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2007年8月22日 (水)

バイロイトの「第9」の、バイエルン放送の録音

「バイロイトの第9」といえば、言うまでも無く1951年7月29日に戦後初のバイロイト音楽祭で演奏された、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団によるベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」である。この有名な演奏は、研究も多い

ところが、このレコード録音について、最近、50年も馴染みであったEMI盤が、本当はライブ録音そのものでは無く、リハーサルの録音も含めた“編集された盤“だという事が分かってきた・・・との事で、世間を賑わしている。
朝日新聞にも載っていたが、レコード芸術の9月号(P70~)に事情が詳しい。
それらによると、当日、リハーサルと本番の2回の演奏が録音されたらしい。しかもEMIの録音陣と、バイエルン放送の録音陣の二つのクルーで録音された・・!?

そしてEMI盤は、本番の演奏が、プロデューサーのウォルター・レッグに、あまり高く評価されなかったようで、その結果、EMI盤はリハーサルでの録音が3/4も入る「編集盤」になったらしい。
一方、バイエルン放送局の録音は、放送禁止の表示(テープの箱に「たとえ部分的にでも放送に使用することは禁止」との表示)のもと、長くお蔵入り・・・・
それを発掘して、2006年10月30日に「フルトヴェングラー・センター」がバイエルン放送で視聴し、それから正式契約のもとでCD化に成功。この7月からフルトヴェングラー・センターの会員だけに頒布が始まったとのことだ。
レコ芸によると、この発見により、これからは「バイロイトの第9」という呼称は無意味になり、今後は「バイロイトの第9・EMI盤」と「同・センター盤」という呼び方になるだろう・・・。という。
視聴の評価は、このセンター盤の方が音質も演奏の完成度も高いらしい。ただし、終楽章に軽微な欠落があるという。

自分の場合は、会員になってまでこのCDを手に入れることはしないが、この演奏は自分にとっても思い出深い盤である。
第九は合唱、独唱が入るので、指揮者によって演奏が千差万別・・・・。学生時代から色々な演奏を聞いてきた。もちろん歌ったこともあった

自分は、特に第1楽章が好きだが、その終結部のオーボエの演奏する部分が大好きだ。終わる2分位前の部分(正確には510~525小節目)。この部分の、悲しく切なく歌うオーボエが良い。だから最もテンポが遅く、浪々と歌うフルトヴェングラーのバイロイト盤が一番好きだった。ちょこっと聞いてみよう。

聞いて分かるように、この録音は擬似ステレオなのである。持っているLPの解説を要約すると、「ステレオは、(1)音の方向的効果(2)音の明澄さ(3)音の深さ(4)音の幅 がポイントだが、一番重要なポイントが音の幅と深さにあることを発見し、エレクトローラ・ブライトクランク(ワイド・サウンド)という技術を開発して、モノラルの音に深さと幅を持たせた

フルヴェン・ファンは、この擬似ステレオの音をバカにしている、と何かに書いてあったが、自分はモノの音よりも、この音の方が、方向性は無いものの広がりがあって好きだな・・・
ともあれ、もうフルトヴェングラーの没後53年になる。よってフルトヴェングラーのレコードは、ほとんどが既に著作権切れである。トスカニーニも没後50年。ワルターも1957年からステレオ録音が開始されているので、逆にモノラル録音は、ほとんどが著作権切れ・・・・
なのに、何で廉価版のCDが出ないのかな・・・・・?
本屋に行くと、昔の映画が500円のDVDでたくさん売っている。しかし、フルヴェンのCDが安く売っているのを見たことが無い。
確かに、作っても売れる数は映画ほどではなく、採算が取れないのだろうが・・・・

おっとっと、話がそれた。
良い物は永遠に生き続けるものだ。先日行った日展100年もそうだが、芸術家は羨ましい・・・・。肉体は滅びても、自分の生きた証が残る・・・。
「なに?」「サラリーマンでも生きた証がある??」「それ何?」「息子?」 「プッ!」←これ笑い声

(07/8/26追記)
EMIのCDを買ってきた。しかし、この音はどうだ。ノイズその他の雑音が見事に消え、モノとはいえ、素晴らしい音に蘇っている。これは同じ所の「24bit最新マスタリング」の音である。
(しかし、信じられないことに、このCDでは、第4楽章が何と4つに分断されている。という事は、指揮者が意図しない「間」が3ヶ所も付加された訳で、これは理解できない。そもそも第4楽章の途中を選んで聞く人がいるのだろうか?EMIはこの録音の胴元である。それなのに、このスタンスは理解できない・・・・)

EMI盤の第1楽章終結部

(07/9/20追記)
「レコード芸術 10月号P293」によると、1951年のこの演奏の「バイロイト祝祭管弦楽団」のメンバーは、大半がウンター・デン・リンデン(ベルリン国立歌劇場のこと)のメンバーで、ベルリン・フィルのメンバーも2~3人は行ったらしい。とのこと。

(07/12/23追記)
バイエルン放送局の録音のCDを買った。レコ芸08年1月号のキングレコードインターナショナルの広告に「世紀の再発見!待望の市販流通化!~バイエルン放送音源によるフルトヴェングラー・センター盤「バイロイトの第九」というのを見付けた。早速ネットで調べてみると、タワーレコードが安そうなので、注文したら早速今日送ってきた。

まず、第一楽章の終結部の自分の好きな、同じ部分を聞いてみる。たぶんEMI録音とは違う演奏だが・・・・
(なお、このblogのMP3プレヤーは同時再生ができるので、二つの録音を一緒に再生して比較すると面白い・・・)

バイエルン放送局録音の第1楽章終結部

================
買ったバイエルン放送盤と、EIM盤とを少し比較してみる。まずビックリしたのは、バイエルン盤で、第1楽章の42小節目(1:42)に大きな咳の音!

バイエルン放送局録音の第1楽章冒頭

それに比べて、下記のEMI盤(TOCE-55701)は同じ42小節目(1:32)で咳が無い。あれだけの大きな咳なので、もしマイクの位置が違っていても収録されていない訳はない。よって明らかに別の演奏だと思われる。

EMI盤の第1楽章冒頭

次に、レッグが意識的にボリュームを上げたのではないかとウワサされている第4楽章の“vor Gott”(330小節)の部分である。

バイエルン放送録音の第4楽章“vor Gott”>

EMI盤の第4楽章“vor Gott”>
(この音源は擬似ステレオ盤(TOCE-3007)である。(TOCE-55701)は前にも書いたが、第4楽章が4つに分断されているので好かないので・・・)

*なるほど。EMI盤はレベルが高い。この二つの録音をデジタル的な音量レベルで比較してみると、バイエルン盤の第4楽章は、通しで92.4dB。そして上記の“vor Gott”の切り出し部分の音量レベルは同じく92.4dB。しかし、EMI盤の第4楽章は、通しで92.5dBであるにも拘らず、“vor Gott”の切り出し部分の音量レベルは93.1dBである。よってウワサは正しいと思われる。

ともあれ、演奏(録音)後、56年も経って、今なおこれだけ騒がれる指揮者(演奏)はフルトヴェングラーだけだろう。
この正月休みに、二つの録音をじっくり聞き比べてみようか。


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