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2007年9月19日 (水)

サンスクリット語、中国語、韓国語の「般若心経」

ずっと気になっていた『中国語での般若心経』を聞いた。予想に反して、まったくの中国語だった。(まあ当然だが・・・)

ひょんなことで、丸山勇という仏教写真家の事を知り、氏の「CD付 般若心教の世界」という本を買ってしまった。
その本に、サンスクリット語・中国語・韓国語の般若心経の読経のCDが付いていた。

実は、中国語での般若心経の読み方に興味があった。
何故かというと、漢字で書いてある仏典は日本も中国も同じはず。これは、日本に仏典が入ってきたときに、その神聖さを保つためにあえて日本語に訳さなかった、と聞く。
そして、どこかで『中国語は日本の音読みに似ている』と聞いたことがあった(これが間違い)。日本の読経を聞いてみても、とうてい日本語とは思えない。
・・・とすると、『意外と中国の読経の読み方も日本の読み方も、同じかも知れないな・・・』ナンテ思ったのが間違いのもと・・・・。

CDを聞いてみると、中国語はまるで分からない。むしろ韓国語の方が少し日本語に似ている・・・・。(同じ漢字を読んでいるのだろう・・・)

中国語の般若心経

Scan103111_2 中国語で、何となく発音が日本語に似ているのは、
「舎利子(ソオリイツ)」「菩提薩捶(プウティサアト)」「三貌三菩提(サンミャウサンプウテイ)」くらい・・。
最後の真言に至っては「羯諦羯諦波羅羯諦(チエティ チエティ ポロチエティ)波羅僧羯諦菩提薩婆訶(ポロスンチエティ プウティサアポホ)」という発音。

サンスクリット語の般若心経

Scan103101_2 同じく、サンスクリット語では、
「舎利子(シャーリプトゥラ)」「三貌三菩提(サンヤクサンボーディム)」。
最後の真言は「羯諦羯諦波羅羯諦(ガテーガテー パーラガテー)波羅僧羯諦菩提薩婆訶(パーラサンガテー ボーディ スヴァ-ハー)」という発音。
こっちの方がよっぽど良く聞く発音だ。

韓国語の般若心経

Scan103121_2 韓国語では、
「舎利子(サリジャ)」「菩提薩捶(ボリサルタ)」「三貌三菩提(サンミャッサムボリ)」。
最後の真言は「羯諦羯諦波羅羯諦(アゼ アゼ バラアゼ)波羅僧羯諦菩提薩婆訶(バラスアゼ モジサバハ)」という発音。

こう並べてみると何か変だ。そもそも「訳すのがもったいないので音写した」と言われている部分が、何故この様に発音が違うのだ。
幾ら言葉は違っても、音をいわゆる「カタカナ」で表現したにしては、あまりに違い過ぎる。

しかし、日本の読経は『全くの日本語』だということが改めて分かった。読経は漢字を『日本語読み』で通読しているのだ。
でもこれは当然か・・・? 昔、そもそも日本語(発音)が最初にあって、文字が無かったので日本語を無理に漢字に当てはめた・・・? それが現在の日本語なのかも・・・

(先日寺子屋に行ったときに、東大名誉教授である先生に「中国語での読経は日本のと同じか?」と聞こうと思ったが、止めて良かった・・・・。バカ丸出しになる所だった。ホッ・・)
(本記事は07/4/24の一部改です)

(関連記事)
「般若心経」勝手帖-03 全文


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コメント

これは面白いですね。音を写した筈なのに、これほど違うとは。しかし少し原音の痕跡も感じられます。日本での漢字の読み方は日本流に変形していますが、もとは中国の音を写したので、旧字音(十をジフ、教をキャウ)などは、原型に近いと言われます。しかし中国の中でも漢音、呉音などと変化しているので、今は大きく違ってしまったのでしょう。

投稿: 志村建世 | 2007年9月20日 (木) 11:31

バッサ・バサケンでがす。
マイド。

中国語は南方の話者の發音です。できれば、広東語にしていただくと、日本語の音に近いために違和感がないかもしれません。

日本語の般若心経は変なところで息を止めますが、これは中国語のsyntaxを理解してゐないがためでせう。韓国語のversionは初めて聴きましたが、上述のsyntaxを適切に理解されてをられることが推測されます。

sktの原文(中村元先生のtext)は全文を読むのに漢文に比べて非常に長い時間を使ひます。当たり前です。実は、こちらの方が波長は日本語の翻訳に近いのです。理由は語順が漢文のSVOではなくて、SOVであることと、接続語が多いためです。でも、読めば読むほど、判らなくなってゆきます。喩へば、ねえ、唐突にzaariputraが出てきますが、その師匠の釈迦は一切でてきません。どうなつてんだろ。とか、観音様は深い瞑想に入つてゐない時には、一体なにをされてゐるのか、とかです。あっしゃ凡夫なので、さっぱり理解できやせん。

では、
バッサ・バサバサ・バサケンケーン
もしとつおまけにバサケンケーン

投稿: バッサ・バサケン | 2009年7月15日 (水) 19:49

若心経を韓国語ではどう読むのか? 中国語ではどう読むのか? 私もちょうどその疑問に今わくわくしています。日本語でもどこで区切るのか、清音か濁音かなど本によっても違いがありますが、解説書をもめば読むほどちんぷんかんぷんです。しかし、般若心経を歌詞と見立てて混声合唱曲を書いてみました。お坊さんや信者さんから「恐れ多い」と叱られるかもとは思いますが、あの平板に感じるお経の読み方を聞いていると、もっとお経の意味に沿った音楽的表現があって良いのではないかと考えて曲を作ったのですが、このお経の源流である韓国・中国・インドでは発音の仕方が違うだろうと思うようになり、はたして私の作ったメロディーで歌えるものかと疑問が生じた次第です。できれば、そのあたりのことを教えてもらえれば幸いです。

投稿: でめきん | 2009年9月27日 (日) 00:13

でめきん さん

コメントありがとうございます。
そうですか。心経を歌に・・・
手仕事屋きち兵衛さんの歌に、永六輔さん作詞で「色即是空」という歌があります。お経の歌を聞いたのはこれが初めて・・・
真宗のお経などにはフシがありますが、自分は何となく平坦な読み方の方が好き・・。特に、当blog『「般若心経」勝手帖-03 全文』に挙げてある高野山の80人の僧侶の大斉唱(?)が好き・・・

投稿: エムズの片割れ | 2009年9月28日 (月) 22:21

私もお経の内容の意味を理解するために中国語で読んだところ、日本語の現代語訳は、一見理解しやすいように訳していますがかなり敷衍してかいてありました。なるほどこうして沢山の経典ができたのだと納得しました。般若心経も「五蘊皆空」といえば終わる。雑念を消すのに呪文を唱えるだけですね。その呪文がサンスクリットとも中国とも違った発音でいいのか。いいんでしょうね。「空」の状態は慣れれば簡単にできるものですから。

【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
そうなんです。真言は同じような発音かと思ったら、全く違っていた・・。でもそれでもいいのだと思いました。
しかし随分と専門的に勉強されているようで・・・。

投稿: Dia | 2010年9月14日 (火) 12:22

ここで貴重な情報を得ることができました。でももう少しよく知りたいことがあります。その本にはCD三ヶ国語に関しての歴史的な説明がないように思います。そうですか?私は特に韓国語の般若心経で説明できない自分にかなり驚いていているからです。
つまり。。。言語学とか発音の問題なのですよね、(ハングル文字発明まで)朝鮮(南北)では漢文の般若心経で朝鮮語の発音を当然唱えていたとなります。 
この違和感はすばらしく でも間違えて理解してないかと心配です。
最近の発見では そもそも科挙合格者もCDの発音で合格してないだろうとなるのです。

投稿: totatota | 2010年9月28日 (火) 11:41

まとめ:中国ー呉音ー日本
般若心経の各家庭での普及 参「続日本紀」
 

投稿: totatota | 2010年10月 8日 (金) 16:18

*日本語の振り仮名、読み仮名はいつからという疑問があり これは文献の調査をしなければわからないそうです。
ハングル文字発明の前とその後の変化にちょっとした興味を持ちました。
*パーリ語のお経では大空経あたりが近いでしょうか?

投稿: totatota | 2010年10月20日 (水) 11:58

各国語による般若心経の読音のバリエーショウン
について、
mixi 内の
【般若心経♡般若倶楽部】というコミュニティ内の
『世界の般若心経ご紹介コーナー』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=13402916&comm_id=60499
というトピックにて、
超詳しく紹介しております。

その記事を書く際に於いては、
ここのブログも参考にさせていただきました。。

m(_・_)m

【エムズの片割れより】
mixiに、そんなコーナーがあるのですね。

投稿: TERuアマテラス | 2010年11月 3日 (水) 22:57

日本において漢字の発音は、日本人が漢字を学んで、伝わった時代や場所により、漢音、呉音、唐音があり、例えば、"行"の場合は、漢音は“コウ(カウ:旧仮名遣)呉音は“ギョウ(ギャウ:旧仮名遣)、唐音は“アン”となります。
現代の中国語の標準語(普通話)は、入声が脱落し、日本語の漢字の発音との乖離が甚だしいため、違和感を覚えられたんでしょう。
脱落した入声とは、日本の漢字で言えば、漢数字の一:イチ、六:ロク、十:シフ(旧仮名遣)で、チ-t,く-k、フ(プ)-pとなります。韓国語では、-tは、-l(エル)に変わって、-k、-pは、現在でも漢字の発音に残っています。一:il、六:ryuk,yuk(因みに、韓国では、日本語のら行で始まる漢字は、rがとれて、yukとなります。韓国大統領、李明博氏をイ・ミョンバク・と呼ぶの箱のためで加えて言うなら、rの後にくる母音によっては、rからnに変わるため、盧武鉉前大統領はノ・ムヒョンとなります。北朝鮮ではr の脱落、nへの変化は見られないそうです。)中国語方言には入声は残っているものもあり、香港、マカオ、広東省で話される漢字の発音は、韓国語の感じの発音と極めてよく似ています。
音読み - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E8%AA%AD%E3%81%BF

【エムズの片割れより】
ご教示ありがとうございます。WIKIをじっくり読みました。いやはや奥が深い・・。自分の無知を思い知らされました。勉強が足りなかったようで反省・・・

投稿: Jonathan | 2012年2月26日 (日) 11:44

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