんもそうですが、何とも壮絶ですね。

投稿: エムズの片割れ | 2008年11月18日 (火) 22:13

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