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2008年6月 8日 (日)

映画「約束の旅路」を観て~文部科学省選定の映画

映画「約束の旅路」を観た。(公式HPはここ) この映画は、07年3月に岩波ホールを皮切りに劇場公開され、07年10月にはDVDも発売された映画。今更・・・なのだが、実は自分は、こんな映画があることを知らなかったので、“今頃になって観た・・・”という訳。

080608yakusokunotabiji この映画の本題は「行け、生きろ、(何かに)なれ*生まれ変われ」だという。途中では、少し難しい映画だなと感じたが、終わってみると「ウーン」だ。その「ウーン」の中身は・・・・?
この映画の最大のテーマは「母と子の絆」、それと国境を超えた人類愛・・・。なかなかこの世界は、日本人からは遠い世界かも・・・?
1984年11月~85年1月にかけて。イスラエルと米国の指揮のもと、エチオピア系ユダヤ人をイスラエルに帰還させるという作戦が展開された。それを許可しないエチオピア当局の目を盗んで人々は徒歩で数百キロを歩き、スーダンに脱出。8000人がそれで救われたが、スーダンに着く前に、疲労や襲撃で4000人が死んだ。
物語は、このスーダン難民キャンプから、ユダヤ人だと偽ってイスラエルに脱出して生きた主人公の、4人の母とのかかわりを中心に進む。4人の母親とは、一人は息子を救うために、「行け。生きて生まれ変われ。そして何かになれ」と息子を突き放つ強い実母。2人目は、そのスーダン難民キャンプで主人公のシュロモを預かり、危険を犯しながら彼をイスラエルに送り届けて直ぐに死んでしまうエチオピア系ユダヤ人の母。3人目は、白人の家族であるにも拘らず、シュロモを愛し育てる養母。そして最後が良き理解者の白人の恋人のサラ。

この映画は、ユダヤ教などの宗教や、イスラエルにまつわる政治的背景が絡んでいるために、少し難しいが、それを超えた「愛」の力が全体を包み込む・・・。
結果として、優秀なシュロモは「何かになれ」を、パリに行って医師になる。そしてスーダンの難民キャンプで「国境なき医師団」として働く。そしてそこで実母との再会・・・・
この実母との再会のラストシーンでは、松本清張の「砂の器」で、加藤嘉の演ずる主人公の親が、「そんな人、知らねえ!」と絶叫するシーン思い出した。(関連記事はここ) 両方とも、子を思う親の愛であろう。

話は変わるが、このような「見応えのある映画」というのを、どこで知るかである。新聞などの評判が一番身近だが、興行成績とは観点が別だ。たまたま先日観た「マンデラの名もない看守(ここ)」で、「文部科学省選定」という表示に気が付いた。それで、Netでそれを調べてみたら、文部科学省のHP(ここ)に「特選」または「選定」の映画リストが載っていた。このblogで書いた映画を思い出してみると、「潜水服は蝶の夢を見る」「明日への遺言」「サラエボの花」「しゃべれども しゃべれども」「不都合な真実」「フラガール」・・・ほとんど全が載っている。
・・・という事は、自分が何か見応えのある映画を観たくなれば、「文部科学省の選定を受けた映画」を“取りあえず観たら・・・??”という事になる。まさに“ミーハー”の自分らしい発想ではある?(←ウチのカミさんが最も嫌いな考え方だが・・)
ちなみに最近の「文部科学省“特選”」の映画は、・・・・

「クライマーズ・ハイ」(08年4月30日)
「あの空をおぼえてる」(08年3月28日)
「西の魔女が死んだ」(08年3月10日)
「明日への遺言」(07年11月6日)
「サラエボの花」(07年10月1日)
「この道は母へとつづく」(07年8月27日)
「河童のクゥと夏休み」(07年5月22日)
「しゃべれども しゃべれども」(07年5月10日)
「約束の旅路」(06年12月22日)
「不都合な真実」(06年12月22日)
「雪に願うこと」(06年5月25日)
「紙屋悦子の青春」(06年4月28日)

・・・だという。まだ観ていない映画もあるので、今回のようにDVDレンタルがあるものは、そのうち一応観ておくことにしようか・・・・。

・・・というのが自分の感想なのだが、カミさんの反応がまったく違う。つまり「なかなか見応えがあったから、見たら?」と、後からカミさんにDVDを貸して見せたら、反応が全く逆。これほど評価が分かれる映画も珍しい・・?
まず、主人公の努力度が映画に表現されていない。だから、せっかく恵まれた環境を与えられながら、自分のカラにこもって心を開かないのが好かない・・と言う。
確かにそうだが、9歳の子供が「自分の過去を一切口にしてはいけない」と言われて、全く違う環境に放り込まれた状況では、誰でも黙り込むしかないのでは?
それに、イスラエルに向かう時、女性(2番目の母)に子供を託す時も、何の根回しもなく、何のお願いも無く、結果として押し付けるやり方はあまりに無謀・・・とカミさんは言う。それも確かだが、もしかすると2人は知り合いで、目と目のサインで分かったのかも知れないし・・・・。映画は全てを映してはいないので、分からない状況は想像するしかない。

ともあれ、白人の家庭で、自分達の子供が居るのに黒人の養子を迎える事など、宗教が絡まないと凡人では到底出来ないこと・・、という認識だけはカミさんと一致したが、同じ映画でも価値観が人によって異なることを、今更ながら実感させられた映画ではあった。

(関連記事)
映画「砂の器」のサントラ「宿命」


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