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2008年4月10日 (木)

山室信一著「憲法9条の思想水脈」を聞いて

先日(08/4/5)放送されたNHKラジオ深夜便「人ありて、街は生き『司馬さんからの便り』京都大学教授 山室信一」を聞いた。憲法第9条についての論で、氏の著書「憲法9条の思想水脈」の解説(内容)がなかなかと面白かった。
この本は、「憲法9条に謳われている崇高な平和思想、非戦思想は、18世紀からの思想が地下水脈として流れており、その到達点として日本国憲法がある」と論じている。この番組は、著者がそれを解説していた。曰く・・・・

カント「常備兵が問題。常備兵が存在すると残酷な戦いになる。常備兵がいると、国民は戦争になっても、兵だけが戦って死ねば良いという事になる。よって、国民が国を守ろうとするならば、常備兵を止めるか、国民全体が兵となって戦うしかない」
⇒「世界政府」
⇒「人類は地球全体の一員である。地表は人類全体の共有物である。その中で戦いがある事自体がおかしい」
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横井小楠(よこいしょうなん=幕末)「徳によって治めるべき。政治を行うための一番の条件は、民を殺さないこと。つまり戦争に苦しまないこと」
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植木枝盛(うえきえもり=明治)「戦争を止めるためには、世界政府、無上(世界)憲法を作って、国境を離れて人類の一員として活動すべき」
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中江兆民(なかえちょうみん=明治)「非武装。武装を解いてしまって、風になろう。自分達が軍備を持たないのだから相手が攻めてきても戦う術が無い。自分達は風なので切る事は出来ない。軍備に向かう金を文化国家を作るために遣おう。非武装の文化国家を攻める国があっても、国際世論が許さない」
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内村鑑三(うちむらかんぞう=明治大正)「戦争は人を殺すことである。人を殺す事が悪いことであるなら、それを大規模にする戦争は良いはずはない。戦争は勝てば勝つほど拡大していく」
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(それからシステムとしての非戦の動きになる・・・)
1791年のフランス憲法にその規程がある。
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1899年のハーグの万国平和会議で、国際紛争は平和的に解決すべき。
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第一次世界大戦~国際連盟
⇒米国が入っていなかったのと、ソ連も革命で入るのが遅れた。それに制裁権が無かったので不充分だった。
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1928年の不戦条約(戦争放棄に関する条約)~日本国憲法の戦争放棄の英訳と同じタイトル。これが戦争放棄の水脈。
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日本は、第一次世界大戦の戦場から遠かった事もあって、認識が充分でなかった。そして、自衛戦争は許されるとの解釈で、満州事変等を戦争ではなく事変だという。
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よって、国際連盟では「戦争」という言葉は使わず「武力の行使」「武力による威嚇」と表現。
日本国憲法は、広島・長崎の原子爆弾投下という事態を踏まえているので、より強い姿勢を取っている。

1944年3月10日の東京大空襲では12万人が死亡。広島・長崎の原子爆弾投下では30万人。イラク戦争開始から5年経ったが、米兵の死亡者は4000人。WHOによると、2006年6月までのイラクの市民の死亡者は15万人を越えた。
つまり21世紀の戦争では、一旦戦争が起これば、非戦闘員が直接的な被害を受ける。これを受けて、国連の報告書は、従来の「国家を中心とした安全保障」から戦争の原因を貧困や人権侵害など個人の安全が脅かされている事に求めて、「人間の安全保障」に変わってきている。
61年前に出来た日本国憲法ではあるが、国連が考えている「人間の安全保障」を先取りしているともいえ、第九条の思想水脈は違う形の水脈としてつながってきていると言えるのではないか。」

なるほど・・・・(←これだけ?? 筆者も、コメントしようが無いのであ~る)
これだけでは締まらないので、西橋正泰アンカーの憲法の朗読を少し聴いてみようか・・・

憲法の前文「・・・・日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。・・・・」

「第二章 戦争の放棄
第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

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「日本国憲法」を読んだ


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山室信一の「憲法9条の思想水脈」(朝日選書823)を読み始めました。今年度の司馬遼太郎賞受賞作品です。日本の憲法9条に結実した非戦の思想が、世界の思想史の中で、また文明開化以降の日本において、どのように生まれて発展し受け継がれてきたかを、綿密に跡づけて...... [続きを読む]

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