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2008年9月17日 (水)

永田和宏氏の短歌の世界・・・

いつものように、通勤電車の中でNHKラジオ深夜便「こころの時代」「科学と短歌〜ふたすじの道を歩む 歌人・京都大学教授 永田和宏」(08/9/14~15放送)を聞いて、初めて?短歌の世界を覗いた。

先日の「詩」の世界もそうだが、どうも自分はこの手の世界は苦手だ。しかし、今日の放送を聞いて、意外と“短歌の世界は表現が易しいな”とも思った。
永田和宏氏は細胞生物学者で、京都大学教授。トシは自分と同じ。夫人も子供さんもみな歌人だという。数々の賞にも輝く、その道ではぴか一の存在らしい。
その永田和宏氏が自分も歌も含めて、色々な歌を紹介されていた。曰く・・・

「南日本新聞の選者もしているが、印象に残った2つの歌。どちらも亡くなった夫を歌っている。

「逝きし夫(つま)の バッグのなかに残りいし 二つ穴あくテレフォンカード 玉利順子 南日本新聞の投稿歌」
長い間闘病生活をしてきた夫。いつも待合室から電話をかけてきた。残りの、あくはずだった五つの穴で、“ありがとう”と言いたかったのだろう・・・

「亡き夫(つま)の 財布に残る札五枚 ときおり借りてまた返しおく  野久尾清子 南日本新聞の投稿歌」
死者はいつまでも向こうに行ってしまわないで作者の中に生き続ける。我々の記憶の中に留め置かないと、死者はあまりにかわいそう・・・

2000年10月に、奥さんの(同じ有名歌人の)河野裕子さんが乳がんの手術を受ける。その時に、男女の差が歴然と出る・・・。
永田和宏氏の歌・・・・
「ガンと腫瘍の違いから先ず説明す 何も隠さず 楽観もせず」
それに対して、奥さんの河野裕子さんがこたえる。
「今ならば 真っ直ぐに言う 夫(つま)ならばかばって欲しかった医学書閉じて」
夫として、理論ではなくてかばって欲しかったという。自分としてはもっと生きて欲しいので、こんな事くらい大丈夫なんだから・・と、安心させたくて理論で言った。
「君と同じレベルで 嘆くことだけはすまいと来たが そう悲しむか」
「平然と 振舞うことはあらざるを その平然さが人(妻)は悲しむ」
「ひと言の 優しき言葉はたちまちに 我をおかすであろうとおそれき」
「ポケットに 手を引き入れて歩みつつ いやなのだ 君が先に死ぬなど」
・ ・・

奥さんだけでなく、娘さんの短歌も・・・
「鼻をかみ 鼻をかみして大泣きに 嘆く娘と夜の明けるまで」
娘が恋をして、その話を聞きながら・・・

(父親に、普通の娘が自分の恋の話など言うかな??)

孫の歌をひとつ・・
「“君”付けで 自らを呼ぶ2歳児が その父親を呼び捨てに呼ぶ」
皆が“櫂君”と呼ぶので自分のことを“櫂君”と呼ぶ孫が、永田氏が長男永田淳氏を“淳”と呼び捨てにするので、孫までそれを真似て、淳”と呼び捨て・・・。それが面白くて・・

40年間、後ろめたさとの戦いだった。“この路一筋・・・”が普通の美学。しかし自分はサイエンスと短歌の両方。短歌は趣味ではない。短歌にも自分の人生を懸けている。“短歌だけ”はダメ、“サイエンスだけ”もダメ。だから片方の存在で片方を言い訳したくなかった。後ろ指差されたくなかった。自分は、普通の人の2倍の人生を楽しんでいる。
短歌をあとで読むと、その時々の自分の時間が短歌の中に刻まれてきたのが非常に大きかった。娘は何かのインタビューで“歌を作ると自分の時間に重りがつくような気がする”と表現していた。
今は選者としても、年間に読む歌は30万を下らない・・・。」

話が変わるが、自分の(とっくの昔に亡くなった)祖母(明治27年生まれ)が短歌をやっていたことを思い出した。たしか「ぬはり社」といった。Netでみたら「若山牧水系の短歌結社[ぬはり社短歌会]は、牧水の最高弟の[菊池知勇]によって開設された歴史ある会です。 結社誌も2002年7月で通巻825号になります。・・・」という記事があった。まだ存在するらしい。
その祖母が、1970年に自分の歌を1冊の本にしたことを思い出した。「歌集~筧(かけい)」という。昭和30年初期、祖母たちは水戸に住んでいたが、その庭にあった筧・・・・。自分も1冊持っている。Netで検索したら、何とamazonにもあった。もちろん古書で取り扱い外だが、いやはやビックリ・・・。

ひょんなことで、今日は祖母の短歌を思い出した。もしかすると、その血が自分にも流れているかも??? まあ、それは当然だけど、自分に短歌の才能が無いことだけは確か・・・・・


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コメント

イッパイ気分で、最近、涙もろくなって困りますぅ~・・・
これも、涙ナシには読めません・・・詩吟と同時に和歌(短歌)も、やってますが~短歌って素晴らしいですねェ~!
最近、85歳になる人生の大先輩が「和歌をやりたい!」と、詩吟教室に入られましたヨ!
バンバン、エネルギー頂きましたッ!

投稿: 花舞 | 2008年9月18日 (木) 21:58

自分に短歌の才能だけは・・・とおっしゃいますが、そんな事はないと思います。俳句なんて、とても無理。と思っていた私も、少しづつのめりこんでます。はじめる事が大切ですよ。若輩者の私が言うのも畏れ多いのですが。

投稿: 呆夢 | 2008年9月19日 (金) 11:05

花舞 さん

短歌も結構自由なんだな、と思いました。

===========
呆夢 さん

短歌よりも俳句のほうがずっと難しいのでしょうね。季語とか・・・
しかし、自分の想いを、俳句や短歌の少ない文字の中に凝縮できたら素晴らしいですね。
そのうちチャレンジするかも?いや、しないかな??

投稿: エムズの片割れ | 2008年9月19日 (金) 23:39

是非是非、チャレンジして下さい!
‘エムズの片割れさん’だったら個性溢れる?短歌になりそうで期待大ですよォ~!

投稿: 花舞 | 2008年9月20日 (土) 08:05

 歌を趣味におとしめない覚悟に感動します。私は仏道と俳句の人生に決めます。感謝。

【エムズの片割れより】
短い言葉に心を込めて・・・。俳句をよめる人が羨ましい限りです。

投稿: 駿 | 2010年9月 5日 (日) 06:57

エムズさん
カリフォルニアのサクラメント郊外からです。
暑中お見舞い申し上げます。
さわやかな風に日本の猛暑に日本の猛暑を思い出しています。
一昨日、第2回河野裕子短歌賞に応募してみました。
日本の短歌に応募するのははじめてのことです。
その中のひとつ。

花びらを笑顔で振りまく孫娘フラワガールもいつか花嫁

6月30日の私の結婚式のことです。
そして毎月、私のかつての教え子達に短歌通信を送って、"わが身”をさらしています。
でもそれが何かの支えに、励みになってもらえればと。
お元気でご活躍下さい。

洋子コーリンズ

【エムズの片割れより】
アメリカからコメントを頂けるとは、感激です。
しかし短歌をなさるとは、羨ましい限りです。自分もそんなセンスがあれば、品良く自分の記録を付けられるのに・・・
河野裕子短歌賞への入選を祈念しています。

投稿: 山根洋子コーリンズ | 2013年8月16日 (金) 09:05

エムズさま
アメリカ・カリフォルニアのサクラメントからです。2度目です。
今朝、初めて自分の名前「山根洋子コーリンズ」をGoogleでクリックしてみました。するとこのサイトに3年前の私の投稿がのっているではありませんか。

忘れていた情景が波のように、寄せて来ました。あれから4年、私の毎月の「短歌通信」も続いています。送信者400名くらいになりました。アメリカから見た国際時事問題を取り扱った近況短歌が多くなって来ました。それに加えた前置きの通信の方の文章が長くなって、かつての生徒から「会社に行く電車の終点駅に着くまでに終らないよ。」とブーイングです。でも友人の教授からは、近頃短い文章しか、若い人は読まないから、頑張ってと。

でも2017年からは、あまりにも日本の事も、世界の事も知らない、(自国だけ)ここアメリカの人にも、「タンカ ツーシン」を英語で送る事にしようと思っているので、日本語版は短く。生徒は喜ぶでしょう。

去年11月から米国大統領選挙のテーマが続いています。1月、年明けから「メキシコの壁・ウオール」で揺れるメキシコに行って来ました。下記、その時の歌です。
皆様、お元気で実りある2017年をお過ごし下さい。
御興味がおありでしたら、私の「短歌通信」をお送りしますので、どうぞお知らせ下さい。
山根洋子コーリンズ  udyoko@hotmail.com

鳥の声波の音にもメキシコの 悲しみ潜むウオール建つかと

【エムズの片割れより】
アメリカからのコメントとは、“再び”感激です。
短文・・・。いつも長い当サイトとしては耳が痛い・・・
日本では、連日、米大統領のニュースで大騒ぎ。この頃、気にしているのは、大マスコミのトランプ非難ではない、反対側のマイナーなマスコミの報道。
先の太平洋戦争を扇動した当時の日本のマスコミ・・・。
マスコミの権力について疑義を持っている自分は、反対側(トランプ指示派)の意見も公平に聞きたいな、と思っています。アメリカでの評価はどうなんでしょう・・・
(短歌は当方苦手なもので・・・)

投稿: 山根洋子コーリンズ | 2017年1月24日 (火) 12:36

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